【重要】一条工務店太陽光発電システムと火災リスク:6万軒以上の一条工務店の住宅で対策が必要?

こんばんは。さすけです\(^o^)/

2019年1月28日に消費者庁より「消費者安全法第23条第1項の規定に基づく事故等原因調査報告書 住宅用太陽光発電システムから発生した火災事故等 」が公表されました。

これを受けて、一条工務店からもプレスリリースも発表されています。

既に新聞等でも報道されていることからご存じの方も多いかと思いますが、国内で普及が進む住宅の屋根設置型ソーラーパネルが発火し、7軒では屋根に延焼、火災事故が発生していることからその対策を経産省などに要請する内容となっています。

消費者庁の報告書では国内の住宅等の屋根に設置されたソーラーパネルは2,374,700棟に上るとされており、これら全てのソーラーパネルで発火の危険性があることが指摘されています。特に内11万の太陽光発電システムに採用されている「鋼板無し型」ソーラーパネルについては、発火に伴い屋根への延焼事故が発生したことから、パネルの変更や応急点検を行うことを要請しました。

そして、一条工務店の住宅屋根に設置されているソーラーパネルは全てこの延焼が確認された「鋼板無し型屋ソーラーパネル」となっています

一条工務店では2010年以降、ソーラーパネルをターンキーシステムという形でアルバック製のソーラーパネル製造ラインを購入し、ソーラーパネルを自社の関連会社であるHRD(日本産業)で製造しています。そして、一条工務店では初期費用ゼロで太陽光発電システムを導入可能な夢発電などの仕組みを作り、ピーク時には一条工務店が施工する住宅の約9割でソーラーパネルの設置を行ってきました。消費者庁の報告書に従うならば、2011年以降に引き渡しを受けたほぼ全ての一条工務店の家は発火・延焼リスクが他のパネル設置形態に比べて高い状態にあると言えます

一条工務店の年間施工等数は1万数千棟あることから、一条工務店は2010年から現時点までに約6万棟のソーラーパネル設置した住宅を販売してきたことになります。よって、火災・延焼リスクが高いとされた鋼板無し型ソーラーパネル設置住宅11万軒のうち半数以上が一条工務店の住宅であると推定されます

そこで気になるのが、消費者庁の事故調査によって明らかとなったソーラーパネルの発火・延焼事象はどの程度の頻度で発生し、また、私たちはどのように対策をすべきかについて消費者庁の報告書を元に考えてみたいと思います。

追記:2019/05/25 この記事の内容に対して一条工務店が標準仕様として対応することが決まりました。

一条工務店が太陽光発電システム火災リスクに対して標準対応となりましたよ\(^o^)/

 

目次

この記事のポイント!

  • 消費者庁から太陽光発電システムの火災事故に関する事故調査報告書が発表された。
  • 屋根設置型ソーラーパネルのうち、11万軒に設置されている「鋼板無し型ソーラーパネル」は延焼の危険があるとして、応急点検等の要請が行われた。
  • 2011年以降に引き渡しを受け、ソーラーパネルを設置した一条工務店の住宅はほぼ全てが「鋼板無し型ソーラーパネル」であり、全戸で対応が必要となっている。
  • 消費者庁の要請では「対応の責任は家の持ち主」にあるとされており、メーカーは持ち主に協力する立場となっている。
  • 定期点検を義務づける方向での議論が行われており、住宅の所有者は4年に一度の定期点検を行う必要が発生する。費用負担は原則所有者。

太陽光発電システムの火災事故と一条工務店の関係

太陽光発電システムからの発火・火災事故

消費者庁の報告書によれば、太陽光発電システムは約237万世帯の屋根に設置されているとされており、2008年3月~2017年11月の約10年間に発火等が127件確認され、原因が判明していた72件について詳しい事故調査が実施されました。発火・火災は、72件中、屋根の上に載せた太陽電池モジュールまたはケーブルからの発火が13件、パワーコンディショナーからの発火が59件であったとされています。

太陽光発電システムのうちパワーコンディショナからの発火事例については国内でも知られていましたが、太陽光発電モジュール(ソーラーパネル)からの発火とそれによる火災については研究ベースでは調査されていましたが、広範かつ公式な調査は国内で初めてのものになろうかと思います。

今回特に重要な結論は「全てのソーラーパネルは発火する可能性があること」が指摘されたこと、そして、鋼板無し型ソーラーパネルにおいてのみ発火から屋根の延焼に繋がった事例が確認されたことと思います。

そして、現在ほとんど行われていない定期点検(ガイドラインに従えば4年に一度実施)が要請され、その点検の実施責任は「住宅所有者」にあると結論されたことは極めて重要な結論と思います。

それでは、ソーラーパネルから発火することで火災が発生した場合の事例を見ていきます。

下は報告書に事例として挙がっていた太陽光発電モジュールから発火し、屋根に延焼した事例の写真です。

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上記のようにソーラーパネルから発火し、屋根を延焼させています。これまで確認された火災事例では、屋根のみの延焼に留まっており、全焼や人的な被害は発生されていませんが、上の写真をみれば分かるとおり、これは「運が良かった」としか言えません。

消費者庁より指摘を受けた「鋼板無し型ソーラーパネル」とは?

事故調査委員会の調査の結果、太陽電池モジュールやケーブルから発火し、野地板(屋根下地)に延焼した事例は7件あり、その7件全てが「鋼板等無し型」のソーラーパネルであったことが確認されています。

そのため、消費者庁では「鋼板等無し型」ソーラーパネルでは、他種のソーラーパネルへの変更または、保証期間が過ぎたものについての応急点検を実施するよう、経産大臣に要請をすることとなりました

ここで、「鋼板無し型」と言われてもわかりにくいので、事故調査報告書におけるソーラーパネルの種類を説明しておきます。

報告書ではソーラーパネルをその施工形態で大きく3種類に分類しており、

  1. 屋根置き型/鋼板等敷設型ソーラーパネル
  2. 鋼板等付帯型ソーラーパネル
  3. 鋼板等無し型ソーラーパネル

となっています。

屋根置き型/鋼板等敷設型ソーラーパネルとは

屋根置き型ソーラーパネルとは、瓦やスレートなど屋根材はそのままにして、その上にソーラーパネルを設置するタイプです。

屋根置き型ソーラーパネルを設置した住宅は下の写真もような形となります。

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鋼板敷設型ソーラーパネルというのは、瓦やスレートのような不燃性の屋根材の代わりに鋼板を屋根の上に敷設したソーラーパネルとなっています。屋根置き型と鋼板敷設型は、不燃物が屋根材であるか、それとも鋼板であるかが違うだけなので以降ではひとまとめに屋根置き型ソーラーパルと表現します。

屋根置き型/鋼板等敷設型ソーラーパネルは国内で設置された237万軒のソーラパネルのうち225万棟で採用されている種類となっており、全体の約95%を占めています。国内の大半のソーラーパネルは屋根置き型であると言えます。

屋根置き型のメリットは後付けができることにメリットがあります。火災防止の観点からも瓦やスレートなどの不燃材があるため、ソーラーパネルが発火しても延焼に繋がりにくい設置形態とななります。

また、今回の報告書ではケーブルからの発火も指摘されていますが、ケーブルが発火しても、瓦やスレートなどの不燃材料があるためやはり延焼には繋がりにくいと言えます。

鋼板等付帯型ソーラーパネル

続いて、鋼板等付帯型ソーラーパネルとは、ソーラーパネルの裏面に不燃材として金属板などを貼り付けたタイプのソーラーパネルとなっています。

国内では、237万棟中17700棟が鋼板等付帯型ソーラーパネルとなっており、数としてはそれほど多くはありません。ソーラーパネルの裏面に不燃材(金属板等)が張られているという特徴があります。

外観からは、鋼板等無し型と見分けはつきませんが、万が一ソーラーパネルが発火しても鋼板が不燃材として屋根下地への延焼を防ぐ可能性が指摘されています。ただし、ケーブル自体はソーラーパネルと屋根下地の間に敷設されており、ケーブルから発火した場合の延焼防止性能は1の屋根置き型に比べて低いものとなっています。事実、発火延焼事例のうち1軒ではケーブルから発火し、屋根の延焼に繋がった事例も報告されています。

鋼板等無し型ソーラーパネルとは

最後に今回火災によって屋根材に延焼する可能性があると指摘を受けた「鋼板等無し型ソーラーパネル」ですが、国内では11万軒が鋼板等無し型ソーラーパネルとなっており、シャープや京セラで開発された瓦一体型のソーラーパネルなどがこれに該当します

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そして、一条工務店の家は全てがこの「鋼板等無し型ソーラーパネル」に該当します。

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正しくは2010年以前に建築されたお宅ではホンダソルテック製のソーラーパネルが使われていましたし、また、顧客の要望によって他社製のパネルを設置したケースもあるとは思いますが、数としてはごく少数と思います。

鋼板等無し型は従来禁止されていた施工や不具合等ではありませんでした。メリットとしては屋根付帯型のように屋根材を必要とせず、また、鋼板等を付帯させることもないため、低コストである点に大きなメリットがあります。

一方で、今回の報告書では、ソーラーパネルそのものが発火した場合はその延焼を防ぐための不燃材が途中にないため、発火から延焼に繋がる可能性が高いことが指摘されています。また、ケーブルも屋根材の上に敷設されているため、ケーブルがなんらかの要因で切断された場合なども、屋根への延焼が起こりえると指摘されています。

一条工務店の住宅に設置されたソーラーパネルは全て「鋼板等無し型ソーラーパネル」に該当

一条工務店では、2010年からターンキーシステムによってアルバックの技術提供を受けて、ソーラーパネルを一条工務店のグループ会社であるHRDで生産し、これを日本のグループ会社である日本産業の名義で販売していました。

一条工務店の施工棟数は近年伸びており、概ね年間1万棟程度で推移しています。そのため、製造開始から調査対象期間中に建築された一条工務店の住宅は概ね9万棟販売されていると推定され、そのうち時期によりますが最近でも7割から8割でソーラーパネルが設置されているとされているとのことなので、少なくとも6万棟で一条工務店製のソーラーパネルが設置されていることになります。

よって、今回、消費者庁からソーラーパネルが発火した場合延焼の可能性があるとされた11万軒の鋼板無し型ソーラーパネルのうち、その半数を占める6万軒は一条工務店の家ということになります。

一条工務店のソーラーパネルは本当に「鋼板無し型」ソーラーパネルなのか?

一条工務店が施工した住宅に設置されたソーラーパネルが本当に「鋼板等無し型」ソーラーパネルであるかについては、一条工務店のお客様相談室に問い合わせをした結果、すべて鋼板等無し型であるという回答がありました

また、念のため写真でもソーラーパネルの裏面に鋼板等がないことを確認しておきます。

下の写真は我が家に載せたソーラーパネルを裏側から撮った際の写真ですが、裏側から表側が透けていることがわかります。このことから、ソーラーパネルの裏面に鋼板等不燃材がないことは間違いありません。

製造業者の項目に「HRD Singapore」という記載があることもわかるかと思います。

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上記のソーラーパネルを設置する屋根側を撮ったのが下の写真ですが、黒っぽい下地材がアスファルトルーリングとなっており、その上にケーブルを敷設し、パネルが設置される仕組みとなっていることがわかります。アスファルトルーフィング自体は防水としたものであり不燃材ではないため延焼を否定することはできません。

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これらのことから、一条工務店のソーラーパネルは、鋼板等無し型であることは間違いありません。

一条工務店の住宅では発火・火災発生事例は「いまのところ」なし

一条工務店のプレスリリース

一条工務店では今回の消費者庁の報告書公表を受けてプレスリリースを発表しています。

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プレスリリースでは、一条工務店が施工した住宅で太陽光発電システムを原因とした発火や火災は発生していないとしています。

また、既に社内で火災安全性に関する実験も実施しており技術的には問題がないことが公表されています。

消費者庁からの要請では「保証期間を過ぎた『鋼板無し型ソーラーパネル』について応急点検を実施するよう要請」が行われていますが、先ほども書いた様に一条工務店が自社製パネルでの施工を開始したのは2010年以降で、10年保証となっているため、現時点では全てが保証期間内であり、応急点検の対象は存在しないということも述べられています。

じゃあ何も問題がない、これまで通りで安心だね!

とはならないことが今回の問題の難しいところと思います。一条工務店のプレスリリースからもそのことは伝わってきます。。。というか、一条工務店以外の各社のプレスリーリスからもそれが伝わってくることに問題の深刻さがあるように思います。

全てのソーラーパネルは発火し得る

太陽光発電協会の「(発火はするけど)安心」には疑問?

太陽光発電パネルの開発製造メーカーによって組織されているJEPEA(太陽光発電協会)は今回の報告を受けて、当日のうちに声明を出しています

声明では、「既に設置されている住宅用太陽光発電システムは、下記の通り一部のものであり、それ以外の住宅用太陽光発電システムは安心してご使用頂けます。」としています。

そして、JEPEAの声明では、住宅に設置されている太陽光発電システムのうち、消費者庁が対応を要請した「鋼板等無し型ソーラーパネル」は全体の4.5%と「一部」のものであるため、それ以外は安心して良いと結論しています。

これについてはちょっとずるいな、と思った事からここに書いておきます。まず事実として報告書では火災事故のうち発火があった住宅についての資料が示されています。

そして、発火が確認された住宅には施工不良も含みますが「鋼板等無し型」だけではなく、「屋根置き型」、「鋼板等付帯型」のすべてのタイプで発火があったことが示されています。

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ようするにJEPEAの「安心」とは正しくは「(発火することはあるけれど家に延焼した事例はいまのところ確認されていないから)安心してお使いいただけます」となります。実際に家に住む身からすると発火する時点で十分に不安であって、それを「安心」と表現することはあまりに不誠実です。

鋼板等無し型は、発火から延焼に繋がるリスクが他と比べて高いことは事実ですが、それ以外についても適切なメンテナンス等を促すのが太陽光発電を促進する立場として正しいように思います。

「安心」なパネルも含めて全てのソーラーパネルは発火し得る

消費者庁の事故調査報告書では、太陽光発電モジュール(屋根に置いたソーラーパネル)からの発火プロセスについて検討しており、現状考えられる発火プロセスとしては

  1. 経年劣化による配線接続部分の高抵抗化
  2. バイパス回路の常時通電
  3. バイパス回路の断線
  4. 配線接続部の断線又は異常発熱

という4つのプロセスを経て発火につながる可能性が指摘されています。

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事故調査委員会報告書P40より

これらのプロセスは鋼板の有無、そして屋根置き型等の設置形態によらず、全てのソーラーパネルで発生し得るプロセスとなっています。

また、調査報告書内で記載のある現地調査においても写真を見る限りは屋根置き型タイプのソーラーパネルにおいて異常発熱が認められています。

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こうしたことから、「発火」までの段階は、ソーラーパネルの設置形態に寄らず発生し得ることは明らかです。

実際に日経新聞でも「構造上、全製品に発火の危険性がある」と報道されており、なぜJEPEAが「安心」とまで言い切れるのかに大きな疑問を感じます。穿った見方をすれば、ソーラーパネルの製造を担う企業によって組織されたJEPEAとして「期待する状況」を声明として出しているようにも思えてなりません。

私自身は今回の件を踏まえてもソーラーパネルがもっと普及すべきだと思っているだけに、その普及を促進すべき業界団体が事実から目を背けるような行為にちょっとカチンときた次第です。

なぜソーラーパネルは発火するのか?

経年劣化によるソーラーパネルの発火とその原理(小難しいので読み飛ばして下さい)

太陽光発電システムの発火プロセスには、いくつかのパターンがありますが、施工上の問題に起因したものを除くと、太陽光発電モジュール自体からの発火は経年劣化によるものである可能性が指摘されています。

配線接続部分にあるはんだ等が経年劣化や製造時の不具合によって高抵抗化し、発熱することがあります。太陽光発電システムでは雲の流れや電柱等の影によって、一部のモジュールで発電が行えなくなることが想定された上です設計されています。

バイパス回路の役割と限界

太陽光発電システムは直列回路になっているため、一つのモジュールに影が生じて発電を停止してしまうと、その部分が抵抗となってしまいます。電気が流れ続けると発熱をしてしまうため、一部のモジュールが発電をしなくなった場合はそのモジュールを迂回して発電を継続するための装置として「バイパス回路」というものが設置されています。バイパス回路が存在することで1つのモジュールが発電できない状態となってもそのモジュール(正しくはサブストリング)を迂回して発電が継続できるようになっています。

ソーラーパネルの裏面にはそのバイパス回路が入った端子ボックスが付いています。一条工務店で施工されるパネルでも裏面にバイパス回路が格納された端子ボックスがあることが確認できます。

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このようにバイパス回路(バイパスダイオード)があるため、経年劣化によって1つのモジュールが故障したとしてもバイパス回路を通じて太陽光発電システム全体が停止することはありません。

そして、今回の発火ではこのバイパス回路が重要な役割を果たします。

バイパス回路の本来の目的は「一時的なモジュール単位の発電停止」を回避することを目的としたものとなっています。1つのモジュールに日陰ができただけで太陽光発電システム全体が停止しては困るため、バイパス回路が設置されています。バイパス回路の役割はあくまで一時的な日陰等への対応となっています。

そのため、バイパス回路に長時間電気が流れ続けることは想定されていないのです。

一方で、1つのモジュールが経年劣化によって発電を停止してしまうと、太陽光が射している間は常時バイパス回路に通電している状態となってしまいます。

結果として、バイパス回路の耐久性の限界を超えてしまい、バイパス回路が断線してしまうことがあります。

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バイパス回路の断線そして発熱

バイパス回路が断線すると、バイパス回路で迂回できていた「故障したモジュール(太陽光セル)」に電気が再び流れはじめます。しかしこのモジュールは経年劣化等によって「高抵抗化」しているため、電気を通電すると発熱します。

このような状況になった場合の発熱状況は報告書にも記載されており、下の写真のように故障したモジュールが190.3℃まで上昇したことが確認されています。

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同報告書の実地調査では確認されていませんでしたが、その温度は500℃以上に達することもあるとされています。

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(出典:太陽光発電システムの健全な普及をめざして ~PVRessQ!活動の紹介

発熱から発火、ソーラーパネルは燃えるのか?

ここまでで発熱のメカニズムはわかりました。続いて発火のメカニズムとなります。

発火には、熱と併せて、熱が伝わって燃える「可燃物」が必要となります。一見するとソーラーパネル自体は可燃性には見えませんが、実際にはソーラーパネルが燃えることがあります。

太陽光発電パネルは「EVA(エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂)」という樹脂によって発電モジュールがラミネート加工のようにして挟み込まれており、その上に強化ガラスが張られています。

この樹脂自体は透明度が高く、さらに耐熱性、紫外線を浴び続けるという酷所での耐久性にも優れているという良いことずくめの樹脂なのですが可燃性があります。

このEVAは高温環境にさらされた場合、エチレン分解という現象を引き起こし、その名前にもある「酢酸」を作りだしてしまいます。酢酸というと「お酢」をイメージしますが、酢酸は法的には危険物(引火性)にも指定されており、可燃性があります。

先にも書いた通り、ソーラーパネルは強化ガラスで挟み込まれているため、ソーラーパネルモジュールが高温になると熱分解を起こし、逃げ場のない状況で酢酸ができることが推定されます。

酢酸の自然発火点温度は427℃であることから、発電が活発に行われている状況で先の事例のように500℃を超える温度が続いた場合、自然発火可能な状態になります。

ただし、実際に発火するためには温度と可燃性ガスである酢酸とあわせて「酸素」が必要になります。そのため、この段階でもまだ発火には至りません。

実際に発火するためには、モジュールの裏面にあるバックシートに破れが生じたり、アルミ箔が張られている場合はアルミ箔が溶融したり、さらには高熱によってガラスにヒビが入るなどして、酸素が供給される必要があります。

報告書では、このような条件がそろうことで最終的にソーラーパネル自体が発火すると推定されています。

原理と推定されるプロセスを考えると明らかなように「全てのソーラーパネルは発火する可能性がある」と言えるかと思います。

ただし、その原理とプロセスからは、かなり色々な故障が発生しなければ発火に至ることはなく、発火に至るにはかなりの時間を要するため適切な点検を実施することで発火に至る前に不具合を見つけられる可能性が高いこともわかります。また、本当にこのようなプロセスで発火が起こった結果、延焼に繋がったのかに付いてまでは実験的には証明できなかったことが報告書でも述べられています。

なぜ「鋼板等無し型」のみが火災を引き起こすとされたのか?

上記で発火までのメカニズムは分かりましたが、「全てのソーラーパネルは発火する可能性がある」にもかかわらず、なぜ消費者庁の要請では「鋼板等無し型」のみが危険性が高いと判断されたのでしょうか?

それは単純明快で、「これまでに火災に至ったケースは全てが『鋼板無し型ソーラーパネル』であった」という事実に基づいています。

過去の事例72軒中、ソーラーパネル自体が火元と推定され、延焼に至った事例が7軒あり、その全てが『鋼板無し型ソーラーパネル』でした。

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上記でモジュールとルーフィング(屋根)との距離が最も離れているもので45mmとなっていますので、高さがある程度あっても鋼板等がない場合は延焼に至っていることが分かります。

ちなみに、一条工務店のソーラーパネル設置高さは約40mmであることからこの範囲に入っています。

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そして、報告書にあった実際に火災が発生した住宅の写真が以下です。

 

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写真のように家の屋根が大きく燃えていることがわかります。

発火、延焼プロセス自体は実験的証明には至らなかったものの、屋根に延焼した事例は「鋼板等無し型」のみであったということで、他のソーラーパネル設置方法に比べて延焼の可能性が高いことはほぼ間違い無いと思います。

そのため、今回の消費者庁の要請では「鋼板等無し型」のみが対象になったと思われます。一条工務店で家を建ててソーラパネルを設置した我が家もやっぱり延焼の可能性は残っている状態となります。

報告書内の実験はちょっと無理があるようにも。。。(余談なので読み飛ばして下さい)

報告書では、ソーラーパネルが発火した後、屋根への延焼プロセスを実験的に証明することを試みています。

ただし、この実験はやや誤解を招くもののようにも思えます。

実験方法は、「一般財団法人日本建築総合試験所制定「防耐火性能試験・評価業務方法書」」に従って行われており、下のような装置で試験が行われたと思われます。

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(出典:日本建築総合試験所「屋根飛び火試験」より)

試験体の上に「火だね」を置いて、横から風速3m/sの風をあてたとき、「試験体」がどの程度燃えるかを試験する方法で実験を行っています。おそらく一条工務店が「自社による試験」とプレスリリースしていたのもこの試験と思います。住宅メーカーですから、この試験には慣れていると思うので。。。

火だねとしては、木片火だね小で4cm角の木材に火を付けて「試験体」の上に置く方法となっています。

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問題は「試験体」です。通常、報告書で記載されている異常、ルーフィング屋根の上にソーラーパネルを設置してその上に火種を置いて試験する(試験体はソーラーパネル+屋根下地)というのが順当のように思うのですが、報告書に示されている実験では「アスファルトルーフィングの屋根」自体を試験体として試験をしています。(ソーラーパネル無関係です)

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屋根の上に小さな火だねと大きな火種を置いたら、大きな火種では屋根が燃えたけれど、小さな火種では屋根は燃えなかったという結論になっています。

大きくても小さくても、ソーラーパネルがない状態で試験をしてしまっているため、単に屋根の性能実験になってしまっているという状態です。

この試験はソーラーパネルから屋根下地に延焼することを証明するための実験ではなく、屋根下地が延焼したという事実に基づいて、屋根下地に延焼するにはソーラーパネルがどの程度延焼していたか?といった可能性を検証する実験と言えます。

一部の報道等では、この実験を持ってソーラーパネルから下地への延焼が確認されたかのように報道されていますが、上で述べたとおりソーラーパネルを試験体としていないため、これは誤った理解と思われます。ただし、屋根下地への延焼が発生している以上は上記の程度の大きな発火が起こっていた可能性が高いという事実は重いものと思います。

「鋼板等無し型」以外の太陽光発電システムの安全性とその範囲

今回の消費者庁の報告書では、住宅居住者を消費者と位置づけての報告書となっているため、メガソーラーなどは対象となっていません。

しかし、今回の報告書の結果を踏まえると近年急速に増えた野立てのソーラーパネルにも危険が生じる可能性が示唆されます。

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上の写真のように空き地などに設置されたソーラーパネルを見る機会は多くなったと思います。現在は、草刈りなどの手入れがされていることが多いですが、これらのソーラーパネルが長期的にメンテナンスされなかった場合、発火の危険性はあります。そして、屋根に設置されたソーラーパネルは、良くも悪くも「住民」が近くにいますが、こうした野立てのソーラーパネルは辺鄙なところに設置されているケースも多く、また、火が燃え移りやすい枯れ葉などが堆積しているケースも見られます。

ソーラーパネルが発火した後、枯れ草などに火が燃え移り火災にいたることは十分に考えられるように思います。

同様に屋根置き型においては延焼事例は現時点では報告されていませんが、屋根置き型であっても枯れ葉などが貯まっている状態を放置するなど適切なメンテナンスが行われていなければやはり発火から火災に至る可能性は考えられるように思います。

ちょっと気になる「スズメの巣」

一条工務店の住宅に関して、また、それ以外のソーラーパネルにも言えることですが、スズメの巣も火災を引き起こす要因となり得るように思います。

ソーラーパネルの下はかなりの高温になるため最初聞いたときは本当に?と思ったのですが、スズメ等の鳥類が巣を作ることがあります。実際に一条工務店のソーラーパネルと屋根の隙間にできたスズメの巣の写真が下です。

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(出典:一条工務店ソーラーパネル下のスズメの巣写真、読者の方提供)

ネズミなどとは異なりスズメの巣自体は何かの害を及ぼすものではありません。これまで何度かスズメの巣についてのご相談をいただいてきましたが、それ自体が何かの害悪をもたらすものではないため、あきらめるしかない旨の回答をしてきました。

しかし、今回の報告書、そして保守点検のガイドラインの中にもソーラーパネルの隙間に異物がないことの確認項目が含まれています。

これは万が一のソーラーパネル発熱発火の際に、枯れ葉などの可燃物があることで火災に繋がることが懸念されるためです。

スズメの巣は枯れ草などによってできていることからソーラーパネルが発熱・発火した場合には火災を引き起こす可能性が十分に考えられます。こうした点での点検も必要になってくると思います。

一条工務店の住宅では本当に火災事故は発生しないのか?

一条工務店の家では「まだ」発火や火災はないけど・・・

一条工務店のプレスリリースでは発火や火災の事例はない、ということが報告されていました。これはおそらく真実であろうと思います。

しかし、このプレスリリースの内容を持って「一条工務店の家に設置されたソーラーパネルは安全である」と思うのは誤解です。

プレスリリースの内容に嘘があると言うことでは全く無く、プレスリリースに記載されたことは全て事実であろうと思います。

しかし、これは一見すると明らかに「おかしい」のです。

なぜならば、国内に設置されている鋼板無し型ソーラーパネルが11万軒あって、少なくとも7軒で発火から延焼に至っているのです。そして、11万軒のうち、少なくとも6万軒は一条工務店の家ですから単純計算で言えば、火災が起こった半分が一条工務店であってもおかしくないはずです。火災に至らなかったのは運が良かった可能性もありますが、それでも「発火」までないというのは確率的に明らかに不自然です

なぜ、11万軒の半分を占める一条工務店の家では発火も火災も発生していないのでしょうか?一条工務店のソーラーパネルは品質が良くて発火も延焼もしていないのでしょうか?

恐らく違います。

これには、カラクリがあります。

先ほど示した通り、ソーラーパネルが発火するためには「経年劣化」が最初に起こることが必要となります

経年劣化をするためには、長期間の使用が不可欠です。

事実、報告書に記載されている発火事例のうち、施工不良とケーブルからの発火を除くと、発火から火災に至った住宅5軒は、1軒が7.5年ですが、残りの3軒は、設置後10年、11年、14年と相当の時間がたっていることが分かります。

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一条工務店が自社生産のソーラーパネルの本格的な販売を開始したのは2011年になってからです。そのため、現時点では最も古いものでも設置後8年が最大となっています。

一条工務店のプレスリリースにもあったように消費者庁が要請した「応急点検」も「保証期間が過ぎた『鋼板無し型ソーラーパネル』」のみを対象としていることからも、時間経過と発火には一定の関係が示唆されていることが推察されます。

そう考えたとき、一条工務店の住宅に設置されたソーラーパネルはまだ比較的新しいため経年劣化による不良が顕在化していないために、結果的に現時点では発火や火災が発生していない、と見るのが正しい見方のように思います。

現時点で安全だから、将来も安全なわけでは全くなく、このまま何も対応をしなければ今後は太陽光発電システムに起因する火災の多くが一条工務店の家で起こってしまう、と言う可能性は十分にあり得ると思います。

「経年劣化」から見えるもっと恐ろしい将来

今回の報告書の内容、そして、発火プロセスにおける経年劣化が果たす役割、さらに11万軒の半数を占める一条工務店の家で発火や火災が発生していないという事実からは、ソーラーパネルを設置する全ての人たちに怖い将来が示唆されます。

太陽光発電システムからの発火、火災が237万軒のうち、127軒で確認されたということは単純に考えると0.005%で発生したと言えます。また、発火から延焼する事象は鋼板無し型のみで起こると仮定しても、11万軒中4軒でおおよそ0.004%の住宅で発生していたことになります。調査期間は約10年ですので、1年あたりの発火・火災発生確率は0.0005%と考えられます。100万軒あったら1年間に5軒の住宅で発火・火災が発生するという計算になります。

一方で、通常の住宅火災の発生件数は年間約1万戸となっています。国内の住宅数は約5000万戸程度ですので、年間の火災発生確率は5000分の1、すなわち0.02%となり、ソーラーパネルによる火災発生確率よりも約40倍高い確率となっています。太陽光発電パネルを設置したことによって火災が発生する確率はごく僅かに上昇するにすぎず、それ以外の火災に対する安全対策を心がける方が効率的と言えます。

しかし、上記の計算は「全ての住宅」を母数とした確率の計算となっている点に注意が必要です。

先ほども書いた様に、太陽光発電パネルからの出火が経年劣化に起因するとして、設置から10年以上経過してはじめて発火に繋がるとなると母数の取り方が大きく異なってきます。母数には現時点の設置戸数である237万軒、11万軒ではなく、設置から10年以上が経過した住宅のみをとらなければなりません。

現在の237万軒、11万軒はその多くが2009年の固定価格買取制度開始以降、特に2012年の全量買取開始以降にソーラーパネルを設置した住宅が大半を占めているはずです。報告書調査時点で設置から10年を経過している住宅というのは2008年よりも前にソーラーパネルを設置していた住宅となります。すなわち、固定価格買取制度が開始する以前にソーラーパネルを設置していたかなり先進的な住宅となるのです

2008年時点の太陽光発電パネル設置世帯数は50万軒とされています。このうち約2割は非住宅用と思われるため、住宅用ソーラーパネルは40万軒程度であったと推定されます。鋼板の有無等はわかりませんが、設置後10年以上経過したソーラーパネルの数を40万軒とすると、発火・火災発生確率は先の計算よりも約6倍高く計算する必要があります。すなわち、127軒÷40万軒÷10年=0.003%と計算されます。

一般的な火災発生確率が0.02%であることを考えると、一般の火災発生確率を10%以上上昇させることとなります。

このあたりはばらつきがありますが、11万軒の鋼板無し型で推定をしてみると、一条工務店の住宅を6万軒としてこれを除外して5万軒がそれ以外の住宅とします。5万軒のうち、2008年以前に建築されていた鋼板無し型ソーラーパネル設置世帯数を同程度の比率で計算すると1万軒が対象となります。よって、4軒÷1万軒÷10年=0.004%の確率となり、やはり火災発生確率を10%~20%押し上げる効果となります。

ソーラーパネルを設置することで火災発生確率が1割から2割上昇するとしたら、ソーラーパネルを設置する家はこれまで以上に増えるでしょうか??

これはやはり無視することができない確率と思います。

このようなことにならないためにはしっかりとした対応が必要であることは明らかです。

火災発生を防ぐ責任は住宅所有者にある!?

責任は「住宅所有者」が負うもの

どのような対策をすべきか、を書く前に、これから書く対策を「誰の責任で行うべきであるか」について書かせていただきます。

対策にはお金のかかるものも多く含まれています。場合によっては足場を組む必要があるケースも想定し得るものとなっています。

これらのお金は誰が負担すべきものでしょうか?

すぐに思いつくのは、発火の危険性があるようなソーラーパネルを設置したソーラーパネルの製造業者と考えられる方もいらっしゃるかと思います。また、そのような危険のあるソーラーパネルの設置を勧めたハウスメーカーにあると考える方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、残念ながら違います。

消費者庁の報告書ではこの点を明確にしています。

現行の法制度上、住宅用太陽光発電システムの保守点検については、所有者が事業者としての立場で一義的に責任を持つことを所有者自身が適切に認識するように、必要な措置を実施すべきである。(報告書P2)

と書かれています。「一義的に」という言葉は分かりにくいですが、一言で言えば「全ての責任は所有者自身にある」ということを示しています。そして、ソーラーパネルのメーカーに対して「所有者が自分たちの責任で保守・点検を行うのが当然のことであることを『認識させる』よう務めなさい」と書いてあるのです。

色々と思うところがある方がいらっしゃることは認識し、また、私自身も思うところがないわけではありませんが、それでも報告書にあるように「現行法制度」においては、どのように逆立ちして読んでも責任は私たちソーラーパネルの所有者にあるとしか読みようがありません。。。

当然、ソーラーパネルの保証期間内に生じた不具合はパネル製造メーカーやハウスメーカーなど保証規定に従った責任を負うことが必要ですが、今回の消費者庁の要請はそのような区切りはありません。むしろ、一条工務店のプレスリリースにもあったように「保証期間経過後のパネル」がターゲットとなっていますから、自己負担が原則となります。

そしてお金がかかるからと言って、保守点検を行わずに火災が発生した場合は、その責任は私たち所有者にあるのです。

ではその保守点検をいつまでしなければいけないかというと、「ソーラーパネルがある限りずっと」となります。

固定価格買取制度の固定期間は、10kW未満で10年、10kW以上で20年ですが、10年後も、20年後も、そしてソーラーパネルを設置し続けている限り30年後も、40年後も保守点検が必要となります。

売電をしていようと、していまいと関係ありません。

太陽光発電パネルはその原理上、仮に線を切ってしまっても発電をしてしまいます。もちろん、配線を切ってしまえば発電はしませんが、高い電圧のエネルギーを屋根の上で生じ続けることになります。配線を切断してもなんらかの劣化によってショートしてしまうようなことがあれば一気に火災に繋がることもありますし、感電のリスクも生じます。そのため、パネルを取り除かない限りはメンテナンスをし続けなければならないのです。

既に設置されたパネルを除去するためには、足場を組んで撤去が必要になるため、100万円から200万円程度がかかる可能性がありますし、一条工務店のソーラーパネルのように屋根一体型がであれば撤去後はスレート屋根を付けなければならないので、300万円~400万円は必要になるでしょう。。。残念ながら、このような対応は全て自己負担となります。

お金の問題は置いておくとしても、安全上の観点からも適切な保守点検は不可欠と言えます。

安全にソーラーパネルを運用するためには私たちは何をしなければならないのか?

4年に一度の定期点検(義務化に近い形になりそう?)

報告書では現在住宅屋根に設置された太陽光発電システムにおいて、定期点検が行われている住宅は3割程度に留まり7割の住宅では行われていないことが指摘されています。

今回の発火プロセスからも発火までには経年劣化による不具合発生から発火に至るまでには相当程度の時間をようすることから、定期点検等を適切に行って、早期に問題を発見、補修すれば発火を防ぐことができる可能性が高いです。

これを受けて、報告書では経産大臣に対して「保守点検の確実な実施を担保する仕組みの構築を検討」を促しています。

また、消費者庁長官に対しても「消費者が住宅用太陽光発電システムを購入し使用する際に、同システムを用いて売電を行う場合には、事業者としての点検等の義務も併せて負うこととなること。」をわかりやすく周知することを求めています。

現時点では定期保守点検は義務とはなっていませんが、これらのことから、今後は定期保守点検が義務化される可能性も十分にあり得ます。

売電を行わない場合は義務は生じない可能性がありますが、ただ安全性上はやはり保守点検をすべきです。

では、保守点検とはどの程度の頻度でおこなわなければならないのでしょうか?これについては要請には詳しい記載はありません。

報告書には直接の記載がないため、場合によっては異なった結論が導かれる可能性もありますが、報告書や要請では「ガイドラインに従った保守点検」と記載されており、このガイドラインとは先ほどちょっと嫌みを書いたJEPEAが発行している「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」を指しています。

そして、この保守点検ガイドラインには設置から1年目以降、4年ごとに定期点検を行うことを求めています。

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設置、1年目、5年目、9年目の点検は多くのソーラーパネルが保証範囲内になるため、その保守点検は設置業者等の企業の負担で行われることになります。しかし、保証期間を過ぎたソーラーパネルの定期点検は13年目、17年目、そして21年目とずっと4年ごとに実施する必要があります。10年目以降、保証期間経過後の保守点検費用は個人が負担しなければならず、また、義務的に行わなければならないものとなります

保守点検をガイドラインにしたがって行うためには、目視によるチェックも必要になるため、ドローンや特殊なカメラを使わないならば、足場を組んでの点検が必要になることもあり得ます。その場合は保守点検のたびに数十万円程度の費用がかかることもあり得ます。

ちなみにこの定期保守点検は「全てのソーラーパネル設置者」に求められているものですので、鋼板の有無等には関係ありません。

鋼板等無し型ソーラーパネルは他のパネルに(無理なら応急点検)

ここからは全員ではなく、一条工務店をはじめとした鋼板等無し型ソーラーパネル設置者のみに求められていることですが、

製造業者において、鋼板等なし型について、経年劣化によるモジュールの発火が野地板への延焼へとつながるリスクを十分に低減するため、他のモジュールの設置形態へ変更するよう所有者に促すこと。

という要請が行われています。すなわち、一条工務店で家を建てた方であれば、一条工務店は私たち顧客に「鋼板敷設型に変更しませんか?」と促すことが求められています。。。ですので、万が一、一条工務店から「火災の発生が指摘されたので別のタイプのパネルに変更しませんか?もちろんあなたの自己負担で。今ならなんと150万円!」という郵便物が来ても、一条工務店が私たち顧客に喧嘩を売っているわけではなくて、消費者庁や経産大臣の求めによるものですので理解してあげる必要があるかも知れません^^;

ただ、いくら経産省からの要請とは言え、明らかに顧客に喧嘩を売るような郵便を送ることができるかというと、一条工務店はもちろんそれ以外のメーカーもまずできないように思います。

そして、消費者庁の報告書も「困難な場合」の代案が示されており、「ただし、変更が困難なことも想定されることから、その場合は、以下の応急点検等を代替案として実施すること。」とあり、応急点検を行えば所有者に変更を促さなくても良いこととなっています

一条工務店のプレスリリースにも書いてあった「現時点では全て保証期間内のため応急点検の対象はない」というのは、このことを示しています。

鋼板無し型のシャープ製パネルを施工しており、既に保証期間が切れた住宅のある積水ハウスのプレスリリースにおいては「経年劣化等により不具合が発生していないことを確認する応急点検の実施を、太陽電池モジュールメーカーがお客様に促すことが求められております。」というように、他の形態への変更には一切触れずに、応急点検のみが求められているというようなプレスリリースを公表しています。

現実的には、保証期間を経過した時点で点検のお知らせが来る方向で落ち着くように思います。

私たちにできることは現実的には「定期点検の実施」の1点のみとなります。すなわち「きちんと点検しましょうね。もし点検をしないで何かあったらあんたの責任ね。」ということだけとなります。お金は自己負担で、ですが。。。。

パネルメーカーそして一条工務店がしなければならないこと

パワーコンディショナ又は接続箱から発生した火災事故等の再発防止策他(全員)

報告書では、所有者に責任がある点を明確にしつつ、実際には所有者である一般消費者自身が行うことは限られていることから、パネル製造メーカーに対しても要請が行われています。

1つは、屋根への設置形態によらず237万世帯全てが対象となる項目ですが、パワーコンディショナの火災防止対策として、コンデンサへの対策防水対策を行うことを求めています。

この他にも、地絡発生時の処置やバイパス回路の設計見直しなど複数の事項への対応を製造業者に求めています。

保守点検の実施(全員)

これも237万世帯全てを対象とした要請ですが、消費者庁の報告書では、顧客が自ら点検することができないことはわかっているので、実質的に保守点検を実施するのは製造業者に行うよう促しています。そのため、必要なタイミングで保守点検を希望して断られるということはありません。

従来ですと、点検をお願いしても「やってません」と言われることもあったかと思いますが、今後はそのようなことはなくなるはずです。

保守点検は保証期間内は無償、保証期間経過後は有償となるだろうと思います。

今後設置するパネルの鋼板敷設型への移行(鋼板無し型のみ)

今回の報告書では鋼板無し型ソーラーパネルは火災発生の可能性があるとして、「新たに設置される住宅用太陽光発電システム 」については鋼板無し型の安全が確認されるまでは屋根への延焼リスクが低い他の設置形態に変更することを求めています

一条工務店は現在製造しているタイプのソーラーパネルについては、今後安全性が確認されるまで設置することができなくなり、鋼板を敷いた上にソーラーパネルを設置することが求められることになります。

今まさに家を建てている方、そして既に着手承諾をされた方、は消費者庁の要請の対象とはならない可能性が高く、残念ながら「鋼板無し型」で施工されることになろうかと思います。

この点はなんで!!と思われる方もいらっしゃるとかと思いますが、ルール上、仕方のないこととあきらめるしかないものとなります。この理由については後ほど書かせていただきます。

リスクアセスメントの実施と公表(鋼板無し型のみ)

個人的にはこれは気になる点ですが、先ほどかなりざっくりとした発生確率の計算をしましたが、重要なのは鋼板無し型ソーラーパネルにおいてどの程度の頻度で発火が発生し、また、火災に繋がる可能性があるのか?という点が重要と思っています。その頻度が極めて低いならば、あまり多額の費用を掛けてまで対策をする必然性はない可能性もあります。

一方で、その確率が一般的に発生する火災と比較して一定水準以上に高いものであれば、やはり火災への対策として費用をかけてでも適切な対策をすることが望ましいという結果となります。

今回の経産大臣への要請では「住宅火災に係るリスクアセスメントを実施し、結果を公表すること」を求めています。

よって、近い将来、鋼板無し型のソーラーパネルを施工した事業者は、火災発生の可能性についてリスクアセスメントの実施結果が公表されることになります。

個人的には、具体的な対策はこのリスクアセスメントの結果次第かな?と思っています。

低コスト化のための遠隔監視システムの開発

おそらく顧客視点に立ったとき最重要となる要請が「遠隔監視システムの開発をせよ」という要請になるかと思います

現状の要請に従って保守点検を行った場合、その費用はかなりの金額になることは間違いありません。何度も書いているようにその保守点検費用の負担は、所有者である私たちです。

また、先ほどから書かせていただいていたパネル自体からの発火以外にも地絡による火災などは不具合発生から発火までが短時間に進行する可能性が懸念されることから4年に一度の定期点検では火災を防止することができません。

そのため、遠隔監視による常時監視が不可欠となります。

このようなことが将来問題になることは明らかであることから、調査委員会の要請では「安全性の向上及び点検コストの低減に資するような遠隔監視システムの開発を行うこと。」として、遠隔監視システムの開発をパネル製造事業者に要請する内容となっています。

早期に遠隔監視等のシステムを開発して、高コストな点検をすることなく不具合の有無を検知することが可能なシステムの開発をして欲しいと思っています。

いつからルールが変わるのか?

現状は事故調査委員会から消費者庁と経済産業省への要請段階

ここで気になるのは、保守点検はいつから義務に近い形になるのか?そして、今まさに家を建てている方は自分の家は鋼板無し型ではないソーラーパネルになるのか?という点と思います。

この点については、現状を正しく理解する必要があります。

現時点では、消費者庁が設置した第三者委員会である事故調査委員会が事故調査報告書を公表し、消費者庁長官と経済産業大臣に対して、調査結果を踏まえた対策について要請を行った段階となっています。

現段階では、法律どころか業界のガイドラインも何も変わっていないため、すぐに何かをしなければならない状態にはありません。

このあと、調査委員会の要請を受けて各大臣が省庁の関連各課に対して内容の検討を指示し、省庁の課から通達などの形で、太陽光発電協会(JEPEA)などにガイドラインの改定を含めた検討を要請、その後、要請を受けたJEPEA等で第三者委員会を組織して、要請に従ったガイドライン改定を審議、そしてガイドラインの実施を裏付ける経産省の指導を受けて初めて、製造業者が対応をするということになります。

これに要する期間は、短く見積もっても1年、数年かかかることもざらであることから、実際に運用が開始されるのは数年先となる可能性が高いように思います。

経産省等の課長通達であれば比較的短期間で出ることもありますが、法改正まで必要となった場合には長い時間が必要になります。一般に法改正までは必要ないものと思いますが。。。

じゃあ、リスクのある状態で放置しなければならないの?

そのような気長な話をしていて、数年たって火災が発生してくれたらどうしてくれるんだ!と思われるのは当然と思います。

消費者庁や省庁がこのような報告書をあえて公開することの意味はここにあります。

すなわち、今回報告書が公表されたことで、国の指針として「保守点検義務化」の方向性は示され、また、「鋼板無し型」の施工は安全性が担保されるまでは原則認められない方向性が示されたことになります。

当然、これは消費者にも周知された状態ですから、法律が改正されまでは何も対応をしません、と言っていたのでは顧客はその企業を選択しなくなってしまいます。そのため、ソーラーパネルの製造メーカーは報告書が公表された時点ですぐさま対応をしなければならない状態となっています。

もちろん、発表から数日・数ヶ月で対応をできることは限界があります。一条工務店の場合では「自社による火災安全性の実験で火災安全性を確認した」というのも、この要請を受けての迅速な対応の一つと思います。

また、積水ハウスやセキスイハイム、ミサワホームなど多くのハウスメーカーがすぐさま対応策を示した点からも、法律云々の話は一旦脇に置いて、すぐにできることからどんどんとやっていこうという動きになろうかと思います。

このあたりは国の「指導」の強力さが伺えます。今回報告書では企業名などは全て伏せられた形ではありましたが、シャープ製のソーラーパネルでの発火、火災事故が発生していることは昨年9月の時点で東洋経済などで報じられていましたが、シャープ製のパネルのみの問題として、他の製造業者等では対応がプレスリリースされることはありませんでした。

しかし、消費者庁の事故調査委員会の報告書が公表されたならば、早いハウスメーカーでは当日、いつも遅い?一条工務店でさえ報告書公表からわずか2日でプレスリリースを公表しています。

いずれにしても、今回の報告書を受けて国の義務化の動きと同時並行して対応が進んでいくものと思います。

一条工務店はいつから鋼板等敷設型に変更するの?

一条工務店も今回の報告書の公表に伴い、鋼板無し型での施工は早晩収束させ、鋼板等敷設型ソーラーパネルに変更することを余儀なくされるかと思います。

ではそれがいつの時点になるか?と言われるとわかりません。ただ、既に現在工事が進んでいるお宅の工事をストップしてまで仕様を変更することは難しいと想定されるため、おそらくはこれから着手承諾を迎える方あたりから順次変更していき、これから契約をされる方についてはほぼ間違い無く対応済みのソーラーパネルを使用するという形になるかと思います。

もしも、これから契約をされる方であれば、「鋼板無し型であればソーラーパネルを選択しない」または、そもそも安全性に懸念が出ているパネル以外を選択できないようなハウスメーカーを選択しない、という行動が懸念されることから、契約前のお宅についてはまず間違い無くなんらかの対応をしてくるだろうと思います。

また、契約後でかつ着手承諾前のお宅についても、「安全性が懸念されるソーラーパネルならばいらない」という選択は可能で有り、このような選択をされた場合、一条工務店は全体としての売上減少に繋がるため、対応をしてくる可能性はあるように思います。

しかし、着手承諾後の方については、既に着手承諾をしているため、契約解除も仕様変更も費用が発生するためそのままのパネルになるかと思います。。。世知辛いですが。。。

一条工務店にお願い!

これから施工する住宅では、できる限り他種のパネルへの変更を

現時点では、すぐさま火災発生リスクが高まると言い切れるものではありませんが、消費者庁の報告書において事実として一条工務店が標準とする鋼板等無し型のソーラーパネルのみで発火から延焼への事象が見られると言うこと自体は重く受けとめてもらい、きちんと安全が確認されるまでの間は、鋼板等敷設型等、現時点では安全であるとされる施工への変更をして欲しいと思っています。

リスクアセスメントの実施

今回、そもそも鋼板の有無によって火災延焼のリスクがどの程度高まるのか、また、そもそも発火プロセスも明らかではなく、発火の可能性があるのかどうかについて適切なリスクアセスメントを実施して欲しいと思っています。リスクアセスメントの結果、相応のリスクがあるのであればそれ以降の適切な対応が必要と思います。

定期保守点検の実施

一条工務店では住宅引き渡し後の点検は行われていますが、太陽光発電システムの定期点検は実施していないかと思います。我が家であれば、1年目、5年目の点検が求められる定期点検でしたが、これは行われないまま現在に至っています。次にあるのは9年目の点検かと思いますが、この点検を是非お願いします!

遠隔監視による点検システムの構築

このまま、数年して太陽光発電システムの定期点検が義務化された場合、9年目点検時に応急点検を兼ねて実施することになるかと思います。

ここまでは保証期間内であるため、一条工務店の無償点検の範疇になろうかと思いますが、13年目の点検は保証期間後の点検になるため有償点検となります。この段階で高額の点検費用負担はかなりキツイので、是非とも遠隔監視等を早期に実現して、低コストで、もっと言えば人が来なくても点検できるようなシステムを構築して欲しいと思っています。

例えばですが、10年目以降は月額1000円で遠隔監視を可能として、そこに4年に一度必要となる目視点検を込みにするというようなシステムができたらすごく嬉しいです!

月額2000円未満でソーラーパネルの遠隔監視と定期点検がパックになったようなセットを販売してもらえれば、我が家を例にすると約10kWのソーラーパネルが設置されていて、固定価格期間終了後の売電額が、仮に5円/kwhという低額になったとしても、最低でも4万円の収入は見込め、自家消費を考慮に入れればおおよそ10万円程度は収益が見込ます。これらのことを考えると、年額2万円程度であれば、十分にペイでき、さらに安心も手に入るならば十分に導入の余地はあるように思います。

パワコンの地絡検知導入を!

モジュールからの発火可能性については、仮に発生するとしても一定程度の時間的猶予はあると考えています。しかし、今回報告書で指摘されている地絡による発火は、それが発生したならば直ちに発火の危険が生じます。現状の田淵電機製のパワコンには地絡検知機能がないと理解しています。これは極めて危険な状態にあります。ですから、できる限り早期にパワコンに地絡検知機能の導入をお願いします。遅くとも、10年程度で交換や点検が必要となるタイミングでは地絡検知機能を追加してもらいたいです。

保険会社との協力を!

これは消費者庁の要請にはない事項ですが、是非保険会社と組んで対応をして欲しいと思っています。

太陽光発電システムは長期メンテナンスが必要な装置であることが明らかとなりました。そして、長期運用をしていけば一定の確率で「ソーラーパネルの交換」が必要になる事態は十分に考えられます

従来は、故障したらそのまま屋根として放置という考えもあり得ましたが、今回の報告書の内容を見る限りではそれは誤った認識であったことがわかりました。

ソーラーパネルを交換するためには足場を組んで、パネルを交換する必要があるため、少なく見積もっても数十万円程度の費用負担が必要となるかと思います。

しかし、パネル交換は全住宅で必要なものではなく、低頻度で発生する経年劣化への対応となるため、顧客にとってみればある種のギャンブルになってしまいます。何もなければ負担はゼロ、しかし、不具合が出たら50万円というのは一般には大きなリスクです。

そこで、保険会社等と組んで、例えば月額料金を遠隔監視料1500円、万が一交換となった場合の保険費用500円というような仕組みを作って欲しいです。

1年にソーラーパネルの交換が必要となる確率が仮に1%とした場合、100軒に1軒は50万円がかかり、残りの99軒は負担ゼロとなりますが、月額500円でそのような事態が生じても保険でカバーできれば、保険料収入は500円×12ヶ月×100軒=60万円、1軒の対応に50万円を要しても、10万円が保険会社の取り分という仕組みはできるかと思います。

太陽光発電システムは工業製品であることから不具合の発生頻度は経年とともに上昇していくことから、設置からの年数で段階的な保険費用でも良い様に思います。しかし、僅かな額で大きな出費をカバーできる仕組みがあれば安心してソーラーパネルを設置できるように思います。

遠隔監視による安全性の担保、月額制からの定期点検費用の捻出、そして、保険による万が一のパネル交換に対応できたら、ソーラーパネルを設置する人は増える気がします^^

また、一条工務店やその他のハウスメーカーにとってはこのような取り組みは従来の住宅売り切り型のビジネスモデルから、サブスクリプションモデルへの移行の第一歩ともなり得るものと思います。 

おわりに

今後は屋根貸しが主流になるのかな?

今回の消費者庁からの要請は極めて重要なもので、ソーラーパネルから利益を得ている所有者を消費者である都同時に発電事業者と見て、定期点検等の義務を果たすよう求めています。

また、そのような義務の有無にかかわらず安全性を確保するためには定期点検が必要なことを示したという意味で重要な報告書と思っています。

そのようなリスクのある太陽光発電システムを販売した製造業者に批判的な気持ちを持つ方がいることは理解した上で、しかし、今後の情勢を考えると再生可能エネルギーの一つとして太陽光発電のさらなる導入は不可欠なことと思います。

さらなる技術開発、遠隔監視等によって安全性が担保されたとしても、将来ずっと続く保守点検の義務を家を建築する段階で20年後、30年後も費用負担が続くということを多くの人が受け入れてくれるのか?という点には疑問が残ります。

今回、私たち消費者が発電事業者でもあることからこのような義務が課されることになったわけで、これは事業者という立場としてみれば不足の事態という想定の範囲内のことと思わなければならないのだろうと思います。しかし、今後、そのようなリスクが周知された中でソーラーパネルの設置を勧めることはやはり難しいように思います。

そう考えたとき、私たち消費者はあくまで消費者という立場を貫ける仕組みというのも必要なように思います。具体的には「屋根貸しシステム(または運用委託)」がそれに相当します。

屋根貸しであれば、発電事業者としてのリスクは屋根を運用する事業者が負うことになり、そこに住む人は屋根を貸しているだけで事業者としての責任は負わないという形が望ましい形のように思います。

これだけですと、屋根貸しを行う事業者はリスクを追わされるだけに見えてしまいますが、屋根貸し事業者は多数の住宅を一元的に管理することでリスクを分散させ、全体としては十分な収益を得られる構造はまだまだ可能と思います。

屋根貸し事業とはやや違いますが、積水ハウスでは自社顧客で固定価格買取期間終了後の住宅から11円/kWhという高値での買電を行うことを発表しました。これは積水ハウス自身が国際的なイニシアティブであるRE100に加盟し、自社が使用するエネルギーを100%再生可能エネルギーだけで賄うことを実現しつつ、そのエネルギーを顧客の住宅で発電された電力で賄うという新しい仕組みです。

一条工務店の場合、工場がフィリピンにあることからこのスキームを使うことはできませんが、今後年間1万棟以上の住宅着工を維持し続ければ早晩10万棟、20万棟といった住宅の屋根にソーラーパネルを設置することになり、そして固定価格買取期間を終了した住宅を多く生み出すことになります。こうした顧客が生み出す電力を安値で他の電力会社に売らせるのではなく、一条工務店が集約して顧客との接点になるような仕組みができたら、全員にとってメリットがあるのではないかと思います。

これは別に褒め殺しにすることではありませんが、一条工務店の家に住むとその暖かさはくせになるというか、他の家を選択できないという方は多くいらっしゃるように思います。そして、現時点では一条工務店はリフォームなどに力を入れていませんが、20年、30年という時間は世代交代には十分な時間で、その間に家族数の変化などによってリフォームなどのニーズは必ず生まれるように思います。一方で、将来の国内住宅着工件数は減少していくことは確実ですからリフォームなどの収益源確保も必要なように思います。そのためには、現在一条工務店に住んでいる顧客を囲い込んでおく仕組みは必要不可欠なように思います^^

とりあえず我が家の定期点検をお願いしますね\(^o^)/