こんばんは。さすけです。
前回、一条工務店の家でZEH補助金を受けることができるのかについて書かせていただきました。
[kanren postid=”10261″]その結論として、一条工務店の断熱性能やその他の標準仕様はZEHの要件を満たしているものの、現在のZEHの要件には「ソーラーパネルの容量が10kW未満であること」という条件があり、結果として10kW以上のソーラーパネルを前提とした夢発電を導入した場合には、ZEH補助金を受けることができないことを書かせていただきました。
今回はZEH補助金を受けた方が良いか、それとも10kW以上のソーラーパネルの搭載を優先すべきかについて採算性の観点から検討してみたいと思います\(^o^)/
正直、実際に計算をしてみるまでは、ZEHをあきらめてソーラーパネルを載せた方が得だとばかりおもっていました。。。ところが計算して見ると、意外とかなり微妙で悩ましい結果となりました。
ZEHを受けるべきか、ソーラーパネルの搭載量を優先すべきか?
それでは、ZEH補助金は定額で130万円というかなり大きな金額の補助金となっています。
しかし、この130万円のZEH補助金を受け取るためには、ソーラーパネルの搭載量を10kW未満に抑えなくてはならなくなります。
ソーラーパネルを10kW以上搭載すれば、固定価格買取制度による買取期間として20年の固定価格が保証されます。一方で、ソーラーパネル搭載量を10kW未満に抑えれば、固定価格買取期間は10年となり期間が半減してしまいます。
目の前の130万円を取るか、それとも20年の固定価格を優先すべきか、悩ましい問題と思います。
今回の記事では、採算性の観点からいずれを優先すべきかについて具体的に検討をしてみることにします!
固定価格買取制度と売電価格
太陽光売電収益のシミュレーション
太陽光発電による売電収益のシミュレーションは以下の記事で紹介したExcelシートによって実施します。こちらのシミュレーションでは税金やパワコンの修理費用などを考慮しています。
[kanren postid=”5375″]上記のExcelシートは古いもので、今回かなりバージョンアップしたので後日公開します。
固定価格買取終了後の売電価格はいくらになるか?
シミュレーションを行う上で重要なパラメーターとして、固定価格買取期間終了後の売電価格になります。
10年余剰買取の場合は、10年間は当初契約の売電価格が保証されていますが10年目以降の売電価格は何も保証されていません。
一方10kW以上のパネルを搭載した場合は、20年間は価格が保証されています。
仮に10年余剰買取でも、10年目以降も当初売電価格と同程度の価格で売電が行えるならば、10kW以上との差は縮まってきます。しかし、実際には固定価格買取期間終了後の売電価格は大幅に下落すると予想します。
今回のシミュレーションでは固定価格買取期間終了後の売電価格を10円/kWhとして計算しました。
安すぎると思われる方もいらっしゃるかと思いますが、おそらく何らかの法的な措置がない限りはこの程度の金額になると予想されます。
ここでは「日本卸電力取引市場」という電力を売買している市場価格を参考にしています。こちらの市場では日々電力が取引されており、日中の1kWhの価格は概ね10円~15円の範囲で売買されています。
現在の価格を参考に、仮に将来の電力価格が物価やエネルギー価格、温室効果ガス排出の影響などから上昇して日中の取引価格が15円程度になると想定します。
電力が15円/kWhでそのまま売電できれば良いのですが、電力を売電するためには「送電線」を使う必要があります。この送電線の利用料金、いわゆる託送料金は1kWhあたり現在で6円程度します。2018年以降の発送電分離によって、この託送料金が1円程度値下がりして5円になると仮定しました。
すると15円の売電を行った際には託送料金5円を支払う必要があるので、結果として10円の売電収益を得られると言う計算になります。
以上のことから現在の市場価格を踏まえると10円/kWhの売電収益が現実的と考えた次第です。
気持ち的には、1次エネルギーの考え方や温室効果ガス排出量の少なさ故にもう少し高値で売電できそうな気もしていますが、あまり楽観的に考えるのも良くないので固定価格買取期間終了後は10円/kWhで売電できると仮定しまいた。
ソーラーパネルの搭載量とZEH補助金のどっちを取る?
10kW以上のソーラーパネルを設置した場合の売電収益
固定価格買取制度では、10kW以上のソーラーパネルを搭載した場合は、1kWhあたりの売電価格27円(税抜)で20年間買い取ってくれることが保証されます。
2017年4月から消費税が10%に増税されることはほぼ確実であることから、2017年4月以降は売電価格は実質29.7円/kWhとなります。それまでは消費税8%ですから、売電価格は29.16円/kWhとなります。
以下の計算では10kW以上かつ「余剰」を選択します。現在の買電価格は東電の場合33.6円程度に対して、売り電価格が消費税10%になっても29.7円なので、余剰の方がお得だからです。電力の自家消費は2100kWh/年としました。これは一条工務店のシミュレーションの値を参考にしています。
設定条件は以下の通りです。
- ソーラーパネルの価格を1kWあたり価格を29万円/kW(税抜)として計算しています。
- 夢発電ローン金利は1.5%で計算しています。
その結果、20年後の累積売電収益はローン期間を20年、12年とした場合で
- 20年払いの場合の20年後累積収支:+107万円
- 12年払いの場合の20年後累積収支:+130万円
となります!
ちなみに、余剰ではなく全量を選択すると収益は約30万円悪化します!
悪化理由については
[kanren postid=”9083″]をご覧下さい。
20年払いにすることで、収益が約20万円悪化しますが、持ち出しはなくなります。一方で12年払いの場合、メンテナンス費用等の影響もあり14年目までに最大累積赤字が100万円弱になることが予想されます。しかしその後一気に利益を伸ばして20年目には105万円の収益になると予想されます。
10kW未満にした場合
設定条件は全量買取の場合と同様にして、かつ、自家消費を考慮するとぶれが大きくなるため全量を売電したと仮定します。
余剰の場合に用いる電気料金は東京電力のオール電化住宅電気料金(昼)単価を使用しています。
また、一条工務店ではソーラーパネルの価格が10kW以上を搭載した場合は一律29万円/kWであるのに対して、10kW未満(9.999kW)にした場合32万円/kWとなったかと思います。シミュレーションでは32万円/kWのパネル単価を使用します。
ローンの返済期間を20年、12年としてシミュレーションを行うと・・・
- 20年払いの場合の20年後累積収支:55万円
- 12年払いの場合の20年後累積収支:76万円
となりました!!!!!
10kW未満の場合もやはり12年払いの方が収益が20万円上昇することがわかります!
太陽光10kW以上と10kW未満の収益差:その差は約50万円
収益計算の結果から10kWのソーラーパネルを搭載した場合と、10kW未満ぎりぎりの9.99kWのソーラーパネルを搭載した場合との収益差はローン期間によらず概ね50万円程度という結果になりました!
すなわち、10kWをぎりぎり超えるパネル搭載量と10kWをぎりぎり下回るパネル搭載量にした場合、収益差は概ね50万円強と予想されます。
ZEHの補助金額130万円ですから、仮に10kWぎりぎりしかソーラーパネルを搭載できなならば、ダミーパネル費用を支払っても10kW未満にしてZEHをもらった方が良いという結果になります。
もっとたくさんのソーラーパネルが載る家でもZEHを取るべきか?
上記では、10kWぎりぎり、例えば10.2kWのパネルしか搭載できない家であれば、ダミーパネルを1枚入れて、9.98kWにしてZEH補助金をもらった方がお得だという計算になりました。
しかし、一条工務店のソーラーパネルの平均搭載量は14kWとなっています。14kWの搭載ができる家でも10kW未満にしてZEH補助金を受けた方が良いのでしょうか?
14kWのソーラーパネルの収支
先ほどの条件と同様の計算で14kWのパネルを搭載した家の20年間の累積収支を計算してみました。
その結果20年後の累積利益は
支払期間20年:+164万円
支払期間12年:+196万円
となりました!10kW未満にした場合はの収益がそれぞれ55万円、76万円でしたから、その収益差は110万円~120万円の収益差となるという計算になりました。
ただし、一条工務店では本来ソーラーパネルが搭載できるのにそれをダミーパネルにした場合は、ダミーパネル代が発生します。現在のダミーパネル価格が分からないのですが、14kWのパネルを10kWにするためには相当数のパネルをダミーパネルにする必要があるため、10万円~20万円のダミーパネル代が発生すると思われます。よって、その収益差はおおよそ130万円程度になると思われます。
そう!ちょうど14kWのパネルの搭載量がZEH補助金と同程度の金額になるのです!!
16kW以上であれば、まず間違いなくZEH補助金のを受けるよりもソーラーパネルの搭載量を優先させた方が得になると思います。逆に12kW未満であれば、ダミーパネル代も少なくなるので、ZEHを受けた方がお得になると思われます。
しかし、この14kWの±2kW、すなわち12kW~16kWの範囲だとZEHと太陽光のどちらを優先すべきか非常に微妙な所なのです・・・
では12kW~16kWのパネル搭載量の家では、いずれを優先させるべきか、2つの考え方を示します!
ZEH補助金を受けた方が得だという考え方
ZEH補助金はある意味申請して受理されれば「確実に130万円のお金がもらえる」と言う点に特徴があります。太陽光発電はある意味、自然しだいな所があります。いくらシミュレーションの精度が高いとは言え、昨今の異常気象を考えると確実に利益が出るとは言えません。
また、ZEHは家を購入する段階で支払われます。すなわち住宅価格が130万円少なくなるのと同じ事です。そのため、住宅ローンの借入額減額にも繋がります!!
一方で、ソーラーパネルを搭載した場合にも130万円のお金が手に入るとはいっても、それは20年も先の話です。経済学では割引現在価値という考え方が用いられますが、その考えに基づき1年缶あたりの割引率を2%で考えると、20年後の現在価値は下87万円に過ぎません!そうであるならば、すぐに、かつ確実にもらえる130万円を優先させるべきだ!という考え方です
ソーラーパネルの搭載量の方が得だという考え方1
次に、ソーラーパネルの方が得だという考え方も示します。
ZEH補助金は決まった申込期間に申し込みが必要な補助金で、補助金の枠が一杯になってしまえば受付が終了してしまうことがあります。
そのため、申請して受理されれば確実に得られるという一方で、そもそも申請や受理ができなければ「ゼロ円」になってしまうのです!!
そうなるとソーラーパネルを減らしてしまったことによって生じた逸失利益130万円の損失となってしまいます。
太陽光は自然エネルギーですから当然揺らぎはあります。しかし、「ゼロ」となってしまうことはまずありません。
ZEHは一見確実な目の前のお金のように見えながら突然ゼロとなってしまう可能性もあるのです。しかも、ZEHの申請のために足早な打ち合わせで本来の目的である家の間取りなどに十分なこだわりが出せなくなってしまう可能性もあります。このことから、同程度の金額が手に入るならばソーラーパネルの搭載量を多くした方が得だ!という考え方がもう一つです。
ソーラーパネルの搭載量の方が得だという考え方2:炭素税の可能性
最近日本ではほとんど無視されていますが、世界的には地球温暖化への対策は世界全体の合意事項となっています。
その中で気になるのが「炭素税」の存在です。温室効果ガスである二酸化炭素の排出に税金をかける税金の仕組みです。
フランスでは、2030年までに二酸化炭素1トン排出あたり100ユーロ、13000円の税金をかけることが検討されています。実際は難しそうですがそれでも仮に実現すれば、温室効果ガス1kg排出あたり13円の税金がかかることになります!!これは凄いことです。。。
現在の日本の電力1kWh発電あたり約0.5kgの二酸化炭素が排出されています。
仮に日本で炭素税が導入されて1トンあたり1万円、1kgあたり10円という炭素税がかかったならば、、、1kWhあたりの電気料金は5円上昇することを意味します!
一方で、太陽光発電由来電力は発電磁には温室効果ガス排出はありませんから、通常電力よりも5円高く売れることを意味します!
ということは固定価格買取期間終了後の売電価格が10円から一気に15円上昇することになるのです!結果的にソーラーパネルの搭載量が多い方が買い取り期間終了後の利益も多くなるのです!
ここ5年で、日本は世界的な環境後進国になってしまいました。。。石炭火力の導入に環境省が待ったをかけましたが、国際的に急激な環境対応を求められる可能性が否定できません。。。そうなったとき、ソーラーパネルの搭載量が多いことは大きなメリットに繋がる可能性もあります。
結局ZEHと太陽光どっちを優先させるべき?
ここまで、ZEHとソーラーパネルの搭載量のいずれを優先させるべきかについて、いくつかの視点を示してきました。
で、結局どっちがトクなの?と思われたかと思います。
以下は独断と偏見です。あまり信用しないでください。私ならそうすると思うという考えを示します。
13kW未満かつZEHが確実に取れそうならZEH優先
ZEHを取り損なってしまうと言うのが一番怖いことですから、この点だけハウスメーカーにしっかりと確認をした上で、ZEHは確実だという場合で、ソーラーパネル搭載量が13kW未満であるならば、パネル搭載量を10kW未満にしてZEHを受ける方が得と思います。
パネル搭載量を優先した場合は、将来のお金というリスクのあるお金を取るのに対して、ZEH補助金は確実にもらえるお金ですから、先に示したように住宅取得価格自体を下げることもでき、ローン支払い額も軽減できます。
13kW弱程度の場合は、もしかしたらZEHよりも太陽光を優先した方が収益は高い可能性もありますが、それはある種のリスクを含んだものです。また、仮に10kW以上にしておいて方が得だったと言っても20年という長期的なスパンで数十万円のことです。投資に失敗したと思えばあきらめが付く金額と思います。逆に、天候不順などで収益が出なければ投資成功です。
15kW以上搭載できるならソーラーパネル優先
ソーラーパネルを16kW以上搭載できるならば、ZEHを受けなくてもソーラーパネルがZEH以上の利益を生み出してくれます。15kWでも多分大丈夫と思います。
現在家を建てようと考えている方の多くは、現在は定職についており、短中期的にはお金にこまることが少ない方と思います。そうであるならば、目先の130万円よりも、より長期的な15年、20年というスパンで考えて、子どもが大学に進学してお金がなくなった状態で追加的な売電収益を上げられた方が得という考え方があります。
ですから、私であれば、15kW以上のパネルが搭載できるならば、確実にソーラーパネルの搭載量を取ると思います。そもそも、「うちの屋根はソーラーパネルが15kW乗っているんだ~」って良いじゃないですか(・∀・)
13kW~15kWならば。。。。ZE・・・・いやっ!太陽光!!!
ぶっちゃけめちゃくちゃ難しい判断です。
気持ち的には目の前の確実なお金であるZEHに気持ちが向かってしまいそうです。。。
ソーラーパネルの搭載量が13kW~15kWの場合は、もしかするとZEHにしておいた方が得だったということも十分にあり得ます。
でも・・・・仮にZEHの方がトクだったとは言っても、せいぜい数十万円の話です!一方で、現在の国内電力事情は非常に流動的です。国が再生可能エネルギーの比率を20%まで高めることを掲げています。また、日本では話題にならなくなってしまいましたが、世界的には地球温暖化対策は必須となっています。温暖化対策としてはソーラーパネルの普及を欠かすことができません。温室効果ガスの排出量に税金をかける炭素税も導入されている可能性が十分にあります。
そうなれば、2016年には電力小売りが自由化し、さらに2020年に向けて発送電分離、先に示した環境税の議論等々、様々な「荒波」の渦中に身をおけるのは非常に楽しいことのように思えます\(^o^)/
以上のことから私ならば、13kW~15kWのパネルであってもZEHの方が得だったという可能性は十分にあり得るものの、今後の変化をできる限り楽しむためにもソーラーパネルを優先した方が楽しい!というのが個人的な考え方です!
ぶっちゃけてしまえば、どっち取っても収益に大きな差はないので、好きな方を選べば良いのかな?とは思います。
まとめ
今回、記事を書き始めた当初は単純な試算からソーラーパネルを優先させた方が得だろうと考えていました。しかし、実際にできる限り厳密に計算していくと、単純に結論できるものではありませんでした。。。。
結論としては、10kW~12kWのパネル搭載量の家であれば、ZEHを優先した方が収益性は高いのは確実と思います。また、16kW以上であれば採算性の観点からソーラーパネル優先に大きく傾くと思います。
一番難しい12kW~16kWのパネル搭載量の家では、ZEHをとっても10kWのソーラーを取っても、ぶっちゃけ大した違いはありません。
ZEHの方が得だったと言うこともあれば、太陽光を優先しておいた方が得だった、という両方の可能性がほぼ同程度と思います。
そのため、あとは好みの問題と思います(←オイッ!)
でも本当にこのラインは好みの問題と思うのです。
そして、私の好みからするとソーラーパネルに偏りがちと言うだけです。より安全なお金を優先する方はZEHをとった方が良いと思います^^;;
以上ZEHと太陽光のどちらを優先すべきかについて私なりの考えを書かせていただきました\(^o^)/