こんにちは。さすけです。
本日は2本の記事を連続アップします。
この記事は「前編:ご両親の家について考えてみませんか?」の続きです。
[kanren postid=”11056″]前回の記事では1981年以前に建築された戸建住宅に対する耐震改修工事について書きました。
しかし、耐震改修工事には100万円以上の費用がかかってしまいます。そこで、もっとずっと安く、命を守るための地震対策として耐震シェルターについてまとめます。
耐震シェルターという選択
東京都も紹介する耐震シェルターとは?
耐震改修工事は住宅そのものの耐震性を上げる工事です。住宅そのものの耐震性が向上できる一方で、補助金などを使っても100万円程度の費用が発生してしまいます。
また、住宅によっては耐震改修が困難なケースもあります。そこで考えられたのが耐震シェルターです。
耐震シェルターとは、住宅全体の耐震性能はそのまま、すなわち大規模な地震が来れば倒壊する可能性があることを前提として、在室時間の長い空間(寝室等)のみについて住宅が倒壊しても、人命が損なわれることがないよう家の中にシェルターを設ける方法です。
東京都が設置する耐震ポータルサイトには、16種類の耐震シェルターが紹介されています。
耐震シェルターには大きく
- ベット型
- 部屋(寝室)型
の2種類があります。
両方に共通しているのは寝室の安全性を確保するという点では共通しています。
睡眠時はとっさの判断が困難である事、長時間同一の場所に滞在することなどから、寝室の被害を軽減することで人命を救うという考えに基づいています。
上記ポータルには耐震シェルターの費用も示されていますが概ね30万円~50万円程度、部屋型の防災シェルターで概ね50万円~値段の高いものは200万円以上までと様々あります。
その中に1つだけ、25万円という「極端に安い」価格設定の耐震シェルターがあります。それが、東京都の耐震シェルターのページトップの写真にも使われている商品です。
一条工務店の耐震シェルター
耐震シェルターを検討されている方がいたら、是非東京都のポータルサイトで一覧を確認してみてください。。。これは大企業の横暴?と思えるほど、おそらく、設置面積の問題がない限りは、一条工務店の耐震シェルター1択状態となる程度に、価格、施行期間、が突出していることがわかるかと思います。
施行期間と価格がめちゃくちゃ
仮に同じ性能であれば価格が最も安い一条工務店の木質耐震シェルターが選択されるように思います。
一条工務店の木質耐震シェルターの価格は25万円(税抜き)です。税込みで27万円となっており、東京都が紹介している16の耐震シェルターの中で最も安い値段となっています。
一概にどれがよくてどれがダメというわけではないのですが、大半の耐震シェルターは強度を得るために金属を使用してその強度を出しているのに対して、一条工務店の耐震シェルターは「木質」とあるように、金属製の構造材を使用しておらず、他のシェルターと比較して価格が圧倒的に安くなっているのだと思います。
また、品質的にも他のシェルターが木材や鉄骨材むき出しで、装飾を入れるためには有料のオプションが必要になりますが、一条工務店の耐震シェルターは標準として壁クロス張りとなっており、特に何も手を入れなくても十分居室として使用できるものとなっています。
(ベットは別ですよ^^;)
写真を見て分かるとおり、シングルベット2つがおけるスペースが確保できます。
施行期間はたったに2日です。これは部材を一条工務店のフィリピン工場で組み立てた上で、持ってきて組み立てるようになっているからこそできることと思います。
何よりも25万円という価格は、破格と思います。
一条工務店の耐震シェルターは床・壁・天井の全てが32mmの合板で作られています。
実際に手にしてみると分かりますが、かなりの厚さと重さの板でできています。
32mmの合板を部屋のサイズ分だけ購入したとしてもおそらく15万円程度にはなってしまいます。その他に施工費や輸送費が別途発生するので、25万円とい価格設定は原価そのものか、販売によって赤字になる価格設定と思います。
価格設定が良い意味でめちゃくちゃと思います。その理由は後ほど。
室内の広さは?
シェルターの内部はちょうどシングルベッドが2つおけるサイズになっています。夫婦2人が寝室で過ごしている時に、大地震が来て住宅が倒壊しても被害にあわないようになっています。
決して広い分けではありませんが、4.5畳以上の居室であれば設置できる自由度を考えると、十分な空間が確保されているように思います。
一条工務店の耐震シェルターは本当に家が倒壊しても大丈夫なの?
実大実験映像
どんなに安くても、室内がクロス張りであっても、その強度が不十分であれば耐震シェルターとしては意味がありません。
東京都のポータルで紹介されており、かつ、補助金の対象となっていることからもその強度は十分なものを供えていると言えますが、百聞は一見にしかずですから、下記の動画をご覧下さい。
5mの高さからの落下実験においてもシェルターが壊れることがないとしています。
また、2階の屋根が倒壊してきたことを想定して3トンの瓦を3mの高さから落下さえる試験でもシェルターはびくともしていません。
最後は、実大家屋の倒壊実験が示されます。
2階部分がそのままのしかかってくるような衝撃でも、シェルター自体が壊れてしまうことはありませんでした。
これらの点から、その強度は万が一の場合、シェルター内の人命を守る上では十分な性能を有していると言えます。
開発費は改修できていない・・・
ちなみに、東京都が指定する耐震シェルターの中で実大住宅に設置した状態で住宅を倒壊させてその強度を示しているのは、一条工務店の耐震シェルターだけと思います。。。。
耐震シェルターはその価格の安さが最大のメリットです。。。一方で、実大住宅を用いた倒壊実験にはその安全対策等々含めて多大な費用がかかります。。。
耐震シェルターはどう考えても馬鹿売れするような商品ではないので、1万個販売できる可能性でさえ極めて低いです。。。そう考えると、どう考えても実大実験などしてしまっては開発費など回収することはできないように思います。というか、そもそも設置原価さえ割れているように思います。
そういう意味でも、一条工務店の耐震シェルターは破格の価格設定であるように思います。
開発経緯に非常に好感が持てた
「社会のため」に作った商品ではない点
このように極端に安い価格で商品を提供する場合、大抵の大企業は「社会のため」、「世の中のため」のような話をしがちと思います。特に、耐震シェルターのような商品は、得てして「社会」のために作ったかのようなことが述べられることが多いように思っています。
しかし、「世の中の為」、「みんなのため」、「社会のため」という人の話は鵜呑みにしない方が良いというのは、ある種の常識と思っています。
その点、この一条工務店の耐震シェルターの開発経緯には非常に好感を持ちました。
一条工務店はこの耐震シェルターを世の中の為に作ったのではなく
「創業者が自分の友達のために使った商品」
であると紹介されています!
開発のきっかけは、創業者の方が、老朽化した家に住んでいる友人に家の建て替えをすすめた際に、その友人から
「私はこの家と一緒に潰されるのであれば、それも良いのではないかと思っている。」
という言葉が帰ってきたことがきっかけだったとされています。
これは、高齢者の方の本質を突いた意見のように思います。子どもたちも独立し、自分たちの余生がどの程度であるかもわからない状況で、いまさら、住み慣れた家を建て替えをしたくはない、というのはお金の問題などとは無関係に多くの方が持つ、一つの価値観のあり方ではないかと思います。
家を立て替えることなく、友人を守るために考え出されたのが、「耐震シェルター」ということのようです。
これが「社会のために」、「世の中を良くするために」のような建前上のきれい事が述べられていたら、私は25万円という価格の安さに不安を感じて今回のような記事は書かなかったと思います。
しかし、「友達のために作った」というのは、採算を度外視した販売にも非常に強い説得力を持たせます。この逸話が販売戦略上の設定であったならば、それはすごいことですが、そうであれば一条工務店のあの宣伝の下手くそさはあり得ないので、戦略などではなく、そういう事実があったのだろうと思います^^;
創業者が(友達のために)シェルターを開発するぞ!といったら、そりゃ逆らえませんし「こういうものは安くなきゃだめだ!」と言われたら安く作らざるを得ませんからね^^;;;
これは完全に私の想像ですが、25万円という販売価格は、積算をして求めた販売価格ではなく、この創業者の方が「こういうのは25万円くらいで売らなきゃダメだ!」と言ったから25万円になっているのだろうと思います。。。そこに合理性やコスト計算などあってないようなものだと思います。そうでなければ25万円という数値は出るはずがないと思います。
是非一条工務店に耐震シェルターの改良をお願いしたい点
テレビを取り付けられるようになりませんか?
耐震シェルターの実物は工場見学の際に見ました。また、新宿駅で展示されていた模型なども見て思ったのですが、一条工務店の耐震シェルターは非常に良くできているように思いますが、1点だけ改良した方が良いと思った点がありました。
それは、現在の耐震シェルターにはテレビを置くスペースがないという点です。高齢者世帯にとってはテレビというのは大きな娯楽であると同時に、情報源でもあると思います。
昔のブラウン管テレビだと難しいですが、現在の薄型の液晶テレビであれば天井からつり下げることも十分にできます。
現状の耐震シェルターではテレビの配置は考えられていないため、おそらくは耐震シェルターを導入した方は狭い空間に無理矢理液晶テレビを持ち込んでいるように思います。液晶テレビは大型化しており、重量も決して軽いものではありません。おそらく無理矢理部屋の中に置かれた液晶テレビは地震の際に転倒することになると思います。
そんなことになるぐらいならば、テレビを天井からつり下げる金具を選択できるようにはできないでしょうか?耐震シェルターの天井は32mmの合板でできているのでテレビをつり下げても問題はないはずです。
壁掛けテレビでも天井つり下げテレビでも構わないので、生活者の安全を守るためにも耐震シェルター内に事前にテレビを設置できるようオプション化するなどの対応を取ってもらえると良い様に思っています。
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家を建てる際に両親に紹介してみませんか?
耐震シェルターのような商品は、宣伝を手広く行う事はできない商品です。
そのため、耐震シェルターを真に必要としている家に住んでいる人たちはこのような商品があると言うことさえ知ることはありません。
耐震シェルターが必要な家は、1981年以前に建てられた家、すなわち私達30代から40代の人間が子供時代を過ごした当時の家に他ならないのです。
自分が子どもの頃住んでいた家は既に建て替えたという方も多いかも知れません。しかし、今も当時の家に両親が住んでいるという方も多いのではないでしょうか?
自分たちの家を建てる事を期に、偶然にしてこう言う商品があることを知ったことをきっかけとして、両親に耐震シェルターというものがあることを紹介してみてはいかがでしょうか?
金額的には25万円ですから、オプション1つ分の価格程度です。自分たちの予算が許すならば、両親と話をして、両親にプレゼントすることも十分にできる価格ではないかと思います。
まずは、必要な人が「耐震シェルターの存在を知る」ことが最も大切なことです。
知らなければ選択する機会さえ得られないのです。
新築の家を建てるときに、両親には耐震シェルターを紹介すると言うことに気が引ける方もいらっしゃるかも知れません。しかし、まずは、話をしてみて、「そんなのは嫌だ」と言われればそれはそれで良いと思います。それでも、知らなかったことで後悔するよりずっと良いと思うのです。
ただ、もしもそういうものがあるならば使って見たいという人が出てきて、将来の万が一の地震で命を守ることができたならば、それは良いことのように思うのです。
私達にできることは、自分たちが知ったことをそれを真に必要としている人に伝えることだけです。
私自身は一条工務店のi-smartを素晴らしい商品だから是非みんなが買うべきだ!ということは言ったこともありませんし、そう思ってもいません。
しかし、この耐震シェルターは素晴らしい商品と思いますし、非常に良くできたものと思います。全ての人のニーズを満たせるわけではないし、また、完全に命をまもることができるわけでもありません。
それでも、耐震シェルターを真に必要としている人に届けることができたならば、本当の意味で命を守ることができる商品であるように思うのです。購入を検討したい方は↓以下で実物も見れます。
東日本大震災から5年が経ち、地震の記憶も薄れつつあるのは事実と思います。しかし、日本に住んでいる限りは将来必ず起こる大規模な地震に供えることも必要です、そのような中で一つの選択として考えるきっかけとしていただければ幸いです^^