こんばんは。さすけです\(^o^)/
先日、一条工務店が行っている防蟻処理についての記事を書きました。
そこでは、アメリカカンザイシロアリに対して対策を取っているのではないかと、思ったわけですがそうでは無かったと言うことがありました。
ブログに書いた後に色々な方から、コメント、メッセージにて一条工務店の家で行われているシロアリ対策について詳しく教えてもらいました。
で、ですよ。調べれば調べるほど分からないことが増えてきました。。。
例えば、
・ ACQは鉄腐食性があるけど大丈夫?
・ EPSに使われている防蟻剤がACQからニッソーコートAWに変わったのはなぜ?
・ ニッソーコートAWってどんな薬?安全?
・ ACQ加圧注入ではない表面処理済みの木材が使われているけどなぜ?
・ アメリカカンザイシロアリについてはどう考えているの??
・ っていうか、そもそも一条工務店は防蟻処理についてどのような考え方を持っているの???
といった感じです。
もう疑問だらけです^^;;;
で、ですよ。このあたりになると、調べてもほとんど分かりません。。。お手上げです\(-_-;)/
分からないことは詳しい人に聞けば良いじゃないか!
と思い、営業さんを通じて一条工務店のシロアリ対策について詳しく聞いてみることにしました!
で、その回答がありましたので、ここにまとめておこうと思います。
結論から言えば、
一条工務店はシロアリに何か恨みでもあるんですか??^^;;
と思うくらいの対策がとられていることが分かりました。
で、ですよ。一条工務店はなぜか、色々な対策を取ってるのにそれを一切説明しないという暴挙にでがちな会社なので^^;せっかく教えてもらったことですし、私の理解の範囲で書かせていただこうと思います。
今回の記事はちょっと、というかかなりマニアックになってしまうかも知れません。でも、住まいがシロアリにやられてしまった方などには関心があることと思うので、書いてみます!っていうか、一条工務店の営業さんにこそ知っておいて欲しいくらいの内容かもしれません!^^:
できる限り専門用語を避けて、わかりやすく書く練習と思って書いてみたいと思います。。。(←最近、自分の仕事でもこれが大切になってきたのでその練習です!!)
が、所詮練習なので、「わかんね~」となってもご容赦ください^^;;
文章にすると超長文になること間違い無しなので、Q&A形式で書いてみたいと思います。このQ&Aは私が勝手に作ったもので、一条工務店に対して行った質問とは異なります。また、回答も一条工務店からもらった回答を私が解釈して私の回答として書いたものです。一条工務店の回答ではないことにご注意ください。
Q1. 一条工務店で使われてる防蟻剤は何?
A1:場所、部材ごとに適材適所で様々な防蟻剤を使用している。
具体的な薬品は全部で6種類が使用されているとのことです。
* 基礎回り
・ 基礎部分:コシペレットB10の土壌部分への散布
・ ベタ基礎水抜き穴:コシシートEVの塗布
・ シーリング剤:コシシーラーによるシーリング
* 家の躯体
・ 外壁回り:マイトレックACQによる加圧注入剤
・ EPS:ニッソーコートAWによる表面処理
・ 内壁側:アリピレスによる表面処理剤
となっているとのことでした。
Q2. 具体的にどのような場所に各薬剤は使用されているの?
A2:さすけ亭を例にして・・・私が勝手に説明すると^^;
*基礎回り
基礎のシロアリ進入口付近にコシシート、コシシーラーを使用し、土間下等の土壌に接触する部分にコシペレットを散布。
* 家の躯体
外壁回り、土台はACQ、室内側にアリピレス、EPSにニッソーコートを使用。理由については後ほど。
以下、薬剤の成分の説明はマニアックになりすぎることと、私の個人的考えから限定記事にアップさせていただきます。
以下では、薬剤の分野別に
・ コシペレット、コシシート、コシシーラー、アリピレスを「ピレスロイド系 」
・ マイトレックACQを「ACQ」
・ ニッソーコートAWを「ニッソーコート」
と表現することにします。
Q3. それぞれの薬剤の主成分はなんですか?
A3:限定記事参照
Q4. ピレスロイド系薬剤とは?
A4. 殺虫剤です。ほ乳類に対する安全性は高いとされています。
Q5. ACQってどんな薬剤?
A5. 殺菌剤です。
細菌に対する殺菌効果を有していますが、殺虫効果はほとんど有りません。
詳細は、以前書いた記事をご覧下さい。
Q6. ニッソーコートってどんな薬剤?
A6. 殺虫剤です。ほ乳類に対する安全性は高いとされています。
限定記事参照
Q7. ACQには殺虫効果が無いのになぜシロアリ駆除に効果があるの?
A6. ACQは酸化銅と塩化ベンザルコニウムの水溶液です。
これらには殺虫効果がほとんどありません。矛盾する言い方ですが、シロアリはACQが付着した木材を食べると死んでしまいます。
基本的にシロアリは木材(セルロース)を栄養に変換する能力を持っていません。しかし、シロアリは木材を食べて栄養を摂取しています。
シロアリが木材を栄養にするためには、体内に住み着いた細菌(共生細菌)の力を借りているのです。シロアリが木材を食べて、腸内に済む細菌が木材を分解し、分解された細菌の排泄物をシロアリが腸から吸収して栄養に変えることでシロアリは栄養を摂取しています。
そのため、殺菌剤であるACQをシロアリが食べると、体内の共生細菌が死滅します。結果的にシロアリはセルロースを分解することが出来なくなり、死んでしまうと言うのがACQがシロアリ駆除に効果を有する仕組みです。
Q8. なぜ3種類の薬剤の違いは?
A8. それぞれの薬剤は異なった効果を持っています。
ピレスロイド系とニッソーコートは昆虫に対して接触毒として作用します。ようするに、薬剤が体に付着すると死んでしまいます。対して、ACQはQ6に書いたようにシロアリが薬剤を食べることによって効果を発揮します。
シロアリに対する薬剤の効き方の違いから、ピレスロイド系とニッソーコートは接触毒(触ると死ぬ)、ACQは食毒(食べると死ぬ)と分類されます。
次に、同じ接触毒であってもピレスロイド系とニッソーコートにも違いがあります。それは、ピレスロイド系は昆虫の「忌避性」が高いのに対して、ニッソーコートは「忌避性」
が低いとされている点です。
昆虫の忌避性とは読んで字のごとく、昆虫が嫌がって逃げていく薬剤のことを忌避性が高いと言います。「忌避性が低い」薬剤は昆虫が嫌がることなく、近づいてきてその毒性によって殺虫される効果を持ちます。
Q9. なぜ3種類の薬剤を使う必要があるの?
A9. これを考えるためには、住宅のどこに薬剤が使われているかを知る必要があります。
この図は一条工務店の営業さんからもらった防蟻処理範囲を模式的に示した図です。ただし、これは軸組工法の家の図でかつ古い図なので、我が家の現状とは若干違う部分もあり、参考程度に留めてください。
状図の中で緑色の外壁と床基礎構造部分にはACQ加圧注入木材がが使用されています。そして、内壁側の木材はピレスロイド系薬剤が使われています。また、内壁側に施工される断熱材であるEPSにはニッソーコートが塗布されています。
ここで、Q8に書いたシロアリに対する毒の効き方(接触毒と食毒)と忌避性に着目します。
考え方はこういうことだと思います。
防御ライン1:外壁に使用した木材はシロアリに取って食べられない(食べたら死ぬ)ACQ加圧注入木材で固めます。
これによって、シロアリが入り込みづらい家にします。
しかし、ACQの昆虫忌避性はそれほど高くないため、シロアリはACQ加圧注入木材を食べることはしませんが内部に入り込んでしまうことはあります。
防御ライン2:防御ライン1を突破して入り込んでしまったシロアリが内壁木材を食べることがないよう忌避性の高いピレスロイド系木材を使用します。万が一近づいてきても接触してシロアリを殺虫することで内壁を保護します。
防御ライン3:防御ライン1を突破して防御ライン2から逃げ出してきたシロアリは忌避性の低いニッソーコートの塗布されたEPS側に入ってきます。そこで、ニッソーコートがシロアリを殺虫します。
このように3つの薬剤をうまく組み合わせることで、ACQでシロアリを避けつつ、入り込んでしまったシロアリが内壁にとりつくことがないようピレスロイド系薬剤で処理された木材を使って、シロアリが逃げ出すようにし、ニッソーコートを塗布した断熱材に追い込んで死滅させる、というのが考え方のようです。
っていうか、なんかシロアリと戦争しているみたい^^;;と思ったのは私だけでしょうか?^^;;;
この考え方は非常に理にかなったもののように思えました。っていうか、それこそ宣伝にも十分使えるように思います。
Q10. とか何とか言って、その程度の処理は建築基準法とかで義務づけられているんじゃないの?(やって当たり前のことなんじゃないの?)
A10. なんか色々書いているけれど、一条工務店の宣伝に踊らされているだけでこのようなQ9 のような考え方は法律なんかで義務づけられていてどこのメーカーでも当たり前に行われていることなんじゃないの?という疑問がわいてきます。
で、住宅の耐久性の等級のうち、最高等級となる等級3を取得するためには、「基礎から1mまでの防蟻処理」が義務づけられた範囲となります。住友林業などにおいても同様に基礎から1mまでの範囲が防蟻範囲とされていました。
対して、一条工務店の防蟻処理は「1F天井下まで」が防蟻処理対象となります。天井高さは2.4mですから、防蟻範囲としては義務づけ範囲を大幅に超えていると思われます。
Q11. ACQには鉄腐食性が高いという研究結果があるようだけど鉄釘を使ったりして大丈夫なの?
A11. 先日ブログに書いたように、ACQには鉄腐食性があり、枠組み工法ではたくさんの鉄釘を使っているので腐食性がきになりました。そこで、質問を行ったところ「ACQは銅イオンに由来する鉄腐食性があることは認識している」という回答の上で、現状では枠組み工法においては法制度上「指定された鉄釘」以外を使うことが出来ないとのことでした。
ただ、腐食性は十分に乾燥させることで一定程度低下させることが出来るので、ACQ加圧注入処理木材については、加圧注入後に人工乾燥を行うことで十分な乾燥を行う対策を取っていると言うことでした。
Q12. MCQは使えないの?
A12. アメリカではACQ処理木材からMCQという薬剤の加圧注入木材に移行しつつあるとされています。そこで、この点についても確認してみました。
現時点では、日本においてMCQは防腐防蟻剤として認可されていないため、使用できないとのことでした。また、MCQはACQに比べて加圧浸透性が悪いという研究報告もあり、現時点では研究段階であるようです。
Q13. アメリカカンザイシロアリってどんなシロアリ?
A13.
アメリカカンザイシロアリは米国産の乾材シロアリの一種で、日本に多く済む、ヤマトシロアリ、イエシロアリと異なり、「乾燥した木材」も食害するという特徴があります。そのため、従来は湿度が低いため食害されることがあまりなかった2Fの屋根裏などが食害される例が報告されています。
ただし、アメリカカンザイシロアリはヤマトシロアリやイエシロアリに比べると繁殖力が弱く、また食害する木材の量も少ないという特徴を持っています。コロニーの大きさも日本にもともといたシロアリは数十万匹のコロニー(巣)を作るのに対して、アメリカカンザイシロアリは数百匹のコロニーに留まります。そのため、食害の量も少なく、家の構造材を破壊するには相当のな年月がかかります。
一方で、コロニーが小さいためアメリカカンザイシロアリに食害されていることに気がつくのが遅れる傾向があること、また、一つ一つのコロニーが小さく、見つけたコロニーだけを駆除しても、別のコロニーが存在するため再び繁殖してしまうと言うことになり、駆除が非常に難しいシロアリでもあります。
Q14. アメリカカンザイシロアリにACQは効果がある?
A14. ACQはアメリカカンザイシロアリに対しても一定の効果があるとされています。しかし、問題はアメリカカンザイシロアリの食害量の少なさから、ACQ付きの木材をなかなか食べてくれません。そのため、アメリカカンザイシロアリに対するACQの効果は限定的では無いかとも指摘されています。
Q15. Q9のようなシロアリ対策はアメリカカンザイシロアリにも効果はあるの?
A15. 一条工務店にも確認してみましたが、期待は出来るかも知れないけれど分からないということでした。そもそも、アメリカカンザイシロアリについては食害試験の方法も確立されておらず、現時点ではまだ何とも言えないのが現状のようです。
このことを理解した上で考えると、これは私が回答してもらった際の内容、自分で調べた内容を総合的に判断しての感ですが、Q9のうち、ACQによる効果は限定的かも知れません。アメリカカンザイシロアリを寄せ付きにくくする効果はありますが、屋根裏等に飛来したアメリカカンザイシロアリの繁殖を抑えることは出来ないと思われます。しかし、EPSに塗布されたニッソーコートは忌避性が低く、シロアリに対する毒性は高いことから、アメリカカンザイシロアリが触れる可能性も高く、結果としてACQ単独の場合よりも効果的にアメリカカンザイシロアリの進入を防御できる可能性があるのではないかと思います。
そういえば確認し忘れてましたが、2Fの屋根裏に施工されているEPSにはニッソーコートが塗られているんでしょうか?もし塗られているのであれば、効果が期待できそうな気がします。
Q15. 薬漬けのような気がするんだけど本当に大丈夫?
A15. これは本当に個人の判断になると思いますが、私は大丈夫だと思います。ただし、絶対に安全な薬剤というのはなく、今後も継続的に改良されていくことを期待します。
Q16. ってか、おまえ(さすけ)はなんでこんなことしてんの?
A16. はい。自分でも意味が分かりません。。。なんか調べだしたら止まらなくなって、一条工務店に聞いてみたら、めっちゃ詳しく回答してくれたのでせっかくなので他の人にも言いたくなっただけです。。。疲れました。。。。
いただいた回答は非常に詳細で納得のいくものでした。まだまだ書き足りないくらいなのですが、ここで終わらせてください^^;
・ 最後に一つだけ。
今回一条工務店は非常に丁寧な回答をしてくれました。しかし、人によっては、なんでここまで詳しい回答をもらっているの?普通こんな回答もらえないんじゃないの?と思われる方もいるかも知れません。
この点については、私と一条工務店の名誉の為に言っておくと、今回私が送った文面と同じ質問をすればおそらく一条工務店はブログを書いている云々なしで同じ回答をしてくれると思います。
私は今回の一条工務店の営業さんに質問を託すにあたっては
「一条工務店のACQを用いた防蟻処理については25年に及ぶ長い施工実績があり、人に対する安全性、住宅の耐久性への影響については十分な研究を進めております。今後もたゆまぬ努力を続け全てのお客様に安心していただける住宅の提供を目指して参りたいと考えております。」
というような当たり障りのない回答を受け取ってしまっては、私の疑問は何も解決できません。ですから、このような回答を受けてしまうことは絶対に避けたいと考えました。
そこで、お客様相談室等通常の窓口では回答しづらい質問を作って送りました。イヤナヤツデス(-_-;)
文章の一例ですが、
“ACQ加圧注入木材の金属腐食性の問題は以前から指摘されており、この点に対応すべく米国では金属腐食性の低い微粒子型銅系保存剤であるMCQによる加圧注入木材が開発され、2006年から販売が開始されております(参考資料4-7)。その普及状況はNature Nanotechnology の記事によると2008年時点で米国の加圧注入木材シェアの75%を占めるに至っているとされております(参考資料8)。
(中略)
品確法でCN釘の使用が義務づけられていることは理解しておりますが、CN釘を使用せざるを得ない状況下でACQを選択しても耐久性に問題が無いことの根拠を知りたいと考えております。”
といった調子です。きちんとした論文等、科学的に妥当なものを引用文献として付けました。
私は、このような面倒な質問に丁寧に答えていただけたことに非常に感謝しており、それをうがった見方をされてしまうことが嫌だったので最後に付け加えさせていただきます。