こんにちは。さすけです。
多くの方が亡くなり、まだ今現在も避難生活を余儀なくされている方も多い東日本大震災の発生からちょうど5年が経ちました。
私自身、家を建てようと思ったのが震災の記憶がまだ新しかった2011年5月であったこともあり、「潰れない家」は家を選ぶ上で最低限の条件でした。
このブログを読んでくださっている方の多くは、30代から40代の方が大半と思っています。そして、今新しい家を建てる方は阪神淡路、十勝沖地震、東日本大震災といった大規模な地震が発生しても、建物そのものが倒壊することによって自分、そして家族の生命が危険にさらされる可能性は十分に低くなっています(当然、屋内の家具の対策等が十分に行われていることを前提として)。
しかし、そのような家は全住戸のうち1.8%というごく僅かな割合に過ぎないのが現実です。
少なくとも、私達30代から40代が生まれ育った当時に建築された家(1981年以前に建築された家)は、「たった震度5」の地震でも倒壊する可能性がある家なのです。
そして、その震度5の地震でも倒壊する可能性がある家は、現在の住宅全体の中にまだ3割も存在しているのです。
おそらく、このブログを読んでくださっている方のご両親などがお住まいの家の中にはそうした家が多いかと思います。
じゃあ、家を建て替えれば良いじゃないか、などということは言えません。高齢である世代にとっては、金銭的なこともありますが、既にその年齢であるが故に、もしも自分が住む地域で大地震が発生してそこで死ぬようなことがあれば、それも人生と受けとめられている方も多いように思います。なによりも、自分が人生を過ごしてきた家を取り壊してまで自分たちの為に家を建て替えることまではしたくないという方が多いのではないかと思います。
今回は、そうした方に向けた解決策のとして、耐震改修、そしてもう一つの手段として一条工務店が提供している「木質耐震シェルター」という選択について考えてみたいと思います。今回は前後編の2つの記事を同時にアップします。
実家は大丈夫?
1981年以前に家を建てられた家は要注意
1978年6月12日に発生した宮城県沖地震(M7.8)をきっかけとして、1981年に建築基準法における耐震基準が大きく見直されました。
1978年の宮城県沖地震では、その最大震度は震度5であったのにも係わらず、1183棟の住宅が全壊し、5574棟の住宅が半壊するという、甚大な被害が発生しました。
東日本大震災の余震の影響もありますが、東日本大震災の翌日2011年3月12日~2016年3月10日までの過去5年間に、日本国内では震度5以上の地震が126回発生しています。ちなみに私が住む茨城県でも、同期間の間に震度5以上の地震は15回も発生しています。
震度5というのは、それほど頻繁にあるわけではありませんが、日本に住む限り多くの方が一生の間に数回程度は見舞われる程度の地震です。
日本においては、それほど低頻度とは言えない震度5程度の地震で住宅が全半壊するようなことがないよう定められたのが1981年6月確認申請以降に適用された新耐震基準となります。
新耐震基準では「震度6強」の地震でも倒壊しない程度の強度が求められるようになりました。
地震による住宅の倒壊は、震度と同時にその周期が住宅の固有周期と合致するようないわゆるキラーパルスが発生した場合に特にその被害が甚大になることが知られています。そのため、1981年以前に建築された住宅は震度5以上の地震で全てが倒壊するなどと言うわけではありません。
しかし、1981年以前に建築された住宅はそれ以後に建築された住宅に比べて地震に脆弱である事は間違いありません。
1981年以前に建築された住宅が地震に脆弱である事は阪神淡路大震災の経験からも明らかです。
下の図は、阪神淡路大震災の際の倒壊家屋の割合を示したグラフです。左側が1981年以前の耐震基準で建築された住宅の大破、中破・小破の割合、右側は1981年以降に建築された住宅を示しています。
出典:国土交通省Webサイト
この図から分かるとおり、1981年以前に建築れた住宅はそれ以降に建築された住宅に比べて大破の割合が3倍も高くなっていることがわかります。
さらに、中破・小破も含めれば、1981年以降に建築された住宅は、大破、中破・小破した住宅の割合が25%程度であったのに対して、1981年以前の住宅では65%の住宅が大破、中破・小破していたことがわかります。
これらのことからも1981年以前の住宅は地震の発生によって生命に被害を与える可能性が極めて高いと言えます。
1981年以前に建築された住宅なんてもうないんじゃないの?
1981年以前に建てられた家というのは築35年以上の住宅ということになります。
実際そのような住戸の割合がどの程度かというと、下のグラフが参考になります。平成20年(2008年)までのデータとなっていますが、1981年以前に建築された住宅は全国平均で約30%も残っていることが分かります。
(出典:総務省統計研修所:住宅・土地統計調査から見る住宅耐震化の趨勢、2011年9月)
今はもう少しその比率が減少しているとは思いますが、それでも依然として30%前後の住戸は1981年以前に建築された家なのです。
そして、1981年以前の住宅に住んでいる方の多くは、私達の両親の世代となっています。すなわち私達の実家が危険な家に該当すると言うことになります。
うちの実家は1981年以降に建築しているから安心!
1981年の建築基準法の改正は非常に大きな改正であったことから、1981年という数字ばかりが知られてしまっているように思います。
しかし、建築基準法における耐震基準は2000年にも大幅に見直しが行われています。
1981年以降に建てられた家が必ずしも安全とは言えない事は阪神淡路大震災の経験からも明らかです。
先ほどのグラフをもう一度ご覧下さい。
このグラフで、1981年以前の住宅で全半壊の住戸が顕著に大きいのは間違いありませんが、同時に1981年以降に建築された住宅であっても約1割が全壊していたと言うことが分かります。
全壊時に中に人がいれば、圧死のリスクが極めて高くなります。
実際、この阪神淡路大震災をきっかけとして2000年に大規模な耐震基準の見直しが行われています。
震度7の地震になると、地震が多い日本に住んでいても大半の人が生涯経験することがない極めて強い地震です。とは言え、阪神淡路大震災自体が、そもそもそれほどの強震が発生すると想定されていなかった地域で発生したことからも分かるとおり、日本国内においてはいつどこで震度7クラスの地震が発生するかについて確実なことが言えないのもまた事実です。
そのため、1981年以降に建築した家だから絶対に倒壊しない、などとは考えずに耐耐震診断などを受けるのが良いかと思います。
2000年以降に建築された住宅は内部の地震対策を
現在の住宅の耐震基準は2000年の建築基準法の流れをくんでいます。家を建てる際に伝えられる耐震等級2,3といった基準も2000年の建築基準法で定められた耐震基準となっています。
現在の耐震基準は阪神淡路大震災の規模の地震の1.5倍の地震に耐えるとされています。。。
阪神淡路大震災の1.5倍って何が1.5倍なんでしょうか??マグニチュード?それとも震度??加速度??はたまた地震の持続時間でしょうか??正しくは「地震力」が1.5倍の地震となっています。
地震力って何?と思って調べてみると、「層せん断圧力」とのことです。層せんだん圧力とは何か?と調べていくと非常にややこしくなってきます。少なくともハウスメーカーの営業さんで「我が社の商品は耐震等級3を取得しており、阪神淡路大震災の1.5倍の地震にも耐えるものとなっています!」と営業されている方のうち99.9%の方は何が1.5倍なのかは理解しないで説明していると思っていますし、それを聞くお客さんの側も同様に何が1.5倍なのか分からないまま聞いているように思います。少なくとも私はいまだに何が1.5倍なのか分かっていません。
実際の所、あくまで私の感覚ですが、耐震等級3の住宅であっても阪神淡路大震災と同じ地震が発生したらその数は十分に少ないけれども一定の割合で全半壊する住宅は出てくるのは間違い無いと思っています。
ただ、それはそれとして、現時点において求めることができる耐震等級3の耐震性は十分に高い水準であり、想定される地震における被害は主に住宅内の家具や家電の転倒による被害となるだろうとも思っています。
ですから、2000年以降に建築された住宅であれば、住宅の倒壊を考えるよりも家の中の建具等の固定をしっかりしておくことが重要と思います。
耐震等級3の家ってどれくらいあるの?
2000年に開始された住宅性能表示制度を使用した57万戸の住宅のうち、耐震等級3を取得している戸建住宅は47.4万戸となっており、実に8割以上の新築戸建住宅は耐震等級3を取得しているということになります。
よって、新規に住宅を建築した場合はであれば、一定の安心を得ることができると考えられます。しかし、少し古い資料にはなりますが、日本国内の戸建住宅総数は2649万戸あるとされています。よって、戸建住宅全体を見れば、耐震等級3を取得している住宅は、全住戸の1.8%にしか過ぎないということにもなります。
このことからも、これから家を建てる自分たちの家は問題にならなくても、自分が生まれ育った実家については倒壊リスクが高い住宅がかなりあるのではないかと思っています
まずは耐震診断を
耐震診断は自治体に問合せ:耐震診断が無料となる自治体も多い
もしも両親が住む実家などについて耐震性に疑問を感じたら、耐震診断を受けることを強くお勧めします。
ただし、耐震診断を受ける場合は注意が必要です。耐震診断については詐欺的な業者が多いのが現実です。
(夕刊フジ:診断や改修工事を薦める詐欺まがいの手口に注意)
そうした被害に遭わないためにも耐震診断を検討する場合は、お住まいの自治体に問い合わせることを強くお勧めします。
上の記事の詐欺師側が名乗っていた「日本建築防災協会」は実在しており、同協会のサイトには、全国自治体の相談窓口が取りまとめられています。
住宅の耐震性に不安がある場合には、上記サイトからお住まいの地域または実家のある地域の自治体窓口に相談してみるのが安心と思います。
これは自治体にもよりますが、1981年以前の住宅の耐震診断については無料で診断をしてもらえることが多いようです。
耐震性能の目安:評点
耐震診断の結果は「評点」として示されます。
評点が1.0以上であれば、大規模な地震によって住宅が倒壊する可能性がそれなりに低いと言うことを示しています。あくまで倒壊しないのであって、その後住めるかは全くの別問題です。
評点が1.0以上であれば、とりあえずは改修工事までは必要ないと考えて良い様に思います。
どの程度の評点で評価されるかは住宅の形状や劣化の状況等によって異なってきますが、大まかな目安としては「時代別評点比較」が一定の参考になります。
こちらのサイトの情報によると、大まかな目安として築年数50年程度の住宅で評点0.5点前後、1981年以前の住宅であれば0.7前後、1981年以降、1990年頃の家までは評点0.9前後となることが多いようです。
評点が1.0未満であれば耐震改修工事を検討すると言うことになります。
耐震改修の費用目安
耐震診断の結果、耐震補修が推奨された場合、耐震改修工事が必要となります(耐震改修は義務ではありません)。
そこで気になるのが耐震改修に要する費用です。
耐震改修費用については住宅によって異なってきますが、「財団法人日本建築防災協会」から公表された資料がわかりやすくなっています。
この資料によると、あくまでも目安ではありますが耐震改修工事費用は下記の計算式で計算できます。
耐震改修工事費用=単位費用(2.7万円)×(改修後評点-改修前評点)×延床面積(㎡)
で計算できるとされています。
耐震回収後に求める評点はひとまずは1.0としておけば良いかと思います。
仮に1981年以前の住宅(延床面積120㎡、約35坪)で耐震診断の結果の評点が0.7点であった場合の耐震改修費用の目安は
2.7万円×(1.0-0.7)×120㎡≒97万円
と計算されます。おおよそ100万円程度の費用が予想されることになります。
1981年以前の建物で劣化があり、評点が0.5と判定された場合は
2.7万円×(1.0-0.5)×120㎡≒162万円
の費用が概算価格となります。
耐震改修費用は100万円~150万円が最も多くなっており、全体の半数が187万円以下で改修が行われているとされています。
ただ、耐震改修工事が必要と判定された場合、その費用の概ね2分の1から3分の1程度の補助を受けられる自治体が多くなっています。
都道府県の自治体別の助成制度はこちらにまとめられています。ただし、PDFファイルが細かくて見づらいためお住まいの市区町村に電話で確認するのが良いかと思います。
補助金などを使うことで、自己負担額はおおよそ100万円前後に抑えられると考えられます。
耐震改修は高すぎてちょっと・・・
耐震改修は住宅全体の耐震強度を高めることで、住宅の倒壊を回避し、万が一の大地震の際にもそこに住む人の命を守ってくれます。
しかし、このような耐震改修を必要とする家に住んでいる方の大半は、私達の親世代、すなわち高齢者世帯が大多数と思います。
蓄えの不安、自分の余生、そういったことを考えて、100万円以上のお金を耐震改修に費やすことをためらう方も多いのが現実かと思います。
そこで、是非知っておいて欲しいのが耐震シェルターという選択です。
次の記事では補助金なしで税抜き25万円、補助金を使えば10万円台で設置できる耐震シェルターという方法を紹介したいと思います。
続きは
[kanren postid=”11059″]からどうぞ!