こんばんは。さすけです。
一条工務店の上棟時、建築時における雨ぬれに関する3番めの記事になります。冒頭からお読みいただける場合は
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前回は、無垢の木材がなぜ雨に濡れても腐ったりしないかを書かせていただきました。また、カビが発生した場合の一条工務店の対応などについても書かせていただきました。
今回は、無垢材ではなく「合板」は雨に濡れても大丈夫なのかについて書かせていただきます。一条工務店が得意とするi-smartやi-cube系のツーバイ工法を用いた住宅では無垢材だけではなく、構造用合板と呼ばれる接着剤で木材を貼り合わせたものが多く使用されています。
私達の一般的なイメージでは接着された木材が水に濡れればその接着剤が剥がれてしまい、ボロボロになってしまいそうなイメージを持ちます。今回はこの構造用合板が雨に濡れても大丈夫なのか?ということを書いていきたいと思います。
- Part1. 一条工務店上棟時の雨で家がずぶ濡れ!本当に大丈夫?大丈夫なわけないじゃん
- Part2. 木材に対する誤解と実際:木は水に強い・弱い?上棟時の雨ぬれが心配!
- Part3. 合板は雨に濡れても大丈夫?一条工務店の合板には特級ではなくて2級だった!?
- Part4. 上棟時に雨に降られて室内がびしょびしょ消費者センターに相談すべき?
- Part5. 上棟時に雨に濡れてしまったらどのように対応をしてもらうか?一条工務店の場合
- Part6. 上棟時・建築中雨に濡れてしまった場合どこまでの責任を求めるべきか?
一条工務店の合板には特級ではなくて2級だった!?
ここまでは、木材そのものの性質について説明してきました。続いては、多くの方が気にされる「合板」が水に濡れた場合について考えてみたいと思います。
合板というとベニヤ板がすぐに頭に浮かび、水に濡れたら接着剤が剥がれて波打ってボロボロになるイメージを持たれている方も多いかと思います。
しかし、一条工務店で家を建てた方で上棟時に雨に遭われた方の多くは、営業さんや監督などから「特類(特級)の合板を使っているから雨に濡れても問題ありません」と言う言葉を聞いたことがあると思います。
これは事実か?と言われれば事実です。雨に濡れても、なんなら水に浸かっていても構造上の問題はありません。
しかし、一条工務店の営業さん達の中で「なぜ特類だと雨に濡れても大丈夫か?」ということを理解している方は少ない印象を持っています(さすがに試験がある監督さんは知っていると思いますが??知ってますよね??)。
多くの営業さんなどの説明では「特類(特級)」があたかも高級・高品質のものを使っているから大丈夫というような説明が多い印象です。でも、その説明は全く間違えています。
一条工務店では家を建築する際の床板などに構造用合板を多く使っています。
構造用合板というのは要するにベニヤ板の厚い物と思って下さい。構造用合板は、木材を薄くカットしたものを接着剤で貼り合わせて作ります。
そして、この構造用合板には農林水産省が定めるJAS規格(日本農林規格)で、強度によって1級と2級の2種類が定められています。
一条工務店はこの住宅用構造合板として最近建築された住宅では「2級」を使っているとのことです。
ちなみに、私が家を建てたころは広葉樹の構造用合板1級を使っていましたが、現在は針葉樹構造用合板の2級に切り替えが行われたようです。
私が知る限り一条工務店以外の大手のハウスメーカーでは1級の広葉樹構造用合板が一般的に使われており、2級の針葉樹構造用合板しか使っていないメーカーは知りません。
え!!!特級じゃないの?と思われるかも知れません。そもそも特級なんてありません。特級どころか2級です^^;
一条工務店ではなぜ2級の構造用合板に切り替えたのか?これ、実はすごいこと。
一条工務店が針葉樹の2級構造用合板を使っていることは、監督に電話して確認したので間違いありません。でも、これ、実はすごいことなんです。
今回、雨ぬれのことを記事に書こうと思い、間違えたことを書くと良くないので監督に電話して屋根下地などには2級も使われることが多いので、全部1級なのか確認しようと思っていました。
そうしたところ、最近「針葉樹の構造用合板に切り替えが行われて2級になりました」と言われました。
実は、これ本当にすごいことなんです。ぶっちゃけ一条工務店を見直しました。詳しくは後日書きますが、これはヒラタキクイムシ対策と思います。
もう2年近く前、下記のようなTwitterの投稿をしていました。
まだブログの記事にはしていませんが、私は2年に渡ってこのヒラタキクイムシについて色々と調べてきました。そして、一条工務店にもお客様相談室を通じて問題があったケースを連絡したこともあります。詳しくは後日記事にアップしたい(かなりショッキングな内容です)と思いますが、このヒラタキクイムシへの対策としては「針葉樹合板」を使う以外に抜本的な対策がないのです。
通常の合板は広葉樹(ラワン)で作られており、針葉樹合板というのはその生産量も少なく、またコストも高いことから、先進的な小さな工務店での採用事例はあるものの、大手のハウスメーカーではどこも採用していないものでした。
しかし、一条工務店ではいつの間にかしれっと、その針葉樹の構造用合板を採用していたと聞いてかなりビックリしました。
針葉樹構造用合板には実質1級は存在しない
構造用合板のJAS規格は、広葉樹であるラワン材を主材とする等級規格と針葉樹を主材とする等級規格では異なる試験方法が定義されています。細かな話(ヤング率がどうたらの説明)は置いておくとして、現在市販されている針葉樹合板2級と広葉樹合板1級では住宅用の構造合板として強度、耐久性に大きな差異はないと考えて問題ありません。
なによりも、現状、1級の針葉樹構造用合板というものは市販されいません。そのため、針葉樹構造用合板を採用する限り、2級を選択せざるを得ない状況です。
現状では流通量が少ないため、2級針葉樹構造用合板と1級の広葉樹構造用合板であれば、2級の針葉樹構造用合板の方が値段が高いように思います。そのような中で、ヒラタキクイムシという食害害虫への対策としては、極めて積極的な対策として高く評価されるものと思っています。
一応、1級の構造用合板を作る方法はあるのですが、市販はされていません。というのも、合板の原料として高級木材である「ヒノキ」で構造用合板を作らなければならないからです^^;
高級木材であるヒノキでベニヤ板を作るなどという馬鹿げたことはできないので、規格は存在するけれど市販はされていない、というのが針葉樹構造用合板の現状です。
一条工務店で採用している構造用合板は「特類」です
でも、どちらにしても、1級、2級であって「特級」なんてないじゃないか!と思われたかと思います。
じゃあ、営業さんなどが言う「特級(特類)」というのは何のこと?と思いますよね?
JAS規格では構造用合板の「接着剤の耐久性」によって、特類と1類、という2種類の規格が定められており、雨ぬれの際に言われる「特類を使っているので~」というのは、接着剤の耐久性を示す類のことを言っています。(2類もありますが、構造用合板には使われません)
少しややこしいですが、JAS規格では構造用合板として、1級-特類、1級-1類、2級-特類、2級-1類という4種類の構造用合板の規格が存在します。
1級、2級というのは強度試験方法の定義で、表記上は1級と2級の2種類ですが、実質的には1級・2級でも広葉樹の1級・2級と針葉樹の1級・2級に分けられます。そして、これとは別に接着剤の耐久性の規格として特類と1類が存在しているのです。。。。ややこしいですね^^;
下に実際のJAS規格のラベルを示します。
こちらを見ていただくと左側に「特類」と書かれていて、マークの下に「1級」と書かれていることがわかるかと思います。
このように、構造用合板は級と類という2つの性能を示す規格で校正されています。ちなみに、広葉樹と針葉樹は右側四角の「板面の品質」で示されており、「E-F」と書かれていたら針葉樹構造合板であることを示しています。
ホントややこしいですね。。。
文字までは見えないと思いますが、我が家の上棟時にも合板にはJASのマークが刻印されていました。
我が家を建築したときは、広葉樹が用いられていましたので特類-1級、板面品質「C-D?(文字が見えづらいので、違うかも?)」と書かれていました^^
最近家を建てられた方であれば、特類-2級、板面品質「E-F」と書かれているかと思います。
構造用合板接着剤耐久性の特類と1類の違いは??
では、構造用合板における接着剤耐久性の特類と1類の違いは何か?となります。
特類と1類の違いは「接着剤の耐久性」によって分類されていますが、もう少し詳しく言うと特類の構造用合板は「常時湿潤状態(水に濡れた状態)における接着耐久性が確保されていること」とされています。
要するに、常に水で濡れていても接着剤が剥がれることがないもの、が特類に分類されます。別に高級品だから特類になるわけではないのです。。。
また、一条工務店が「特類」というスゴイ構造合板を使っている特別な存在ではなく、どこのハウスメーカーでも、床板、屋根材には特類の構造用合板を使います。そのため、一条工務店の営業さんなどが「うちは特類を使ってますから大丈夫です!」というのは正しくは「うちも」に過ぎません。何にもすごくなくてもの凄く当然なことを言っているだけなのです。。。
ではどの程度濡れても大丈夫か?というとこれは結構スゴイです。
JAS規格における接着剤耐久性において特類に分類されるためには、いくつか試験方法はありますが、合板に促進劣化処理を施した上で72時間煮沸しても接着剤が剥がれないことが条件となります。
これは、通常環境であれば水に浸かったような状態であっても事実上ずっと接着剤が剥がれることはない、ということを意味しています。
ようするに雨に濡れた程度、極端な話水に浸かってしまったような状態でずっと置いて置いても接着剤が剥がれることはないことを意味しています。
というか、そもそも特類の構造用合板は屋外のように雨ざらしで使われることも想定した規格です。だからこそ、通常は上棟時に床板などが雨に濡れても構造上の問題を生じることはないと言えるのです^^
一条工務店の営業さんなどの説明では、「なぜ雨に濡れても大丈夫なのか?」という説明をしているケースを聞いたことがありませんが、上記のような理由から雨に濡れても事実上問題が起こることはないという点では大きくは間違っていません。きちんと分かっていて「大丈夫」と言っているんですよね(゜_゜;)
それでも、木材表面が剥がれたら交換または補修
特類の構造用合板はその規格の特性上、雨ぬれ程度ではまず問題が発生することはありません。
しかし、条件次第では部材等に問題が生じるケースがあります。
下のお宅では、雨ぬれによって、構造用合板に剥がれが生じています。
このように、品質上のばらつきや、周辺環境の条件によっては、雨ぬれによって、本来は剥がれるはずのない構造用合板が剥がれてしまうケースがあります。
こうした剥離が生じたケースでは、全ての構造用合板を張り替えてくれ!という気持ちになろうかと思います。しかし、個人的には是非問題のなかった構造用合板はそのままにしておくことを強くお勧めします!
言い方は悪いですが、これはある意味ラッキーと捉えて良いかと思います。というのも、構造用合板の原料は木材という、工業製品に比べると均一性が低い材料を用いています。結果的に、JASのような品質規格は存在するものの、それでもいわゆる工業標準規格であるJISに比べると遥かに品質のばらつきが大きくなります。
結果として、規格通りの接着剤を使っていても上記のように剥離が生じる部材は出てきます。
もちろん、そのばらつきの程度も含めて規格が定められているため、通常使用環境であれば住宅の強度には問題はないのですが、雨に降られて構造用合板が濡れるというのは、直接耐久試験をして、不具合のある構造用合板を選別するチャンスでもあるのです。
上記のように剥離が生じた構造用合板は、当たり前ですが、交換となります。
そうすることで、本来規格通りに作られていても、品質的には十分に規格を満たせていなかった不具合品を見つけ出して、交換や補修することができるチャンスであるとも言えるのです。
ここで、全部の構造用合板を交換してしまえば、元通り確率的に不具合品が混じり込みます。しかし、剥離が生じなかった構造用合板は、乾燥すれば強度が元通りになります。
そして、問題のあった構造用合板のみ交換や補修で対応することで、JASの規格上どうしても混入してしまう低品質品を排除して、高品質の部材だけで家を作れると言うことになるのです!
ですから、もしも雨ぬれで上記のような構造用合板の剥離が発見されたら、ラッキーと思ってその部材だけ交換や補修してもらうことをお勧めします。
床の構造用合板を全て張り替えざるを得なかった事例
私が知る中で、床の構造用合板がほぼ全て剥離して、全ての構造用合板を交換した事例が1件だけあります。
本来であれば写真を示したいのですが、5年ほど前の事例であるため写真が手元に残っていませんでしたので、どういう状況になると全面交換になるのかという一つのお話しとしてお読みいただければと思います。
そちらのお宅では、真夏のお盆前に基礎の上に床板の下地となる構造用合板が張られました。そして、夏休み明けに上棟が行われる予定となっていました。
そして、ここからが異常なことになっていきますが、構造用合板を張った状態で大雨が降ったのです。それ自体は比較的良くある事で、きちんと拭き取って乾燥させた上で翌日にでも改めてブルーシートで養生すれば問題はありません。
しかし、その工事現場の方は何ととち狂ったのか?雨に濡れた状態のまま拭き取りもせずにブルーシートで養生をしてしまったのです。。。
そして、ブルーシートが貼られた状態で、1週間以上も真夏の炎天下の中、誰にも気が付かれることなくびしょ濡れの床はブルーシートで養生され続けたのです。完全蒸し風呂状態です。
そして、1週間以上経過して、気になった施主の方が開けてみると、、、、
床のほとんど全て波打つようになって、合板が剥がれ、合板が剥がれた隙間にカビが生えているような悲惨な状態になってしまっていました。
当然、お客さんの側は怒り心頭です。。。そこに輪をかけてイイワケをする現場の担当者の方達、、、
最終的には全ての構造用合板を張り替えて、施工をし直すことになりまた。。。
こちらのケースでは、おそらく真夏のブルシートの下は70℃前後にはなり、それが長時間続いたことで構造用合板の耐久性の限界を上回ってしまったケースです。
私が知る限り、こちらのケースが構造用合板への雨ぬれの被害としては最大のものと思います。ただ、普通はあり得ないことと思います。
今回は、構造用合板がなぜ雨に濡れても技術的には問題がないとされているかについて考えてきました。
次の記事では、雨ぬれでぐちゃぐちゃになってしまったお宅を見て、一条工務店や第三者に相談する場合どのような点に注意をすべきかについて考えていきます。
続きは
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- Part1. 一条工務店上棟時の雨で家がずぶ濡れ!本当に大丈夫?大丈夫なわけないじゃん
- Part2. 木材に対する誤解と実際:木は水に強い・弱い?上棟時の雨ぬれが心配!
- Part3. 合板は雨に濡れても大丈夫?一条工務店の合板には特級ではなくて2級だった!?
- Part4. 上棟時に雨に降られて室内がびしょびしょ消費者センターに相談すべき?
- Part5. 上棟時に雨に濡れてしまったらどのように対応をしてもらうか?一条工務店の場合
- Part6. 上棟時・建築中雨に濡れてしまった場合どこまでの責任を求めるべきか?