一条工務店でＺＥＨ（ゼッチ）補助金は受けられるのか！？正直むずかしい・・・（追記2016年度ZEHについて）

こんばんは。さすけです。

先日、ちょっと過激なタイトルでブログを書かせていただきました。

そこで、一条工務店とＺＥＨ補助金について書かせいただいたのですが、確認不十分のまま「一条工務店の家ではＺＥＨ補助金を受ける事ができる」と書いてしまいました。

これは誤りでした。

追記：平成28年度（2016年）のZEHの募集開始につき、2016年度のZEHについて追記しました。

今回の記事の要旨

一条工務店i-smartやi-cubeであればその断熱基準は標準仕様でもＺＥＨが求める最高水準を満たしています。しかし、現在募集されているＺＥＨ補助金の要件として「１０ｋＷ未満のソーラーパネルを設置すること」とされており、夢発電で１０ｋＷ以上の20年固定買取を使用した場合、ＺＥＨ補助金の要件を満たすことができず、ＺＥＨ補助金を受けられなくなってしまいます。

もちろん、１０ｋＷ未満のソーラーパネル設置にすれば、H27年度は130万円（H28年度は125万円）のＺＥＨ補助金をうけることができます。また、１～３地域にお住まいの場合は、Ｑ値が１．０以下という要件も満たしているので、補助額が増額し150万円（H27年度、H28年度で変更無し）の補助金を受けることができます。

しかし、１０ｋＷ以上のソーラーパネルが設置できるのに、それを取りやめて１０ｋＷ未満にすれば、ZEHはもらえますが売電収益は目減りしてしまいます。さらに売電期間も10年になってしまいます。。。

今回と次回の2回に分けて、一条工務店の家はZEHの基準を満たせているのか、そして、ソーラーパネルを１０ｋW以上搭載するのとZEH補助金のいずれをとるほうが良いのかについてまとめて見たいと思います＼(^o^)／

ＺＥＨ補助金とは何か？

ＺＥＨって何？

現在、家を建てることを考えている方の多くはＺＥＨ補助金についてなんとなくご存じの方も多いと思います。

ＺＥＨは「ゼッチ」と読み、通常ゼッチ補助金と呼ばれています。

ＺＥＨはZero Energy House（ゼロエネルギーハウス）の略です。

ゼロエネルギーハウスとは「年間の1次エネルギー消費量がネット（正味）でおおよそゼロとなる住宅」のことを指します。

なんだかわかるようなわからないような定義ですね^^;これについては後ほど詳しく解説してみます。

とりあえず、「冷暖房照明等生活に使うエネルギーが少ない家にソーラーパネルを設置することで、自分たちの使うエネルギー以上のエネルギーを生み出せる家」と思っていただければ良いかと思います。

1次エネルギーとは何か？

この節は興味のある方だけ読んでいただければ結構です。

「一次エネルギー」という言葉があまりなじみのない言葉です。

1次エネルギーがあるのですから、当然2次エネルギーもあります。

1次エネルギーとは、石油や天然ガス、石炭、さらには水力など自然界にそのものの形として存在しているエネルギーのことを指します。

私達が使う電力は自然界に存在しているわけではなく、火力滑電であれば石油や石炭、天然ガスなどを燃やしてタービンを回すことによって生み出されるエネルギーです。このように1次エネルギーを使って生み出されたエネルギーのことを「2次エネルギー」と呼びます。

この1次エネルギーと2次エネルギーの考え方がなぜ必要になるのかをも少し踏み込んで考えてみます。

電気の使用量は１ｋWh（キロワットアワー）という単位で示されます。これは１ｋWの家電を1時間使ったときの消費電力量と同じです。

中学校の理科か高校の物理？を思い出していただきたいのですが、１ｋWhは何ジュールか？というのを憶えているでしょうか？

正解は

１ｋWh＝３６００ｓ×1kJ=3600kJ

となります。これはご存じの方も多いかと思います。物理的にはこの関係は常に一定です。

しかし、系統電力１ｋWｈは

1kWh=９７５７ｋJ

として計算する必要があります。物理量の等式が変わってしまうのです。

この式が何を意味するかというと、１ｋWhの電力を作るには9757kJのエネルギーが必要であるということを意味しているのです。

電力１ｋWhを作るためには、火力発電であれば天然ガスなどを燃やして、その熱でタービンを回して電力を作り、その電力を送電線を通じて各住宅に届ける過程が必要になります。この過程で多くのエネルギーが失われてしまうため、１ｋWhの電力を得るには、9757kJのエネルギーが必要ということを意味しています。

すなわち、実際に1次エネルギーである石油や石炭、天然ガスなどが本来持つエネルギーのうち、３６００ｋJ/9757kJ=36.9%しか電力として使用できないと言うことを意味しているのです。

ZEHで「1次エネルギー換算」としている理由はここにあります。

例えば、住宅で1000kWhの電力を消費して、ソーラーパネルが1000ｋWhの発電をしたら、見かけ上は消費電力がプラスマイナスゼロとなります。でも、ソーラーパネルは自宅の屋根で発電をしているので、送電ロスはほぼゼロです。一方の系統電力は実際のエネルギーのうち、36.9%しか使えないのです。これでは、ソーラーパネルにとって不利な計算となってしまいます。

そこで、ソーラーパネルで１０００ｋWhの発電をして自宅でその電力を消費したならば、

1000kWh×9757kJ=9757MJ

のエネルギーを削減したことに等しいとして計算するのが1次エネルギー換算という考え方です。

この考え方に従えば1次エネルギーを１000ｋWh（=3600MJ）削減するのに必要な太陽光発電電力量は369kWhの発電で賄うことができると言うことを意味するのです。

計算上のこととは言え、例えば温室効果ガスの排出削減量などを計算する際には重要な考え方になります^^

ただ、ZEH補助金を受けるのにこのことを理解している必要は全くありませんのでタダのまめ知識です^^;

いくらの補助金が受けられるの？

ＺＥＨ補助金は、補助金としては高額な部類にはいり、受けられることが決定すれば定額で130万円（H28年度は125万円）の補助金を受ける事ができます!（参照ページ）

さらに、一条工務店の家であれば、１～3地域にお住まいの場合は、Ｑ値1.0以下という補助金額の上乗せ基準も満たせるため、150万円の補助金を受ける事ができます。

100万円以上の補助金が受けられるとなると、やはり補助金を受けたくなるのが心情ですよね^^

個々で言う地域区分は

に示されており、細かく市町村の区別がありますが１～３地域とは、北海道、青森、岩手、秋田県の4県が該当します。寒い地域ではより高い断熱性能にすることで多くの補助金が受けられるようになっています。

ＺＥＨ補助金を受けるのに必要な条件は？一条工務店の家は受けられる？

ＺＥＨを受けられるエネルギー消費の少ない家ってどんな家？

ZEH補助金をうけることができる「エネルギー消費の少ない家」とはどのような家かについては、ＺＥＨ補助金の要件に定義されています。詳しくはＺＥＨ補助金の要件を確認してください。

新築住宅が満たすべき要件についてざっくりと説明します。

1. 住宅の年間の一次エネルギー消費量が正味（ネット）でゼロ以下であること
2. 住宅の年間の一次エネルギー消費量が、基準よりも20％以上削減されていること
3. 一定の断熱性能を満たすこと。
4. 導入する設備が、SIIが別途定める一定の要件を満たすこと。
5. エネルギー計測装置（ＨＥＭＳ）を導入すること。
6. 太陽光発電システム等の再生可能エネルギーシステムを導入すること

以上６つの要件を満たすことが必要です。

上記の基準を満たすためには、高効率な機器の導入が必要とされていますが、新築をする方であればまず問題になることはないかと思います。詳細はこちらの資料のP９に記載されています。

高効率な機器ってかなり特別な機器の導入が必要なの？

ZEHを受けるためには、エネルギー消費量の少ない高効率なエアコンや照明の導入が必要となります。しかし、新築をする方であればこの点はまず気にする必要がないかと思います。

一条工務店の場合、照明は坪単価計算のLED照明を導入される方が多いと思いますので、照明についてはまず問題がありません。

また、給湯設備についても、オール電化住宅の方はエコキュートを導入されることになるかと思いますが、一条工務店ではエコキュートが標準仕様なので問題ありません。

気になるのはエアコンかと思いますが、エアコンに求められる性能は上記資料より暖房の場合で

となっていて、COPという数値で性能基準が決まっています。一条工務店が採用している全館床暖房システムのメーカー（今でも同じでしょうか？）は長府製ですが、長府製のRAYエアコン、RAY-4037であれば、COPは４．２０となっています。いずれの地域でも上記基準をクリアできています。

ということで、一条工務店で家を建てる場合については、導入機器で躓くことはまずなく、標準仕様の範囲内で対応可能と思います。

一条工務店の家はＺＥＨが求める断熱性能を満たせているの？

そこで気になるのが「３．一定の断熱性能を満たすこと」という基準かと思います。

これについても、標準仕様の範囲内でZEHの要件を満たしています。ZEHではUA値という断熱性能の指標で断熱性能が示されているのですが、Q値も使用可能です。

住宅が満たすべき断熱性能は下の表の通りです（参照P10）。

これによると、

北海道、青森、岩手、秋田県でQ値1.4以下、沖縄を除くそれ以外の地域でQ値1.9以下を求めることが求められています。

一条工務店のi-smart、i-cubeであれば、Q値1.0以下は確実で、セゾンであってもQ値1.4以下は達成できています。よって、標準の断熱性能でZEH要件の断熱性能もクリアできています。

HEMSの導入

一条工務店の家で、唯一標準仕様外となる条件が、「５．エネルギー計測装置（ＨＥＭＳ）を導入すること」という条件になります。

いわゆるHEMS（Home Energy Management System）の導入が必要となります。要するに、自分の家でどれくらい電気を使っているのかを見える化する装置です。

以前は、一条工務店でも自社HEMSを作っていたようですが、現在はどうなっているのでしょうか？もし一条工務店のHEMSが導入できるようであれば、それを導入することで問題ないかと思います。それ以外にも大手の電機メーカーなどから多数のHEMSが販売されており、例えばパナソニックや三菱電機などからもZEH対応のHEMSが販売されていますのでこれらを導入することで要件を満たすことができます。

もっと安く導入することもできると思いますが、導入費用は非常にざっくりで10万円弱程度と思います。

それでも一条工務店の家でZEHをうけるのが難しい理由

ソーラーパネルの容量が１０ｋW未満である事

ここまで示した通り、一条工務店で家を建てればZEHの要件はほぼ標準仕様で要件を満たすことができます。HEMSに費用がかかるとは言っても、130万円の補助金が受けられればおつりが来ます^^

しかし、いくら住宅の性能や標準仕様でZEHの要件を満たしていても、一条工務店の家でZEH補助金を受ける事は非常に難しくなっています。

というのも、ZEHの要件として

新築住宅ではソーラーパネルの容量が１０ｋW未満であること

という条件ががあるためです。（参考：事業の要件８備考）

一条工務店では自社生産したソーラーパネルを屋根一体型パネルとして大容量搭載できることを売りにしています。

一条工務店で家を建てた方のソーラーパネル平均搭載量は１４ｋWとなっています。

そうなんです。。。。夢発電を使って１０ｋW以上のパネル搭載をしてしまうと、ZEH補助金を受けられなくなってしまうのです。

ソーラーパネルの搭載量を１０ｋW未満にすることは全く問題なくできます。そもそも2012年までは全量買取制度がなかったので、住宅では１０ｋW以上のソーラーパネルが搭載できませんでした。それが2012年7月の全量買取制度の開始に伴い、一条工務店のソーラーパネル搭載量は１０ｋWを超えることが当たり前となったという経緯があります。

ソーラーパネル搭載量が１０ｋW以上であれば、20年間の固定買取として、20年間売電単価を保証してもらうことができます。電気料金の高騰時には、全量から余剰に切り替えることもできます。

しかし、ソーラーパネルの搭載量を１０ｋW未満にすると言うことは、固定買取期間を10年にするということを意味します。

そこで問題になるのが

ソーラーパネルを１０ｋW未満に抑えてZEH補助金をもらった方が得か？

ZEHをあきらめて１０ｋW以上のソーラーパネルを搭載した方が得か？

という問題が出てきます。

いずれを選択すべきかについては
[kanren postid=”10327″] をご覧下さい。

H28年度（2016年度）ZEH(ゼッチ)交付要件について

ZEH（ゼッチ）交付要件の公表

2016年4月28日に平成28年度（2016年度）のZEH一次公募が開始されました。

公募については「平成28年度ネット・エネルギー・ハウス支援事業一般公募について」をご覧下さい。

H28年度のZEH取得要件は以下の4つの条件を全て満たすことが必要です。

• 住宅の外皮性能は地域区分ごとに定められた強化外皮基準（UA値）以上であること。
• 設計一次エネルギー消費量は再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から20％以上削減されていること。
• 太陽光発電システム等の再生可能エネルギー・システムを導入すること。
  売電を行う場合は余剰買取方式に限る。＜全量買取方式は認めません＞
• 設計一次エネルギー消費量は、再生可能エネルギーを加えて、基準一次エネルギー消費量から100％以上削減されていること。

これについてはH27年度の要件と変更はありませんでした。H28年度も全量買取方式を選択するとZEH補助金を受けられなくなっています。

ZEHを受けるためには認可を受けたZEHビルダーで家を建てる必要がある

H27年度（2015年度）から変更となった条件として

申請する住宅はSIIに登録されたZEHビルダーが設計、建築または販売を行う住宅であること。

という条件が新たに加わりました。SII（環境共創イニシアチブ）によって認可を受けたZEHビルダーで家を建てていなければZEH補助金の要件を満たしていてもZEH補助金を受ける事ができなくなりました。

さらに、北海道でZEH対応住宅を建築するには通常の登録とは別に「A登録」という登録が必要になっています。北海道以外でZEH対応住宅を建てるには「B登録」という登録が必要となっています。

２０１６年５月２日時点のZEHビルダー一覧（検索機能付き）

ZEHビルダーとして登録されているハウスメーカーや工務店はSIIのZEHビルダー一覧で確認することができます。（検索や並べ替えができず恐ろしく使いにくいサイトになっているため、下記に一覧をまとめます。）

2016年5月2日時点で北海道でZEH住宅と建てられるA登録と北海道以外でZEH住宅を建てられるB登録の両方の認可を得ているハウスメーカーは下記の14社のみとなっています。

• 株式会社一条工務店
• 積水ハウス株式会社
• 住友林業株式会社
• 大和ハウス工業株式会社
• セキスイハイム
• ミサワホーム株式会社
• スウェーデンハウス株式会社
• クレバリーホーム
• セルコホーム
• 株式会社 日本ハウスホールディングス
• 株式会社住まいのウチイケ
• 株式会社土屋ホーム
• 住友不動産株式会社
• 低燃費住宅

この他のZEHビルダーについては以下をご確認ください。

PCスマホ共に「検索：」と書かれた右側をクリックして知りたいハウスメーカーや工務店の名称を入力すると全件データから検索が行えます。部分一致検索ですので株式会社等を気にする必要はありません。