後編:太陽光発電・一条工務店夢発電のリスクとその対応

こんばんは。さすけです\(^o^)/

3日連続更新で太陽光発電リスクについて書せていただきます^^
いよいよラストです!

目次:

前編:ローンとしてのリスク/施主の健康リスク/故障・劣化リスク

中編:天候リスク/火災・雹害・風災リスク←頑張ったからオススメ\(^o^)/

後編:売却時のリスク/政治的リスク/変圧器取り付け要請リスク/10年後以降の買い取り価格(余剰電力限定)/補助金が受け取れないリスク(全量買取限定)/まとめ

政治的リスク

ここまでのリスクは基本的に自然起因のリスクでした。太陽光発電の固定価格買い取り制度にはもう一つ大きなリスクがあります。それが、政治的なリスクです。

固定価格買い取り制度は、余剰電力で10年間、全量で20年間、最初に約束した価格で電力を買い取るという「契約」です。これは、国が約束してくれたことですから、簡単に反故にされることはありませんが、太陽光の普及が進みすぎて、消費者の負担が増大してしまった場合には政治家が法律を変更して反故にすることが起こり得ます。

実際に、スペインでは25年間の固定価格買い取り制度が行われていましたが、当初想定よりもパネルを搭載した企業などが多かったため、将来の破綻が予想される結果となりました。その結果、当初の約束を反故にして、固定価格買取量を制限しました。しかし、それでは投資家に損失が生じるため、代償として買取期間を28年に延長することになりました。

スペインの固定価格買い取り制度を破綻に追い込んだ、買い取り価格は1kW当たり44ユーロセントでした。日本円で1kWあたり45円程度です。

日本の買い取り価格は現在42円ですから、スペインが破綻に追い込まれた価格と近い価格が設定されていることになります。実際にはその他の様々な要因も関係しているので一概には言えませんが、日本の固定価格買い取り制度も破綻しないという保証は全くありません。

ただし、万が一破綻にすることになったとした場合は大規模な発電設備、いわゆるメガソーラーが対象となると予想されます。これは利害関係者が多すぎる住宅用設備では既設設備にさかのぼった契約の変更は困難だからです。

よって、一条工務店の夢発電は確かに大容量ではありますが、メガソーラーに比べると小さな発電設備です。よって、政治的なリスクはそれほど高くはないでしょう。また、買取をやめると言った極端なことは発生するとは考えられず、収益性を悪化させる程度に留まると予想されます。

電力会社からの変圧器取り付け要請リスク

仕組みについては割愛しますが、10kWを超えたパネルを搭載した場合、電力会社が近くの電柱に「柱上変圧器」を設置してくるよう要請してくる可能性があります。

変圧器は、近場で消費しきれなかった電力を100ボルトから6600ボルトという高電圧に変換してさらに広範囲で消費できる状態にする装置です。数十kWまでの太陽光パネル設置でしたら、要請されるのは最も小型の柱状変圧器でしょう。その価格は公開されていないので不明ですが、概ね20万円程度のようです。さらに、変圧器の取付には工事が必要になりますし、近隣を一度停電させての工事になるとお知らせなどの案内も必要になると思います。これらのことを考えると、最大50万円程度の請求が来る可能性はあると思っておいた方が良いでしょう。

さらに、非常に質の悪いことに、電力会社が柱上変圧器が必要か不要課の判断は、上棟後に申請に申請が行われてからになってしまうようです。よって、その時点で変圧器が必要になるならパネル容量を9.9kWに変更すると言ったことはできません。電力会社のやり方に腹は立ちますが、現状ではそのような仕組みになってしまっています。。。

これは、私的な見解ですが、例えばパネル搭載量が20kWになるようなケースでは変圧器の取付要請を受けても仕方ないと思います。しかし、10kW前後のパネルであった場合、9.9kWのパネル搭載量では取り付け不要だったのに、10.2kWになったら取付が必要と言われるようなケースであれば、電力会社に直接問い合わせをして、その理由をしっかり聞くことが必要と思います。

これまた個人的な見解ですが、おそらく10kWから12kW程度であれば変圧器の取付要請を受ける確率は低いように思います。ただ、絶対ではありません。

そのため、全量買取制度を使用する場合には、柱上変圧器の取り付け要請に対応できるよう、50万円程度は手元に余裕資金を持っておく必要
があるかと思います。

この柱上変圧器のリスクは、現時点で一般家庭の全量買い取り制度導入実績が少ないことに起因するリスクですから、今後一条工務店やイデアホームなどが10kW越えの家を販売していく過程でどの程度であれば柱上変圧器の要請を受けるか分かってくることと思います。

10年後以降の買い取り価格(余剰電力限定)

一条工務店では10kW以上のパネル搭載が可能になったようですが、それができるお宅は必ずしも多くはないでしょう。よって、依然として余剰電力買い取り制度を使用する家が多いのでは無いかと思います。

余剰電力買い取り制度は10年間は1kWhあたり42円で買い取ることを保証していますが、11年目からの買い取り価格は未定です。

先ほど政治的なリスクで示したような既設住宅での買い取り価格変更に比べれば、新規の買い取り価格を0円設定することは法的問題を生じさせずに行えます。0円はないにしても、通常の電源コストと同程度の12円買取、少しプレミアムを載せて20円買取などと言う自体は十分に考えられます。

シミュレーション上は11年目以降は1kWh当たり24円買取で計算されていますが、実際にそうなるかどうかは全く分からない状況です。

さらに、10年後には世代遅れのパネルとなっていることは確実ですから、先進的なパネルを想定した買い取り価格と比べると見劣りするものになるでしょう。

10kWのシステムで、11年目から20年目まで42円で買い取ってもらえれば売電額は360万円です。対して24円買取になると200万円になってしまい、差額は160万円出ます。
仮に買い取り価格が20円になった場合には、売電収益が170万円になり、全量買取と比べると190万円もの差額が生じます。

以上のことを考えたとき、現時点で全量か余剰電力かを選択できるならば、私なら初期のリスクはあるものの全量買取制度を選択します。

余剰電力買い取り制度を使用する場合でも、10年以内に返済が終わらない場合は夢発電を使用しないという選択も考慮する必要があるように思います。

補助金が受け取れないリスク(全量買取限定)

これは、リスクと言うよりも確定的損失です。
一般に太陽光発電パネルの補助金は10kW未満のパネル搭載に対しての補助金になっています。そのため、全量買い取り制度が使用可能な10kW以上のパネルを搭載した場合、補助金は一切受けることができなくなります。

10kWのシステムの場合、9.9kWであれば約35万円の補助金が受けられますが、10kW以上になったら補助金はもらえなくなります。

よって、余剰電力買い取り制度の場合に比べて、全量買取制度を使用すると初期投資額は増加します。

が、これについては一条工務店の夢発電を使用する限りは、無視できるように思います。。。。というのも、夢発電はローンの一種です。仮に10kWのパネルで335万円するとしたとき、余剰電力買い取り制度を使えばローン額が300万円ですむのに対して、全量買取制度では335万円のローンを組むことが必要になります。

そして、いずれのケースでも返済が終了するまでは取り付けた人にメリットはありません。
ということは、どちらの方が返済が早く終わるのかが重要になってきます。

売電収益は全量買取制度の方が多いため、結果的に返済期間にほとんど差が出ません。返済終了後に旨味がある期間が数年しかない余剰電力買い取り制度よりも、10年以上旨味のある20年間の固定買取が保証される全量買取の方がリスクも低く安全な投資先と言えるように思います。

その他のリスク

その他のリスクとして
・ パネル搭載による雨漏りのリスク
・ 将来の技術革新によって、太陽光が不要の長物になるリスク
等々考えられますが、雨漏りについては後付けよりはリスクが相当に小さいと思います。
また、将来の技術革新リスクは読めません。もしかすると、大規模地熱発電所が各地にできて、太陽光発電などと言う非効率的システムは不要になっているかも知れません。。。

まとめ

以上が私の考える全量、余剰電力買い取り制度のリスク要因とその大きさの検討結果です。
ぶっちゃけ、制度の違いによるリスクとして最も大きいのは柱上変圧器の設置要請リスクだけと思います。なので、全量買取を希望する場合はある程度の手元現金を用意することは必須です。

リスクのうち影響がはっきりしていて大きそうなものを示すと

といった感じと思います。この結果から、太陽光発電を取り付けることによって生じるリスクは全量買取の場合で最大-168万円、余剰買取で-87万円となります。これはパネル容量10kW前後を対象にした場合のリスク額です。

全量単独のリスクという点では上記の差額約-80万円が最大のマイナス額になります。
しかし、先に述べたとおり全量買取を選択することで11年目から20年目までの売電価格は固定されるので、そこでの利益160万円で簡単に巻き返すことができます。

よって、余剰と全量が選択できるなら、また、初期の費用に耐えられるなら全量の方が得だと思います。

また、余剰、全量に関係なく9kWなどといった大容量のパネルを搭載する場合の発生確率の高いリスクは毎年の日照時間の変動によるリスクと思います。ただし、これは計算可能なリスクですし、事前に準備しておけば対処可能なリスクと思います。ただし、何度も言うようですが、「つくば市の場合」はですのでご注意ください。

そして、本当に影響の大きなリスクは地震による全壊リスクですが、これはぶっちゃけ家が全壊してローン残債が残っていたら債務整理をするしか無いでしょうから、太陽光が載っていようがいまいがあまり関係ないかも知れません。。。

以上太陽光発電に関するリスク分析終了です\(^
o^)/
この他にもこんなリスクがあるんじゃない?と言う場合は教えてください。次回はこれらリスクを踏まえて改めて収益について書きたいと思います。

*参考書

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