こんばんは。さすけです。
一条工務店の工場見学に行ったり、営業さんと話をすると「一条工務店の家は非常に売れている」という話を聞いたことがあると思います。
なんだか、景気の良い話です。
ところで、これって本当なのでしょうか??
仮に一条工務店の家が売れていたとしても、他のハウスメーカーも売れているならば、別に一条工務店の売れ行きが良いわけではなくて、単に世の中好景気なだけのように思うのです。
一方で本当に売れ行きの良い企業があるならば、そういうハウスメーカーって、おそらくは何か優れた点があるからこそ人気が出て売上が伸びているのだと思います。
これから家を建てようと考えていて、ハウスメーカの比較検討をしている方にとっても、今伸びているハウスメーカーというのは気になる存在と思います!
ということで、私が把握可能な全ハウスメーカーの過去4年間の売上高を調べて、その伸び率を調査してみることにしました\(^o^)/
また、消費税増税もものともせずに売れているハウスメーカーはどこかという点も分析してみることにしました!
比較対象ハウスメーカー
今回、比較検討を行う際に調べたハウスメーカーは全部で19社で、一条工務店を除いて全て上場企業または上場企業の関連会社になっています。非上場で有力なハウスメーカーがあるかも知れないですが、私自身が知らないこと、さらに非上場企業は情報を調べるのにお金と時間がかかるため、今回は非上場企業は一条工務店だけとしました。
調査対象ハウスメーカー一覧
対象ハウスメーカーは
- 積水ハウス
- セキスイハイム
- 住友林業
- ミサワホーム
- 旭化成ホームズ(ヘーベルハウス)
- 大和ハウス
- 三井ホーム
- タマホーム
- トヨタホーム
- パナホーム
- 桧家住宅
- 東日本ハウス・日本ハウス
- ヤマダ・エスバイエルホーム
- 土屋ホーム
- サンヨーホームズ
- サーラ住宅
これに一条工務店を加えた17のハウスメーカーを調査しました。
情報の出所
一条工務店については、会社四季報未上場版、及び帝国データバンクの会社情報のデータを用いることにしました。その他のハウスメーカーについては、全て各社の有価証券報告書の情報を元にしています。
有価証券報告書の報告期間は企業によって違いがありますが、ここでは、直近の有価証券報告書を2014年度、その前を2013年度として扱うことにしました。直近4年分の有価証券報告書を利用し、2011年度以降の4年間の売上高を調べました。
セグメント情報の利用
積水ハウスを例にすると、積水ハウスは住宅事業以外の事業も多数行っており、賃貸住宅やリフォーム、不動産事業、さらには都市開発事業など多数の事業を行っています。
今回の私が知りたいことは、戸建新築住宅の販売伸び率が高い企業であるため、積水ハウス全体の売上高を参照してしまうと戸建て住宅が売れているかどうか?という判断をするには適切な情報となりません。
そこで、有価証券報告書の中に記載されている「セグメント情報」に着目して戸建て住宅事業に近いセグメントの売上高を参照しました。
積水ハウスを例にすると2014年度の売上高は、1兆2281億円ですが、ここには都市開発事業は分マンション事業等も含まれています。
セグメント情報を見ると「戸建住宅事業」としての売上高4270億円として記載が行われています。
今回は、この「戸建住宅事業」の売上高4270億円を積水ハウスの売上高として用いることにします。
その他のハウスメーカーについても同様とします。ただし、一条工務店については非上場企業ですのでセグメント情報がないため、1社全体の売上高としました。一条工務店は近年分譲マンションの販売も手がけていますが、売上全体に占める割合は非常に小さいことが予想されるため、全体の売上高を戸建住宅の売上高と呼んでも大きなミスリードには繋がらないと判断しました。
今売れまくっているハウスメーカー、売れなくなったハウスメーカー
売上高データ
各ハウスメーカーの住宅事業を中心とした売上高を調べた結果を表にまとめました。
ここで注意して欲しいのは、有価証券報告書からは住宅事業のみを取り出すようにしましたが、ハウスメーカーによっては、戸建住宅と集合住宅を「住宅事業」としてまとめて報告している企業も多くあります。
例えば、セキスイハイムなどは売上高が4969億円となっており、上記19社で最も売上高が高くなっています。しかし、この売上高には集合住宅なども含まれている売上高となってしまっています。セキスイハイム自体は上場企業ではなく、積水化学工業の有価証券報告書でセキスイハイムの売上が報告されているため、戸建、分譲、リフォームなどの分類が行われていないためになります。
そのため、上記の売上高が高いからと言って、戸建住宅販売棟数が多いというわけではないことに注意してください。
売上高の大きさはそのハウスメーカーの大きさを知るための大まかな指標と考えてください。
ここで見たいのは売上高の伸び率になります。
ハウスメーカーの売上高伸び率:どこのハウスメーカーの売上が伸びているのか?
先の売上高を元に、2011年度の売上高を100%としたとき、2014年までの売上高の推移がどのようになっているかを確認してみます。
17社の売上高の伸び率は上記の通りとなりました。
最も売上高の伸び率が高かったのが、2011年度比で152%の伸び率となった一条工務店でした。。。一条工務店が「売れている」と言うだけのことはあったようです。。。残念^^;?
続いて、桧家住宅が140%、サンヨーホームが125%、土屋ホームが119%の伸び率となって、他のハウスメーカーよりも頭一つ伸び率が高かったようです。(サンヨーホームズについては上場が2013年度のため2012年度以降のデータに基づいています。)
参考:一条工務店で家を建てるのに必要なお金と値引き
桧家住宅で家を建てるのに必要なお金と値引き:見積書で見るハウスメーカー比較
逆に売上高が落ち込んでしまったハウスメーカーも2社ありました。最も伸び率が下がってしまったのはヤマダ・エスバイエルホームで2011年度比で20%下落して80%、そしてこれは個人的に意外だったのですが、積水ハウスの売上が10%下落して90%となりました。
積水ハウスとヤマダ・エスバイエルホームはいずれも、2011年に比べて住宅の販売戸数も落ち込んでしまったと考えれます。
上のグラフだとごちゃごちゃして見づらいので、2014年度の売上高伸び率だけを取り出してハウスメーカー別に示したグラフも示します。
2011年度比の売上高伸び率が高かった順に示したグラフになります。
一条工務店、桧家住宅、サンヨーホームズ、土屋ホームが頭一つ飛び抜けていて、逆にパナホーム、トヨタホームは売上高が伸び悩み、積水ハウス、ヤマダ・エスバイエルホームは売上を下げてしまっています。
その他のハウスメーカーについては概ね110%程度であり、10%前後の伸び率となっていました。
これらのことから、2011年度以降2014年度までの景気が上向いた事から、10%程度の売上伸びは景気の影響によって説明できそうです。
しかし、一条工務店の売り上げの伸び率152%は、他のハウスメーカーを圧倒する大きな売上伸び率と言って良さそうです。
通常、売上高の低い企業は急激な成長を果たす過程で大きな売上高伸び率を示すことがあります。
例えば売上高4000億円の積水ハウスが10%売上を伸ばすためには、400億円の売上高上昇が必要となります。単純に住宅1軒あたり2500万円とすると追加的に1600軒の住宅を販売する必要があります。しかし、仮に売上高400億円の企業が売上高10%を伸ばすと言うことは160軒の住宅を追加的に販売できれば売上高伸び率10%となります。
そのため、売上高が低い企業は売上高伸び率が大きくなったり小さくなったりしやすい傾向があります。
このような観点から売上高伸び率が高かった企業を見てみると、2014年度の一条工務店の売上高は2777億円、桧家住宅は461億円、サンヨーホームズは262億円、土屋ホームが272億円となっていました。
一方で、積水ハウスの売上高は4270億円、住友林業は4539億円などを筆頭に、いわゆる大手ハウスメーカーは2000~4000億円程度の売上高となっていました。
そのため、桧家住宅、サンヨーホームズ、土屋ホームの売上高伸び率が高かったことは、これらのハウスメーカーの住宅の売り上げが堅調であったことは当然あるのですが、最大手に比べて売上高が低い中堅ハウスメーカーであったために伸び率が高く出やすかったということが一因としてあります。
一方で、一条工務店については、売上高が2770億円と他の最大手ハウスメーカーと比べて売上高が極端に低いわけではありません。そのため、売上高が低いことが伸び率に表れやすかったという影響は小さいと考えられます。
そのため、一条工務店の家は、他のハウスメーカーと比較したとき、ある種「異常に売れた(ている)」と言えそうです。
私の個人的な感覚としても売上高が1000億円以上ある企業の売上高が数年で1.5倍に増えるというのはかなりの急成長であると言えるように思います。
消費税増税後も売れているハウスメーカー、売れなくなったハウスメーカー
消費税増税がハウスメーカーの販売に与えた影響
ここまでは2011年度に比べてどれだけ売上が伸びたかに着目して、ハウスメーカー毎の住宅の売れ行きを見てきました。
2014年4月に消費税が5%から8%へと増税されました。新聞等を賑わせていたように、消費税の増税は住宅の販売戸数に大きな影響を与えます。
たった3%の増税であっても、2500万円の住宅であれば75万円も支払が増えてしまうので当然です。
もちろん、住宅の販売戸数に影響を与えないようその影響を最小化するよう様々な政策的努力がされているため、消費税増税が単純に住宅の買い控えに繋がるとは言い切れません。しかし、実態として、消費税造成後は売上が下がったハウスメーカーが多かったのは事実と思います。
そんな中で、消費税増税をものともせずに売れているハウスメーカーというのもあります。これを実際のデータから見てみたいと思います。
消費税増税は2014年4月に行われたため、2013年度の売上高と2014年度の売上高を比較し、2014年度に100%以上の売上高伸び率となっていれば、消費税造成後も売れたハウスメーカーと言えそうです。
2013年度比の2014年度の売上高伸び率をグラフに示します。
最も売上高伸び率が高かったのは桧家住宅、2位が一条工務店、3番目がタマホーム、続いてサンヨーホームと続きます。
消費税増税後も売上を伸ばしたハウスメーカーのうち、桧家住宅、一条工務店は、4年間の売上高伸び率も高かったハウスメーカーです。これらのハウスメーカーは消費税増税をものともせずに売れているようです^^
ここで、私が面白いと思ったのは売上高伸び率11% で3位に浮上したタマホームです。というのもタマホームの売上推移を見てみると
消費税の駆け込み需要もあり、世の中の住宅販売が堅調だった2013年度は売上を落としているのに、2014年度は売上を伸ばしているのです。
これは推測ですが、おそらく消費税増税によって、住宅価格の値上がりを気にした顧客層が住宅価格の安いタマホームに流れたことが推測されます。
積水ハウス大丈夫か??積水ハウス一人負け!
一方で、消費税増税後に売上を落としてしまったハウスメーカーは8社ありました。特に大きく売上を落としてしまったのが積水ハウスで対前年度比18%の大幅な売上下落となっていました。
積水ハウスの有価証券報告書では、 この売上の下落を
金利先高観の後退、消費増税の駆け込み需要に対する反動、と分析しています。すなわち、売上が下がったのは環境のせいであって自分たちの会社の問題ではない、という分析と読みました。
しかし、これはどう考えてもおかしいです。というか、自分に甘すぎる分析と思います。上場している他のハウスメーカーの対前年度比売上高伸び率は概ね100%前後、すなわち伸びもしなかったけれど大幅な下落もなかったという状況にあります。
売上高延び率が下がってしまった最大手ハウスメーカーとしては5%下落して95%になってしまった大和ハウスがありますが、積水ハウスの下げ率は18%下落です。市場環境によって売上の5%下落程度は説明できそうですが、18%の下落となると少し異常な下落のように思います。
しかも積水ハウスの売上高は4000億円級であって、これほどの売上高の企業の家が18%も下落するというのはかなり異常な事態と思います。
消費者から何か見放されてしまう要因があるように思えます。もちろん、これらは単なる売上高の推移による推察であって、十分な経常利益を確保できていれば問題ないと言えば問題ないわけですが、少し気になりました。
まとめ:でも売れてればいいってもんじゃない??~成長の功罪
いままさに売れているハウスメーカー
売上高の経年変化に着目して、「いま売れているハウスメーカー」を見てきました。
一条工務店は4年間の売上高伸び率で152%という、ある種の驚異的な売上伸び率を達成しており、一条工務店の家は、まさにいま売れまくっているハウスメーカーと言えそうです。既に3年が経過しましたが私自身が選んだハウスメーカーの家が売れ続けているのは単純に嬉しいです^^
そして、もう一社桧家住宅は、売上高としては460億円規模で、最大手の数千億円規模の売上と比べるとまだまだ中堅ハウスメーカーです。しかし、4年間で40%の売上高伸び率を達成しており、年率換算で10%の伸びです。このまま堅調に進めば今後10年で売上高1000億円、15年後には2000億円規模に達する可能性もあります。10年、15年という長期間この成長率を維持することはなかなか難しいことですが、今後も気になる存在である事は間違い無さそうです。
私自身が桧家住宅の展示場に行ったときは、残念ながら営業さんがあまり良くなかったせいか良いイメージはありませんでした。。。
参考:一条工務店に決めるまで(中)~ハウスメーカー巡り開始・・・即挫折・・
しかし、その後、価格等を調べてみるとタマホームなどのいわゆるローコストハウスメーカーと遜色ない価格帯で住宅を販売しており、それにもかかわらずアクアフォームなどの断熱性能も気にかけている面白いハウスメーカーと思っています。
参考:桧家住宅で家を建てるのに必要なお金と値引き:見積書で見るハウスメーカー比較
住宅性能に付いては、いわゆる高断熱高気密とはなっていませんが、そうではない大手ハウスメーカーと比較して同程度の断熱性能を達成しながらローコスト価格で住宅が購入できるというのは非常に魅力的と思います。
でもね。。。売れてれば良いってわけじゃない!?
最後に、一条工務店の家は確かに売れていることが確認できました。それも、ちょっとやそっと売れているというレベルではなく、かなり異常とも言えるほどによく売れています。
その背景には夢発電による顧客単価の上昇など様々な要因もあると思いますが、「売れている」と言う点には嘘偽りはなさそうです。
そして、「売れている」というのは、顧客目線で見れば商品が非常に魅力的だということだと思います。
最近出張などで窓から外を眺めているとそこかしこにi-smartが建っています。私が住む地域の近所にもたくさんのi-smartが建築されています。i-smartだけではなく、セゾンも多く建っている印象です。
他のハウスメーカーが提供していない付加価値として、高断熱高気密住宅、全館床暖房という性能を追求し、冬でも住みやすい住まいが他の大手ハウスメーカーと遜色ない価格で購入できるとというのが魅力なのだろうと思います。
【参考】ハウスメーカー別価格と値引き
性能については私自身非常に満足しています。冬の暖かさは、これまで体験したことのない新しい生活を提供してくれていると感じています。
【参考】 吹き抜けって寒い?データで検証してみる吹き抜けの温度差
高断熱高気密住宅の検証:一条工務店の家は本当に夏涼しく、冬暖かいのか?
売上が大きく伸びているというのは、一条工務店が建てる家の性能の高さが多くの人にとって非常に魅力的なものであるからだろうと思っています。
家を建てることを検討されているのであれば、一度は売れているハウスメーカーの家を見てみることは色々な意味で参考にもなると思います。
私自身は一条工務店の家に満足しています。そして、私は一条工務店のアフターサービスにも非常に満足しています。
でもね。。。
全部の家でそうか?と問われると、そうではないと思っているのも事実です。。。
ブログを通じて連絡をいただくクレームを伺っていると、なんでそんな対応をするの?と思うようなケースが多々あります。
そしてそれらのクレームは、監督や営業さんが忙しすぎて仕事が回っていないことが背景にあるように感じているのです。
一条工務店の家は確かに高性能です。そして、売れています。
当然人を増やすことはしていると思います。しかし、新しく人を雇ってもすぐに現場で活躍してくれるかというと、当然そんなことはありません。教育の期間が必要になります。教育を受けた後は現場で経験を積む必要もあります。
急成長した企業では往々にしてあることですが、人が育つ速度よりも企業の成長速度が速くなっしまったとき、トラブルに対して非常に脆弱になってしまいます。
端的に言えば建築中にトラブルが発生したときの対応や建築後のアフターサービスにしわ寄せが来てしまうように思っています。そういった所をないがしろにしていると、急成長から反転、急降下、なんてことにもなりかねません。
一条工務店には是非このあたりも検討して欲しいな~と思う今日この頃です^^
売れていることにこそ危機感を持てる、そういう会社が今後も売れ続けることができる企業ではないかな?と思っています。
もちろん、そんなことを私に言われなくたって一条工務店の社内の方でもこういったことを考えている方も多いとは思っているので、企業の成長スピードにあったサービス体制が整っていくことを信じていますよ\(^o^)/