オリコン「ハウスメーカーランキング」に見るハウスメーカー別の強みと弱み

こんばんは。さすけです\(^o^)/

これから家を建てる方にとって、ハウスメーカーの強みや弱み、そして、家を建てた方がハウスメーカー毎にどのようなポイントに満足しているのか、また不満を持っているのか、ということはハウスメーカーを選ぶ上で重要な要素となるかと思います。

音楽のランキングなどで有名なオリコンが過去10年間に主要ハウスメーカーで注文住宅を建築した4千人以上の方に調査を行い、ハウスメーカーごとの打合せのしやすさからアフターケアの満足度に至るまでのランキングを発表していることはご存じでしょうか?

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(出典:オリコンが発表する「ハウスメーカー 注文住宅のランキング・比較」調査)

このオリコンのハウスメーカーランキングはこれから家を建てる方に取って非常に有用な情報が多く含まれています。

そこで、今回はこのオリコンが2016年9月~11月に実施したハウスメーカーランキング調査の結果のうち、公表されているデータに基づいてハウスメーカーの特徴を見ていきたいと思います!

まず、このオリコンのハウスメーカーランキングの結果を示すと、1位がスウェーデンハウス、2位がヘーベルハウス、3位が住友林業、となっています。さらに、それぞれに「打合せのしやすさ」や「アフターサービスへの満足度」といった項目毎に点数が付いてランキングになっています。ただ、こういったランキングデータは純粋に点数を見ていてもあまり必要な情報を得ることができません

単にランキングを見ていると、「ふ~ん、ここが1位位なんだ~」という程度で終わってしまいますが、もう一歩踏み込んで分析をすることで、ハウスメーカー毎の強みや弱みが浮き彫りになってきます

目次

オリコン「ハウスメーカー 注文住宅のランキング・比較」

ランキングの概要

まず、このオリコンのハウスメーカー満足度ランキングの概要を見てみます。

オリコンでは、2016年11月に、全国を対象として「過去10年以内」にハウスメーカーやパワービルダーで注文住宅を建てられた方4535人からの回答に基づいてランキングを作成し、公表しています。

ランキングは毎年更新されており、今回で3回目になります。今回の分析では特に断りがない限り2017年のランキングを基に分析を行っています。

アンケート回答社は注文住宅で10年以内に家を建てた方を対象としており、建売分譲住宅のように間取りや内装が自由にならない家は対象外となっています。そのため、これからハウスメーカーを選ばれる方にとっては、実際にそのハウスメーカーで家を建てた「先輩」たちの生の声が反映されていると言えます。

対象ハウスメーカー、パワービルダー

オリコンのハウスメーカーランキングで調査対象としているハウスメーカーは全部で47社あり、有名どころのハウスメーカーはもちろん、パワービルダーと呼ばれる各地域で特色のある工務店等も含まれています。

対象企業(抜粋)は下記の通りになっています。

アイダ設計 / アイフルホーム / アエラホーム / アキュラホーム / へーベルハウス / いいだのいい家 / イシンホーム / 一条工務店 / クレバリーホーム / サンヨーホームズ / スウェーデンハウス / 住友不動産 / 住友林業 / セキスイハイム / 積水ハウス / セルコホーム / センチュリーホーム / 大成建設ハウジング / ダイワハウス / タマホーム / 東急ホームズ / トヨタホーム / 日本ハウスホールディングス / パナホーム / 桧屋住宅 / 富士住建 / ミサワホーム / 三井ホーム / 三菱地所ホーム / 無印良品の家 / ヤマダ・エスバイエルホーム / ユニバーサルホーム / レオハウス / ロイヤルハウス

積水ハウスはもちろん、私が家を建てた一条工務店、セキスイハイム、住友林業、そしてローコストメーカーのタマホーム、アイダ設計など、通常知っているハウスメーカーはほぼ網羅されています。

ハウスメーカーランキング結果

詳しいランキングの結果は、オリコンのサイトで確認していただければと思いますが、1位が77.91点のスウェーデンハウス、2位が76.68点でヘーベルハウス、3位は76.35点で住友林業、そして一条工務店は75.06点で7位となっています。詳細なデータが公表されている一番最後のタマホームが22位で70.95点となっています。

ここで、「1位のスウェーデンハウスを選んでおけば間違いないんだね!」とか、「スウェーデンハウスの家は高いから、2位のヘーベルにしておこう!」という見方は間違った見方と思います。

もちろんスウェーデンハウスが1位となるからには1位になる理由があるので、「何か他のハウスメーカーより優れた点がある」ということは間違いありませんが、点数だけを見てハウスメーカーが優れているかどうかを判断することはできません。

なぜならば、1位のスウェーデンハウスが77.91点で2位のヘーベルハウスは76.68点、3位の住友林業は76.35点です。1位と2位の差は1.23点、2位と3位に至っては0.3点しか違いがありません。100点満点のテストで1点の差は受験では合否を分ける重要な点数差となるかも知れませんが、一般的なアンケート調査の点数差としては「同程度」と見るべきと思います。

オリコンハウスメーカーランキングの見方と意味

ハウスメーカーランキング評価項目に含まれる重要な情報

点数だけを見るべきじゃないと言われて、じゃあ、オリコンのランキングは見ても意味がないものか?というと、それは全く違うように思います。ランキング自体を否定するつもりはありませんが、1点、2点の違いでそのハウスメーカーの満足度が全く異なるものではないというだけのことです。

このオリコンのハウスメーカーランキングには「点数」以外にもっと重要な情報が含まれています。

オリコンの調査は実際に注文住宅で家を建てた4000人もの方にアンケートを実施しており、既にその家に住んでいる方々の経験に基づいた回答によって行われたランキングです。

下記は、7位の一条工務店のランキング情報です。総合得点は75.06点となっていますが、その下に「打合せのしやすさ」など実際にアンケート回答社が経験したことに基づいた点数があることがわかります。

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(出典:オリコンハウスメーカーランキング「7位一条工務店」)

個人的には、総合得点が高いか低いかよりもこの詳細の方が、これから家を建てようと思っている方にとっては重要な情報と思います。

オリコンのハウスメーカーランキングでは以下の14の詳細項目に分けて点数が公表されています。

  1. 打合せのしやすさ
  2. オープンハウス
  3. 情報のわかりやすさ
  4. 営業スタッフの対応
  5. 金額の納得感
  6. 設計担当者の対応
  7. デザイン
  8. 付帯サービス
  9. ラインナップの充実度
  10. 住居の性能
  11. 設備・内装の質
  12. 施工担当者の対応
  13. 長期保証
  14. アフターケア

なぜこの詳細項目が重要かと言うと、例えばこれから家を建てようと思っている段階で気にはなるけれど、家を建てる前にはなかなかわかりにくい「家を建てた後のアフター」への満足度は、ハウスメーカーを選ぶ方にとって重要な情報になります。

また、既に打合せを済ませていて、建築を待っている方にとってはぶっちゃけ「打合せのしやすさ」への満足度は意味を持ちません。それよりも「施工担当者の対応」への満足度が低いようであれば、顧客側が少し注意を払って建築過程を見ておいた方が良さそうだな、といった見方もできます。

このように、単に総合得点で見るのではなく、項目毎に見ることでハウスメーカーの強みや弱みが見えてきます。

ハウスメーカーランキングの「住居の性能」に見る一条工務店の特徴とヘーベルハウスの意外性

オリコンのサイトでは、14の項目毎にランキングを比較することができると同時に、1社毎に下のように項目別の順位が高い項目を一目でわかる詳細サイトも準備されています。

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このページでは、実際に回答者が自由記述で回答したハウスメーカーの良かった点なども閲覧できます。

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で、この結果を見ると、実際に住んでいる人の感想として、「J.住宅性能」への満足度が一条工務店の評価の中で最も高くなっていることが分かります。これは全館床暖房と断熱性能の高さによる部分が大きいのだろうと思います。これは実際に住んでいる身からしても「そうだよね」という印象で、主観的な印象ではありますがこのアンケート調査の妥当性が見て取れます。

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全体でも一条工務店で家を建てられた方の住宅性能への満足度は47社中3位となっており、他のメーカーと比較しても高く評価されていることがわかります。

一条工務店で家を建てた方が「住宅性能」に満足していることは分かりましたが、では、より住宅性能への満足度が高いハウスメーカーはどこでしょうか?

「J.住宅の性能」のリンクをクリックすると、住宅性能の項目のみの満足度ランキングが表示されます。

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これを見ると、1位がスウェーデンハウス、2位がヘーベルハウスとなっていて、3位が一条工務店です。高断熱高気密を売りにしている1位のスウェーデンハウスや3位の一条工務店はある意味「予想通り」な印象でしたが、個人的にはヘーベルハウスが2位にあったのは意外に思いました。住宅の断熱性能で比べると、ヘーベルハウスは1位と3位のスウェーデンハウスや一条工務店と比べるとかなり低く、2位に来るのは意外に思ったのです

ただ、これこそがこのランキングの真価で、私自身も含めて一条工務店で家を建てている方は一条工務店の営業さんの手の平の上で踊っていて「住宅性能=断熱性能」という印象を強く植え付けられているためにこのように思うのだと気が付かされます

ヘーベルハウスが住宅の性能で2位に来る背景は、断熱性能だけではなく、ヘーベル壁による耐火性能、そして鬼怒川の氾濫でも流されなかった頑丈さ、そういった項目も「住宅の性能」なんだと気が付かせてくれます。

耐火性能や耐久性能といったものは、住宅の性能として重要な要素です。他のハウスメーカーが旨くアピールできていないそうした住宅性能をヘーベルハウスは適切に説明ができ、それにお客さんが満足しているのだろうと思います。

また、オリコンの調査は「満足度」のランキングであることから、営業さんがお客さんにヘーベルハウスの性能についてしっかりと説明し、お客さんもそれを納得して、さらに実際に住んで見たら営業さんの説明と変わりのない「住宅性能」であったことを示しているのだろうと思います。

このことは「A.打合せのしやすさ」でヘーベルハウスが全体の1位に位置していることからも、営業さんの説明が適切である事を示唆します。

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特定のハウスメーカーの営業さんとだけ話をしていると、どうしてもそのハウスメーカーがアピールしたいポイントばかりに目が行ってしまいますが、このように住宅の性能という1つを見ても、住宅の性能って単に断熱性能だけじゃなくてもっともっと広い範囲をカバーする言葉で、「住宅性能=断熱性能」として考えることが本当に自分が望む家にとって必要なのか?ということを考えるきっかけを与えてくれます。

スウェーデンハウスと言えば建てた後のメンテナンスが心配?でも満足度から見ると・・・

オリコンのランキング調査では、ハウスメーカーの特徴に応じた心配に対しての回答を得ることもできます。

例えば、スウェーデンハウスは住宅性能が高くて「木のぬくもりを感じる家」として人気のハウスメーカーですが、私自身スウェーデンハウスを見ていて思ったのは、これだけ木をふんだんに使っていたら将来のメンテナンスが大変なんじゃないかな~と思ったことがありました。

ただ、オリコンのハウスメーカーランキングを見ていると、その心配は杞憂だったのかな?と思えます。

もしもスウェーデンハウスで家を建てた方にとって、アフターのメンテナンスが大きな負担になっているとするならば「アフターケア」の満足度が低くなっているはずです。しかし、アフターケアのランキングでは、スウェーデンハウスは47社中1位となっています。

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このことから、実際にスウェーデンハウスで家を建てられた方の多くが、スウェーデンハウスが行うアフターケアに対して高い満足度を示していることがわかります。

もちろん、これは「スウェーデンハウスで家を建てた人」の回答である事から、スウェーデンハウスで家を建てた方はそういったメンテナンス自体を楽しめる方である、という可能性もありますが、それにしてもスウェーデンハウスのアフターケアの満足度が高いことは間違いなく、家を建てる前に心配になるアフターメンテナンスなどもそれほど心配しなくて良いのかな?という安心感を与えてくれる結果となっています。

一条工務店の「標準仕様」への満足度は?

もう一つ別の心配事を確認するケーススタディをしてみたいと思います。

一条工務店は、展示場に行くとそのほとんどが標準仕様であることを強くアピールしてきます。

これから家を建てる方にとって気になるのは、「標準仕様」であることはいいけど、それが安物で後になってから不満ばかりが出るような室の悪いものであったら困ります。

一条工務店が「客寄せ」のためだけに標準仕様をアピールしているのだとしたら、できる限り安い住設を標準仕様にして、盛りだくさんにすることでお客さんは、「これだけ付いてこの値段なら良いかな?」と思わせる方法もあります。ネット上の匿名掲示板などでは一条工務店の住設は安物で質が悪いと書き込まれていることも多く気になる方もいらっしゃるように思います。

しかし、この満足度調査から見ると、一条工務店が標準仕様としている住宅設備の「設備や内装の質」への満足度は47社中2位に位置しています。もしも、標準仕様が単なる安物であるとするならば、この満足度は大きく下がるはずです。

このことから、一条工務店が標準仕様としている住設は決して安物で質の悪い物ではない、少なくと家を建てた後に品質等に満足できる程度に高い質であることが伺えます。

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1位のスウェーデンハウスは、「木のぬくもり」に特化しているため、それを気にいって建てた方が多く、満足度が高いこともうなずけます。やや点数差が開いてはいるものの2位に一条工務店、僅差で住友林業となっていることから、一般に一条工務店と比較されやすい住友林業と一条工務店では住宅の設備や内装の質という点については、47社中高位に位置する程度に高い水準で「差異はない」と見て良い様に思います。

ハウスメーカラーンキングを見る上での注意点と限界

大半の人は「自分の選択」に満足している:ランキングにミスリードされないために知っておくべきこと。

ここまで見てきたようにオリコンが公表しているハウスメーカーのランキングの詳細を見るだけでも、これから家を建てる方には参考になる部分が多くあります。

しかし、オリコンのサイトではハウスメーカー毎に並び替えはでき、おおよそのハウスメーカーの特徴はつかめるものの見方を誤るとミスリードに繋がる可能性もあります。

一般にどのようなものであっても、人は「自分がこだわって選択したこと」には満足する傾向があります。

特に家のように高額な商品であれば、誰かに強要されたのでない限り、その傾向は強くなります。また、ハウスメーカーを比較しても、その傾向は顕著です。

この傾向が顕著に表れているのが「スウェーデンハウス」のように思います。

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スウェーデンハウスの項目別順位と点数

オリコンのハウスメーカー満足度ランキングでは、スウェーデンハウスは総合得点で1位であると同時に、14項目中11項目で1位となっていることがわかります

その一方で、最大手のハウスメーカーである積水ハウスのランキングを見てみると下記のようになっています。

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積水ハウスの項目別順位と点数

最大手の積水ハウスは1位になった項目はゼロです。3位になった項目も14項目中4項目となっており、全体順位も5位に留まっています。

この結果から、積水ハウスは広告宣伝で売り出して、実際には満足度が低い、と見るのは間違った見方と思います

このような結果になった理由は「自分の選択への満足度の高さ」が強く反映された結果ではないかと推察します。

これは誤解のないようにしていただきたいのですが、私はこのランキングが間違ったものであると言いたいわけではありません。あくまで、このランキングはそのハウスメーカーで家を建てた人の満足度をアンケートで調査した結果ですから、スウェーデンハウスの満足度が高いということは事実です。ただ、それはスウェーデンハウスで家を建てた方の「こだわり」というか、「思い」の強さを示したものでもあるように思っています。

これは適切な言い方ではないかも知れませんが、スウェーデンハウスを選んだ方は「ある種の強いこだわりや思い入れを持ってスウェーデンハウスを選んでいる」と思います。何となくスウェーデンハウスを選ぶ方って想像しにくいですよね?

一方で、積水ハウスは業界最大手で、「どうしても積水ハウスで家を建てたい!」と考えて選ぶ方よりも、「積水ハウスなら安心だよね」というように、決して悪い意味ではなく、流れとして積水ハウスを選ばれる方が多い印象を持っています。(もちろん強いこだわりで選ばれる方もいらっしゃいます!)

ただ、棟数が多く、有名であるため、そこまでのこだわりなく積水ハウスを選ばれる方もたくさんいらっしゃるように思います。そして、これは私自身のイメージでしかありませんが、積水ハウスは「尖ったお客さん」を対象にしたハウスメーカーではなく、全ての人に満足をしてもらうことを目標としたハウスメーカーという印象を持っています。ちなみに、一条工務店は高断熱高気密全館暖房一点突破型ハウスメーカーという印象です^^

そのような中でスウェーデンハウスは、こだわりのハウスメーカー型、とでも言うような存在です。

どの選択が正しいとか間違っているというのではなく、そのハウスメーカーで家を建てる方の好みが顕著に表れていることを示唆します。

人はこだわった部分の満足度は高くなる傾向にあり、スウェーデンハウスでは、断熱性能はもちろん、デザイン性、内装といった様々な部分にこだわりが強い方が多く、その結果としてオリコンのランキングで極めて高く評価されている傾向があるように思います。

もちろん、スウェーデンハウスがそのこだわりに対して適切に応えたが故に1位となっているわけですから、そのことは高く評価されるものです。ただ、これだけたくさんの項目で1位にあるのだから、多くの人にとって最適な選択である、とはならないことには注意が必要です。

ランキングを見る上での注意点:多くの人はそのハウスメーカーの家にしか住んでいない

オリコンのハウスメーカーランキングを見る上でもう一つ重要なことがあります。

それは、各ハウスメーカーのランキングはそのハウスメーカーの家に住んだことしかない人の回答に基づくランキングだ、という点です

例えば、私自身は一条工務店の家にしか住んだことがありません。そして、スウェーデンハウスを選ばれた方はスウェーデンハウスの家にしか住んだことがない方が大半です。積水ハウスの結果も同様です。

そうなってくると、例えば「アフターの満足度」と言っても、私自身が主観的に満足かどうかを回答することはできたとしても、他のハウスメーカと比較して満足かどうかの比較はできません。そのため、オリコンのランキングはあくまで「自分の家」の満足度を集計したランキングとなっています。

例えば、私が一条工務店のアフターを80点と評価したとして、他の人も同じ対応を受けて80点と評価するかどうかは分かりません。非常に辛い点数をつける方で、同じアフターの対応を受けていても30点と評価する人もいれば、それと同じ対応でも100点を付ける人がいるかも知れません。

調査対象人数が4千人以上と十分に多く、また、オリコンのハウスメーカーランキングでは1社あたりの回答者数として100人という制限を設けているため、主観のばらつきもある程度排除できていると考えて良いかと思いますが、「そのハウスメーカーを選ぶ人」自体に傾向があることまでは排除できません。

そのため、点数が高いから良いハウスメーカー、点数が悪いから悪いハウスメーカーという見方はすべきではありません。

あくまで、そのハウスメーカーの各項目への満足度をおおよそ把握することができる、程度に考えておくべきと思います。

もう一歩踏み込んでハウスメーカー毎の強みと弱み

ハウスメーカーの強みと弱みが見えてくる

オリコンのハウスメーカーランキングをハウスメーカーを比較する目的で使用するとミスリードになってしまう可能性を指摘しましたが、「1つのハウスメーカの中での強みと弱み」として見ると非常に面白いことが分かってきます。

どういうことかというと、このハウスメーカーランキンでは14項目に分かれて評価が行われていますが、1社を取り出してみると「主観による影響」はかなり小さくなります。例えば一条工務店1社を例にして、私という1人の人間が回答をしたとするならば、14項目の全てについて「私の主観に基づく満足度」で評価を行うことになります。

結果として、「さすけの満足度」という観点では14項目のそれぞれの項目について、高いか低いか、という特徴は1人の満足度としてはブレのないものになります。

仮に私が、かなり厳しい点数をつけたとしても、Aの項目では30点、Bの項目では20点、というようにBに比べてAの項目の方が満足度が高い、という事実は調査結果に反映されます。そして、私以外の点数を高く付ける傾向の人がいたとして、その人がAの項目は90点、Bの項目は80点というように点数をつけていても、平均点はAの項目は60点、Bの項目は50点となり、Aの項目の方が満足度が10点高い、という情報は失われません。

結果として、ハウスメーカーの比較、として見るのではなく、1つのハウスメーカーの中でどの項目が強くて、どの項目が弱いのか、という見方をすれば回答者の主観による影響は小さくなります。

ハウスメーカーの強みと弱みを探るためのデータ準備

そこで、まずはオリコンのデータを下の様にExcel表に落とし込みました。

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ランキングとして見る場合には縦方向に見るのですが、ここでは、軸方向に各項目を「偏差値」として表してみました。下の表は横方向に見ます。

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1位のスウェーデンハウスを見てみると、住宅性能の偏差値が70.46と高く、一方で、「付帯サービス」の項目が偏差値33.07とかなり低くなっていることがわかります。

ただし、これはスウェーデンハウスに限ったことではなく、全てのハウスメーカーで同様の傾向であることがわかります。

これはどういうことかというと、家を建てた人の多くは「住宅性能」については満足しやすく、一方で付帯サービスや金額には満足していない傾向が強いという結果を示しているに過ぎません。

すなわち、ハウスメーカーに寄らず一定の傾向が出てしまっている状態で、「住宅性能」が満足しやすい項目で、「金額」や「情報のわかりやすさ」はあまり満足度が低い傾向にあるという全体的な傾向になってしまっていて、あまり意味のある結果ではありません。

そこでもう少し工夫をしてデータを加工してみます。工夫と言っても簡単で、項目毎の傾向を排除するために各項目を一旦その項目の平均値で除してから、偏差値換算をします。

すると、各ハウスメーカーの強みと弱みが浮き出てきます。結果は下の表です。

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ぱっと見ではわかりにくいので、ハウスメーカー毎に見ていきます。

ハウスメーカー別満足度に見る強みと弱み

ここでは、ランキング上位10社について、実際にそのハウスメーカーで家を建てた人がどの項目に満足をしていて、どの項目を不満に思っているのかを示します。

評価の高かった2項目をそのハウスメーカーの「強み」、低かった2項目を「弱み」とします。ただし、「付帯サービス」、については内容が不明であったため、「オープンハウス」については展示場のことのため除外します。

スウェーデンハウス の強みと弱み

スウェーデンハウスで家を建てて「満足した」項目

○1位(^o^):住宅性能
○2位:長期保証

スウェーデンハウスは住宅性能と長期保証への満足度が高くなっていました。スウェーデンハウスの住宅性能=断熱性能が高く評価されており、また、引き渡し後の長期保証が充実していることが伺えます。

スウェーデンハウスで家を建てて「不満」だった項目

×1位(T-T):金額
×2位:打合せのしやすさ

満足される項目が多いスウェーデンハウスですが、やはり値段の高さが大きな不満ポイントとなっているようです。また、これは原因についてはわかりませんが、打合せのしやすさ、についても不満が多いようです。

へーベルハウス の強みと弱み

へーベルハウス で家を建てて「満足した」項目

○1位(^o^):住宅性能
○2位:アフターケア

先に触れれたとおりヘーベルハウスも住宅性能への満足度が高くなっています。また、アフターの良さも満足度に貢献しているようです。

へーベルハウス で家を建てて「不満」だった項目

×1位(T-T):金額
×2位:ラインナップの充実度

ヘーベルハウスでは、金額の高さとラインナップの充実度については不満が多いようです。ヘーベルハウスも一条工務店と同様、「一目でヘーベルハウスと分かる」ハウスメーカーですから、外観の多様性は乏しく、結果的に不満ポイントとなっているようです。

住友林業 の強みと弱み

住友林業 で家を建てて「満足した」項目

○1位(^o^):アフターケア
○2位:施工担当者の対応

住友林業で家を建てた方が最も満足しているのはアフターケアの充実と施工担当者の対応となっていました。いずれも「人」が重要な役割を果たしている項目で、社員の方達の対応の良さが伺えます。

住友林業 で家を建てて「不満」だった項目

×1位(T-T):金額
×2位:打合せのしやすさ

住友林業で家を建てた方が不満に感じているポイントとしては、やはり金額の高さとなっています。また、打合せのしやすさ、についても不満足であると回答する方が多かったようです。

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三井ホーム の強みと弱み

三井ホームで家を建てて「満足した」項目

○1位(^o^):デザイン性
○2位:設備・内装の質

やはり三井ホームは「デザイン性」への満足度が高く評価されたようです。また、デザイン性と関係して設備・内装の質という点でも高く評価されています。設備の質については三井ホームが売りとする全館空調システムも貢献しているのではないかと思います。

三井ホームで家を建てて「不満」だった項目

×1位(T-T):金額
×2位:長期保証

一般に高いと言われる三井ホームですが、やはり不満項目としては金額の高さへの不満が多くなっています。また、長期保証という保証の観点で不満に思っている方が多いことが気になります。三井ホームでは全館空調システムという長期的にどうしてもメンテナンスが必要となる設備があることから少し気になります。

積水ハウス の強みと弱み

積水ハウス で家を建てて「満足した」項目

○1位(^o^):アフターケア
○2位:設備・内装の質

積水ハウスで家を建てた方はアフターケアに対する満足度が最も高く、やはり「積水ハウスだから安心してください」という営業さんが多いだけのことはある印象です。同様に設備・内装の質についても満足度が高いようです。

積水ハウスで家を建てて「不満」だった項目

×1位(T-T):金額
×2位:営業対応

当然というか、やはりというか積水ハウスで家を建てた方が最も不満に感じているのは金額となっています。。。まあ、積水ハウスですからね。。。そして、ちょっと気になるのは「営業対応」への不満が多いのは気になります。私自身が積水ハウスの営業さんに対応してもらったとき全てについて「積水ハウスですから安心して下さい」と言われて辟易したことがあり、そういった面が出てしまっているのかも知れません。

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パナホーム の強みと弱み

パナホーム で家を建てて「満足した」項目

○1位(^o^):設備・内装の質
○2位:アフターケア

パナホームの家と言えばパナソニックの住設の充実度が挙げられますから、パナホームで設備・内装の質が最も評価されている点はうなずけます。また、アフターケアについてもパナソニック製品が多く一貫したサポートが受けられることから、高く評価されているのだろうと思います。

パナホーム で家を建てて「不満」だった項目

×1位(T-T):金額
×2位:営業対応

パナホームの家はやはりパナソニック製品であるが故に、値段の高さへの不満が多くなっているようです。また、積水ハウスと同様、営業対応への不満が2位に位置している点が気になります。どうしても最大手の貫禄で営業をかけられて顧客側としてはストレスを感じてしまうのかも知れません。

一条工務店 の強みと弱み

一条工務店 で家を建てて「満足した」項目

○1位(^o^):住宅性能
○2位:設備・内装の質

一条工務店の家は、これは私自身が住んでみての感覚と同様、住宅性能、そして、「標準仕様」を売りにしていることもあって2位に設備・内装の質への満足度が高くなっています。

一条工務店 で家を建てて「不満」だった項目

×1位(T-T):ラインナップの充実度
×2位:アフターケア

一方で、一条工務店で家を建てた方の不満ポイントとしては、これは「金額」が不満ポイントにくる他メーカーとは違っています。ラインナップの充実度については、ヘーベルと同様一目で分かるぐらいに多様性がないので、当然ですが、アフターケアへの不満が多いのが気になります。個人的にはきちんと対応をしてくれる印象を持っていますが、一条工務店は担当者に強く依存している印象もあり、担当者次第でアフター対応が変わってしまうことが不満に繋がっていのかもしれません。

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セキスイハイム の強みと弱み

セキスイハイム で家を建てて「満足した」項目

○1位(^o^):住宅性能
○2位:アフターケア

セキスイハイムの住宅も住宅性能、そしてアフターケアが高く評価されています。

セキスイハイム で家を建てて「不満」だった項目

×1位(T-T):金額
×2位:ラインナップの充実度

これまた、金額が最も不満に繋がっており、ヘーベル、一条と並んで一目で分かるハウスメーカーである事からラインナップの充実度への不満が多いようです。

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ダイワハウス の強みと弱み

ダイワハウス で家を建てて「満足した」項目

○1位(^o^):アフターケア
○2位:長期保証

大和ハウスの強みは「引き渡し後の保証とアフター」にあるようです。トヨタホームと並んでアフター、長期保証という引き渡し後の満足度が高いハウスメーカーは少し安心できるように思います。

ダイワハウス で家を建てて「不満」だった項目

×1位(T-T):金額
×2位:施工担当者の対応

一方で、金額の高さは言わずもがなですが、施工担当者の対応への不満が大きくなっている点はやや気になります。建てている時の担当者の対応による安心感というのはハウスメーカー選択の上での満足度に大きく関係する気がします。

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トヨタホーム の強みと弱み

トヨタホームで家を建てて「満足した」項目

○1位(^o^):長期保証
○2位:アフターケア

大和ハウスと同様トヨタホームもさすがトヨタの子会社だけ会って、引き渡し後の対応の良さが伺えます。家は住んでからが本番です。その点からも長期保証やアフターへの満足度が高いことは高く評価できるように思います。

トヨタホームで家を建てて「不満」だった項目

×1位(T-T):設備内装の質
×2位:デザイン

アフターの良さの一方で、設備・内装の質への満足度が低くなっている点はやや気になります。また、デザインへの不満も大きく、内装という点で不満になりやすいのかも知れません。

タマホーム の強みと弱み

タマホームはランキングでは22位でしたが、ちょっと面白い傾向があったのでご紹介します。

タマホームで家を建てて「満足した」項目

○1位(^o^):金額
○2位:ラインナップの充実度

タマホームは他の大手ハウスメーカーと違い、「金額」への満足度が最も高くなっていました。やはりローコストハウスメーカーの雄だけのことはあります。また、金額が安くてもラインナップが充実していると評価されている点も興味深い点です。

タマホームで家を建てて「不満」だった項目

×1位(T-T):アフターケア
×2位:住宅性能

金額の安さの一方で、アフターケアへの不満が最も大きくなっている点が気になります。また、住宅性能に付いても不満が多いようです。このあたりは値段の安さとアフターや住宅性能の不満を天秤に掛けて考える必要があることを示唆しています。

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(タマホームで家を建てるのにひつよひつよう必要なお金と値引き

ハウスメーカー別の満足・不満足ポイントまとめ

金額か、性能・アフターか、真ん中か。。。

以上ハウスメーカー別にその満足・不満ポイントをまとめてきました。上記のハウスメーカー別満足・不満ポイントを一覧にまとめた表を下記に示します。

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いわゆる有名ハウスメーカーは概してアフターや長期保証に強い傾向が見られます。その一方で、金額の高さへの不満が多くなっています

一方で、タマホームのようにローコストハウスメーカーは金額への満足度が高い一方でアフターや住宅性能への不満が大きくなっていることがわかります。

一条工務店については、いわゆる有名ハウスメーカーとローコストの中間に位置していて、住宅性能への満足度が高い一方、アフターへの不満が高くなっており、やはり一点突破型の印象です^^;

住宅の性能・品質も良く、価格も安くてアフターも保証もしっかりしている、そんなハウスメーカーがあればパーフェクトなのですが、アンケート調査の結果を見ると、「価格」「住宅性能・品質」「アフター・保証」という3つの要素がトライアングル上になっていて、いずれかの満足度が高いと他の満足度が低くなる傾向が見て取れます

これから家を建てる方は、どこを重視するか、と同時に、どの部分で妥協をするか?という選択が必要と言えそうです。

この結果は非常に当たり前で、住宅性能や品質はもちろん、アフターや保証を良くすればハウスメーカーから見るとコストが発生するため、価格は高くなります。お金を、住宅性能や品質、デザイン性、アフターや保証のいずれにどの程度配分するかという風に考えながらハウスメーカーを選ぶ必要があるのだろうと思います。

おわりに:ハウスメーカーが言ってくれない「不満ポイント」の重要性

今回はオリコンが調査した実際にそのハウスメーカーで家を建てて住んでいる方へのアンケート調査に基づいて、各ハウスメーカーの強みと弱み(満足・不満足度)を分析しました。

上でもいくつか書いた様に、このハウスメーカーランキングは単純に点数を眺めるだけではなく、項目毎に見ていくとでこれから家を建てる方にとって非常に有用な情報が満載となっています。

ただこのアンケート調査結果の限界として、実際に「なぜその項目の満足度が高い(低い)のか」というのは、ランキングデータだけからは分かりません。そのため、個々にその背景を探っていくことが必要です。

実際に家を建てるに当たってハウスメーカーを選ぶ段階では、上記で不満が大きかった項目についてなぜそのような評価となっているのかを意識しながら営業さんに確認をしたり、情報を探したりして、自分自身で納得の上でハウスメーカーを選択することで、より満足度の高い家づくりができるかと思います。

ハウスメーカーの多くは自社の強みはいくらでもアピールします。そして、だいたいが風呂敷を広げすぎる傾向にあります。。。そうした風呂敷は、実際に住んだ人からすると「不満」に繋がりやすいものとなります。

あまり想像で言うのは良くないですが、タマホームなどは値段の安さについては営業さんなどが強くアピールし、そして事実安いという結果として、価格感への満足度は高くなっているのだろうと思います。一方で、タマホームの営業さんはおそらく、「値段は安くても冬も暖かいです。品質も最高水準です」といったかなり無理のあるアピールをしていて、しかし、実際には価格の高いハウスメーカーと比べると断熱の方法や換気システムなどに違いがあり、冬の寒さを感じる方が多く結果的に満足度が低くなってしまっているのではないかと思います。

一条工務店も、住宅性能を猛アピールしてその点では確かに冬は暖かく非常に快適な一方で、アフターについては、「2ヶ月点検、10年目点検」などのアフターの充実度をアピールしますが、2ヶ月目は実際には「2ヶ月訪問」であって「点検」ではないこと、また、よくよく考えてみると2ヶ月後の次は10年先までこちらから言わなければ特に点検等もなく、10年目に来たと思ったら保証延長費用で高い金額を言われてビックリ(゜д゜)のようなところがあるので、このあたりがアフターの不満に繋がっているように思います。

このオリコンのデータは、実際にそのハウスメーカーで家を建てた人が「満足」していなければ点数が上がらないため、ハウスメーカーの言った者勝ちのような「企業広報」を見透かすものとなっており、単に宣伝上手なだけでは点数を上げられない仕組みとなっています。そのような点でこのハウスメーカーランキングは顧客視点で見たときに非常に有用なものと思います。

仮にここでの満足度を上げようと思うと、単にアフターの良さを口先でアピールするだけではなく、お客さんの側が本当に満足してくれなければならず、私達顧客側がこのようなランキングを重視することで、結果的にハウスメーカーの対応も変わっていくように思います。このオリコンのデータは、純粋にお客さんの側の満足度、としてみると顧客目線だけではなく、本当に有効に使えるのはハウスメーカーのように思います。