こんばんは。さすけです\(^o^)/
2015年2月24日に開催された調達価格算定委員会で2015年4月以降の太陽光発電売電価格が決定しました。
一条工務店で契約中の方の多くが、今後も夢発電を使うべきか、それとも太陽光はつけずにいた方が良いのかについて悩まれているかと思います。
ニュースでは大幅な値下げであると報じられており、夢発電も利益を出すことができなくなってしまうのではないかと不安になられている方も多いかと思います。
一方で、売電価格が34円から29円、27円という金額を聞くと、たったの5円、7円の下落ではないかという印象もあります。
結論から言ってしまえば、2014年までに比べると収益は大幅に悪化してしまいました(パネル価格が安くならないという前提で)。ただ、夢発電が全然だめな程かと言われれば、まだまだ夢発電のメリットは得られる可能性が高いという結果にもなりました。ただし、プランの選択などを間違えると大やけどにもつながることにもなってしまいそうです。
残念ながら?いままでのように何も考えなくても利益がほぼ確実に出る商品とはいえなくなってしまったかな?という印象を持っています。しかし、しっかりと考えて選択を行えば電気代を大幅に節約する決め手にもなる商品です!
そこであくまで私の個人的な試算ではありますが、2015年売電価格を前提として、夢発電の採算性を計算してみることにしました\(^o^)/
計算結果はある程度見直しをしていますが、間違いが含まれている可能性がありますのでご容赦ください。
前提条件
シミュレーションは以前公開した「一条工務店:太陽光発電シミュレーション」のバージョンアップを行い2015年対応、消費税対応を行ったものを用います。こちらからダウンロードできます。
特に断りがない限り、今回の記事では下記の条件で夢発電の収益性を検討します。
- パネル価格:29万円/kW(税抜き)
- パネル搭載量:12kW
- 全量買取制度を使用
を前提としています。10kW未満のパネル搭載量については前提としていません。また、余剰買取も選択できますが、計算は全量買取として計算しています。10kW以上で余剰の選択については「夢発電の再考:太陽光10kW以上全量買取より余剰電力買取がお勧め?」をご覧下さい。
2015年固定価格回答理制度の変更要点
売電価格の変更:7月に再変更
10kW以上のソーラーパネルを設置した住宅における売電価格は現在の32円/kWh(税抜き)から下がり、
- 2015年4月1日~2015年6月30日までの売電価格:29円/kWh(税抜き)
- 2015年7月以降:27円/kWh(税抜き)
となっています。
2012年が40円/kWh(税抜き)、2013年が36円/kWh(税抜き)、2014年が32円/kWh(税抜き)と下がってきたことを考えると、29円、27円という売電価格はある種予定通りの下落と言った印象です。
また、7月以降に売電価格の再値下げがあります。できることならば6月末までに申請をすることで収益の悪化を最小限に留めることができます。後ほど2円の収益悪化が全体の収益に与える影響をを示します。
売電価格には消費税が上乗せされます!
これは別に2015年の固定価格買取制度で変更があったわけではないのですが、勘違いをしやすいことと思いますので書かせていただきます。
先ほどから売電価格にしつこいほど「税抜き」と書いているかと思います。この「税」とは消費税のことです。通常は消費税が上がると払う金額が多くなりますが、ここでは「もらう金額」が増えます。
具体的には
- 2015年4月1日~2015年6月30日までの売電価格:29円/kWh+消費税8%=31.32円/kWh
- 2015年7月以降:27円/kWh(税抜き)=29.16円/kWh
が私達が受け取る売電価格になります。2017年4月には消費税が10%に増税されることが予定されています。消費税が増税された場合は、その契約年の売電価格に消費税が上乗せされた売電価格に変更されます。
ですから、2015年の4月から7月に契約した家では31.32円/kWhだった売電価格は31.9円に、29.16円/kWhは29.7円/kWhに変更となります。
年間の収益が1千万円を超えなければ消費税の納税義務はありませんから、消費税増税分は個人の利益となります!
出力制御機器の設置義務づけ
2015年の固定価格買取制度において、大きな変更点(正しくは電力会社側の制度の変更)は「出力制御装置の設置義務化」であろうと思います。出力制御装置とは、遠隔から太陽光の売電をストップさせる装置です。
5月のゴールデンウィーク等、電力消費が少ないにもかかわらず太陽光発電が多く行われ、電力需要を上回って発電が行われそうになった場合、電力会社側からの遠隔操作で売電をストップさせることができるようにするための装置になり、これまでは1000kW以上の大規模ソーラー事業者のみが設置していましたが、
設置が必須:北海道・東北・北陸・中国・四国・九州・沖縄
の各電力会社では、パネルの規模によらず出力制御装置の設置が義務づけられました。一方で、
設置必要なし:東京電力、中部電力、関西電力
では50kW未満の太陽光発電装置では出力制御装置の設置は対象外となるため、設置の必要がありません。
出力制御の詳細については
「夢発電は大丈夫?電圧上昇(出力)抑制が収益に与える影響は?夢発電が悪夢にならないために・・・」
に書いています。
売電価格下落で夢発電の収支はどの程度変化するのか?
2014年の売電価格、2015年6月末までの売電価格、2015年7月以降の売電価格のそれぞれで20年間の収益はどの程度変化するのかを確認してみます。
パネル搭載量は12kWを想定します。必要に応じてご自身でシミュレーションをしてみてください。
シミュレーションで考慮している事項
夢発電のローン返済期間は20年として、金利は1.5%としています。
パネル価格は1kWあたり29万円(税抜き)としています。別途変圧器費用20万円が必要となり、11年に1回パワコンの修理に10万の費用が発生すると仮定しています。パワコンの修理は一部部品を交換することで対応可能として割安に評価しています。
この他、税金として屋根一体型ソーラーパネルである事から固定資産税の上昇分、毎年の売電額から減価償却費を差し引いた売電利益に応じて、20万円を超える場合は確定申告を行い20%の所得税を支払うとしてシミュレーションをしています。
パネルの性能劣化は年率1%で劣化すると仮定しています。
1kWのパネルは1年間に1000kWhの発電を行うと仮定しています。
消費税の納税義務はないものとして、収益を押し上げて計算しています。2017年4月以降は消費税率10%で計算しています。
20年間の総収益はどれぐらい変化したのか?
シミュレーションの結果を示します。
2kWのパネルを搭載しているお宅の売電収益を各年の売電価格別に20年間の総収益を示したのが下図です。
2014年までの売電価格34円/kWhでは、12kWのパネルを搭載したお宅では20年間で263万円の収益が見込めました。しかし、2015年6月末までの29円になると193万円と約70万円収益が悪化してしまうことが分かります。さらに、2015年7月以降の売電価格27円になると20年間で得られる収益は146万円となり、100万円以上も収益が悪化してしまうことが分かりました。
売電価格が32円から29円になるのはたったの3円の売電価格の違いでしかありませんが、20年間の累積的収支を考えると70万円以上も収益が悪化してしまうことが分かりました。さらに7月以降では2014年度比で100万円以上となる、120万円近い収益悪化が予想されます。
パネル搭載量が多い場合の収益への影響は?
上記のシミュレーションは最も採用され安いであろうパネル搭載量12kWとしてシミュレーションを行いました。
では、平屋でパネル搭載量30kWのようなケースでは収益はどのようになるのか?と言うことを確認するために、パネル搭載量を30kWとしてシミュレーションをしてみました。
ご想像の通り、2014年から2015年にかけての売電価格下落による収益の悪化は12kWの場合のほぼ倍で、売電価格29円のケースで150万円となりました。さらに、27円になった時の収益悪化は320万円となり、パネル搭載量が大きいほど大きな影響を受けることがわかります。
更なる収益悪化の可能性:出力抑制装置設置の義務化
上記シミュレーションでは考慮されていないこととして、北海道・東北・北陸・中国・四国・九州・沖縄の各電力会社で全てのソーラーパネルに設置が義務づけられた出力制御装置による出力制御(電圧上昇抑制)による収益悪化の可能性があります。
現時点では、来年、再来年と言ったレベルですぐに収益を大幅に悪化させるような出力制御が行われることは考えにくいと推察しています。
しかし、売電契約の期間は20年間であり夢発電のローン期間も20年であることを忘れないようにしなければなりません。
10年後に日本の電力事情がどのようになっているのか、原発が稼働しているのか居ないのか、はたまた今後の太陽光発電パネルの設置伸び率等々様々な要因によって10年以上先の状況は全く分かりません。
東京電力、中部電力、関西電力の3電力管内では夢発電が対象とする50kW未満の太陽光パネルへの出力制御装置設置は義務づけられなかったため、今後20年間の出力制御のリスクはそれほど考える必要がありませんが、出力制御装置の設置が義務づけられた電力会社で契約される方については、何時出力制御が行われても文句は言えない状況にあり、出力制御が行われるということは、売電自体が行えない状況になり収益を悪化させる要因になるというリスクがあるということは忘れないようにしなければなりません。
2015年度以降は夢発電ローン期間は20年がお勧め?
夢発電を使用する場合返済期間10年程度の返済プランの他に20年間かけてゆっくりと返済する2つのプランのどちらかを選択することができます。
ローンである以上返済期間は短ければ短いほど支払金利が減少し、総収益は上昇します。しかし、これはあくまで私の個人的な意見として、夢発電を採用される場合、手持ち現金に自信が無い方は20年の返済プランを選択されることを強くお勧めします!
12kWを10年返済した場合、一時的に130万円の持ち出し
12kWのパネルを搭載したお宅で、10年間の発電払いを選択した場合、年間のローン支払額は42.5万円ほどになります。一方、12kWのパネルはおおよそ12000kWhの電力を生み出します。これが1kWhあたり27円+消費税10%=29.7円出売電できたとしても、年間の売電額は37.5万円となり、約5万円の持ち出しとなります。この他固定資産税の増分、10年程度で交換や修理が必要になるパワコンの対応にもお金がかることを考えると、13年間は赤字が続くことになります。
最大では10年目に最大赤字99.8万円を記録し、その後は夢発電のローン返済終了に伴い一気に黒字を回復し、20年目時点の累積収支は178万円となります。
一方で、返済期間を20年とした場合の累積収支の変化は
となり、赤字になることはありません。
10年返済に比べて20年返済の場合の約30万円の収益悪化となってします。
しかし、10年以上にわたって累積的な持ち出しが増えてしまうのはなんともいえない嫌な気分になることが多いと思いますし、そもそもの夢発電は自己負担ゼロで太陽光によって収益を上げることができるという商品になっていることを考えると、100万円近い持ち出しが必要となる返済プランは推奨されるものではないように思います。
パネル搭載量が大きいと予想外の持ち出しが必要に!?
夢発電を採用される方の中には平屋などで30kW、さらには40kWオーバーというお宅もブログなどで見かけることがあります。
そのようなお宅では、手持ちの余裕資金が潤沢にあるケースを除いて20年返済を強く推奨します。
例えば、45kWのパネルを搭載されるようなケースでは累積の赤字は最大で370万円以上となります。さすがに45kWを採用される方は少ないと思いますが、30kWであっても累積赤字は260万円程度になります。30kWのパネルを10年で返済した場合の累積収支は下図の通りです。
この金額になると現金で車が買えてしまうレベルの赤字です。赤字になってしまっているために手持ち現金がなくなってしまい、マイカーローンを組むような自体になったら本末転倒甚だしいことになります。
また、支払能力があればまだ良くて、300万円近い現金の持ち出しを想定していなかった場合、家計が破綻することにもなりかねません。そのため、短期返済ではなく20年返済を選択することを強く、強く推奨します。
その他の収益悪化要因:天候リスク
ここまでのシミュレーションでは売電額を平均値で計算しています。しかし、年によって日射量が多い年もあれば少ない年もあります。20年間の間に売電額が予想の80%程度になる確率は相当程度に高い確率で存在します。12kWで平均的に想定される売電収益は35万円前後ですが、単年では売電額が30万円を下回るようなケースも十分に想定の範囲内です。
20年間で平均すれば平均値から大きく乖離する可能性は低いですが、単年ベースでは大きなばらつきがあり、それが夢発電返済初期に来てしまうと、持ち出し額を増大させる要因となります。10年返済だと持ち出し額が多くなってしまいます。
一方、20年返済のプランであれば、収益は悪化すると思われ舞うが確率的には収益が赤字になる可能性はかなり低いと考えます。
2015年以降の売電価格では、10年程度の短期返済はあくまで手持ち現金が多く、仮に100万円単位の現金が一時的に出て行っても最終的な収益を多くしたいと言ったケース以外では選択すべきではないと思います。
収益上昇要因:パネル価格の下落
現在のシミュレーションはパネル価格を1kWあたり29万円でシミュレーションをしています。
これはあくまで予想ですが、そろそろ一条工務店のパネル価格も値下げをするのでは無いかとお思います。現状の29万円/kWでは、10年返済を選択した場合の赤字は逃れません。
しかし、仮にパネル価格が22万円になると
このように短期的な赤字は回避できると予想されます。
よって、パネル価格が22万円(税抜き)以下になったら、10年返済プランを選択するというのも有りと思います\(^o^)/
ただ、直感的には24万円/kWあたりが限界かな~と思っています^^;;
それでも収益はかなり改善しますので、値下げに期待です。
7月以降は基本余剰で!
ここまでは計算を簡単にするために全量買取を採用した場合のシミュレーションを行ってきました。
最後に、全量と余剰の比較をします。
一条工務店の夢発電余剰にする?全量にする?損得勘定に書いたとおり、10kW以上のソーラーパネルを搭載した場合、売電価格や売電期間は全量と同じで余剰電力買取制度を選択することができます。
従来は買電かかくよりも、売電価格が高かったため経済的メリットを得るためには全量買取を選択するのが一般的でした。
この状況が2014年度に入ってからは夏の買電価格よりも売電価格が下回る状況が発生したため、一部で余剰が選択されるようになってきました。
そして2015年7月以降は私が認識している範囲で、全ての電力会社の全季節の日中で電気料金における買電料金よりも売電料金が下回ります。
すなわち、これまでは自分で使うよりも売ってしまった方が得だったので全量買取を選択するのが当然でしたが、全量を選択すると、高い電力を買って、せっかく自分の家で作った電力を安値で販売することになってしまいます。
そうならないように、太陽光で発電した電力は自宅で使用して、値段の高い系統からの買電電力を使わないようにして、自己消費をして余った電力、すなわち余剰電力のみを売電するという選択が合理的な選択となります。
よって、2015年7月以降契約の方は余剰電力買取を選択するのが良いかと思います\(^o^)/
ただし、今後電気料金が安くなってしまった場合は、損になってしまうので将来大幅に電気料金が安くなると予想する方は全量を選択しておくというのもありです。
また、全量から余剰への切り替えは配線の切り替えは必要ですが、制度的には自由に行えますが、余剰を選択された方が全量に乗り換えることはできないので注意が必要です。
ただ、オール電化住宅では27円/kWhで電力が買えるようになることは考えにくいのであまり考えなくて良いかも知れません。ガス併用住宅では電気料金との比較が必要と思います^^
まとめ
2015年以降の夢発電の収益をシミュレーションしてきました。
売電価格が29円、27円になっても十分な収益を上げられる可能性が高いといえそうです。ただし、2012年当時のように太陽光をつけることである種のぼろ儲け状態ではなくなりました。
ただし、東電、中電、関電の3電力会社以外では、出力抑制のリスクを新たに抱えることになり、将来の収益悪化の可能性は上昇したといえます。
また、現状の夢発電の制度では返済期間を短期間にした場合、一時的に累積赤字が100万円近くになることが想定されるため、収益は悪化してしまいますが20年返済プランを選択することを強く推奨します\(^o^)/
夢発電による長期的な収益はかなり目減りしてしまいましたが、電気代を安く抑えるためのツールの一つと捉えればまだまだ活用余地はあるかな?と思います\(^o^)/
ただ、夢発電や太陽光発電パネルの設置は、ある種の金融商品で有り、投資でもあるためリスクを十分に考慮した選択を行う事をお勧めします!