こんばんは。さすけです。
ここまで2回にわたって書かせていただいてきた、一条工務店の太陽光発電システムにおける火災発生リスクに関して大きな動きがありましたので、まとめさせていただきます。
ここまでの流れは下記の通りです。
一言で言えば、消費者庁から太陽光発電システムが将来発火した場合、延焼に繋がる可能性が高いと指摘をされた国内11万軒の住宅のうち、6万軒以上が一条工務店の家だったという指摘になります。
直近では、消費者庁の指摘に対応する形の施工を、オプションではありますが、行うようになっていましたが、2019年5月20日(もしかすると21日かも?)以降に着手をされ太陽光発電システムを設置した全てのお宅で「標準」として消費者庁の指摘に対応をした不燃材施工を行うことが発表(実際は社内で情報が周知されただけですが)されました。
一条工務店の対応によって、これから家を建てる方については問題は解決に至ったと考えて良いかと思います\(^o^)/
今回は、具体的にどのような施工が行われるのかについて推察を交えて書かせていただきます。また、併せて「太陽光発電システムの30年保証」という話が聞こえていますが、別にあって困るものではありませんが、「意気込み」の一種で実益はないと認識しています。
Q:一条工務店の対応はどのようなもの?
A1:太陽光発電システムを採用した全世帯を対象に「標準(無償)」で消費者庁の要請に対応した施工に切り替え
太陽光発電システムを設置されており、2019年5月20日以降着手承諾をされるお宅については、消費者庁の要請に従った「鋼板等敷設型」での施工に切り替えることが発表されました\(^o^)/
残念ながら、それ以前に着手承諾をされたお宅については、原則従来通り消費者庁から火災による延焼リスクが高いと指摘をされた形での施工になります。
ただし、前回ブログで紹介をさせていただいた鋼板敷設オプションを採用している場合はお金がかかってしまう点に納得がいかない部分もあろうかと思いますが、鋼板敷設は可能でしたので、お金がかかるかからないという以外は大きな違いはありません^^(後で書きますが、鋼板敷設の方が安心度は高いので個人的には、鋼板の方が良いと思っています)。
A2:全世帯でソーラーパネルの「30年保証(発火に関する部分のみ)」を実施
2019年5月20日(または21日)着手以降に着手し、太陽光発電システムを採用したお宅ではソーラーパネルの保証期間が従来の10年から、30年に大きく延長されました。
一見すると、安心感がグンと上がったように思えますが、これは単なる見せかけの保証延長で、現在把握している情報の範囲ではほぼ無意味です。別にあっても困るわけではないので、断る必要はありませんが、30年保証が付いても通常は顧客に恩恵があることはありません。
これは、過去に一条工務店が樹脂サッシの30年保証をしていたのと同じで、一条工務店としての意気込みを見せているだけのものです。
なぜ意味が無いかは後で示します。
Q:今後の一条工務店の住宅ではどのように太陽光設置の施工方法が変わるの?
A:ソーラーパネルと屋根下地の間に不燃材(ケイカル板)が施工される
ここは、現時点では詳細な情報を把握できていませんが、一条工務店では鋼板ではなく、珪酸カルシウム板(ケイカル板)を屋根下地とソーラーパネルの間に挟み込む施工を行うと説明しているようです。
ケイカル板というのは「石膏ボード」の仲間と思うとわかりやすいかと思います(←もの凄い雑な理解ですが^^;)
石膏ボードは住宅内部の防火・防炎対策の意味も込めて壁下地として広く使用されています。
上の写真は我が家の施工中の写真ですが、床以外は全て下地に石膏ボードが張られています。
この石膏ボードは不燃(または準不燃)であるため、火を近づけてもそれ自体が燃えることがありません。
鉄板も同様に火を近づけてもそれ自体が燃えることがないので不燃です。
そのため、壁紙の下地になるだけではなく、万が一室内で火災が発生しても、家の構造材との間に石膏ボードがあることで住宅そのものが燃えてしまうのを防ぐ効果があります。逆に外からの火炎に対しては室内を守る効果が期待できます。
石膏ボードは室内にしか使えませんが、もう少し条件の厳しい室外側で直接水に濡れることはないけれど、外気には接するような条件で使われるのがケイカル板になります。キッチン周りやトイレ、洗面所と言った水回りの下地材で使用されることも多い材料です。
今回、一条工務店では不燃材の施工を標準化するにあたって、これまで使用していた鋼板からケイカル板に不燃材の種類を変更しました。
そして、従来一条工務店ではソーラーパネルを屋根下地の上に、直接(防水のためのアスファルトルーフィングを挟んで)設置していました。そのため、ソーラーパネルが発火した場合、野地板に延焼をしてしまう可能性が指摘されていました。
これに対して、今後着手される方のお宅では、下の図のうようにソーラーパネルと可燃性の木材である野地板の間に不燃材であるケイカル板が施工されるようになります。
ケイカル板があることで、万が一ソーラーパネルが発火したとしても、その火炎が屋根下地に延焼してしまうことを防止でき、住宅そのものの延焼を防いでくれるのです。
ひっそりと住宅性能もアップ
今回、不燃材施工が標準施工となったわけですが、これによって住宅の防火性能も少しだけアップします^^
一条工務店は今回の太陽光発電システムの発火延焼問題が出る以前から、一部の住宅では鋼板施工をしていた事例があります。火災に対して厳しい条件が求められる「準防火地域」等では、屋根下地の上に屋根瓦の代わりに鋼板を施工し、その上にソーラーパネルを設置していた事例があります。
そのため、今回の一条工務店の太陽光発電システム採用住宅で不燃材を標準化したことで、防火性能という観点では屋根材だけではありますが準防火地域と同等に近い仕様にアップされたことになります^^
Q:ケイカル板ってなに?本当に鋼板の代わりになるの?
一条工務店では消費者庁の指摘に対する対応として、 鋼板施工をオプション提供していました。それが、標準になると同時に不燃材を鋼板から「ケイカル板」に切り替えてきました。
そこで、気になるのがケイカル板で大丈夫なのか?という点と思います。
これについては、多分問題ないんじゃないかな?と思います。少なくとも今回の太陽光発電システムの万が一の発火とそれによる延焼防止という観点では十分な措置と思います。
そもそもケイカル板ってなに?ということですが、ケイカル板は正しくは珪酸カルシウム板という名称で、耐火性が高く、石膏ボードなどに比べると耐水性が高いという特徴があります。
一条工務店の家でも使われていて、屋根の下にある軒天と呼ばれる場所にケイカル板が使われています。
雨に直接当たることはないけれど、多少は水もかかるし、温度も大きく変化するような場所でも安心して使えることからケイカル板はこのような場所に使われています。
また、近隣で火災が発生してもケイカル板が火炎を防いでくれるので防火性能の向上にも一役買っています。耐熱性も1000℃と高いことから、万が一ソーラーパネルが発火したとしても屋根下地への延焼を防止する効果は十分に高いと期待できます。懸念点としては、これまでは鋼板敷設については実績があるものの、ケイカル板敷設については実績がないので施工上等の問題がないのかは今後に期待です。
一方の、鋼板敷設の場合は、ガルバリウム鋼板が採用されていました。ガルバリウム鋼板はもともと広く屋根材として使用されているものですち、一条工務店では今回の問題が発生する以前から準防火地域で太陽光発電システムを設置する場合には、準防火地域の基準を満たすためにソーラーパネルの下にガルバリウム鋼板を敷設してきた経緯があるので、実績を有しているという点では安心できる施工方法です。
また、ガルバリウム鋼板は鋼板ですので耐熱性も高く、太陽光発電システムの発火による延焼防止効果も十分に期待できますので、ガルバリウム鋼板でも安心です。
施工実績の観点からはガルバリウム鋼板に一日の長がありますが、ガルバリウム鋼板、ケイカル板のいずれも耐熱・耐火・耐炎性能が高い部材なので、どちらを選んでも問題はないように思います。
準防火地域では今後も認定等の関係から鋼板敷設が行われると思いますが、それ以外の地域ではケイカル板の敷設で十分なように思います^^
Q:30年保証に実質的意味がないというのはなぜ?
A:極めて限定的な保証で、そもそも火災保険や通常の多くの保険でカバーされているので、保証を使うことがないから
現時点で、色々な方からの情報を統合すると、30年保証は「発火」に対する保証に限定されているようです。通常の故障等は30年保証には含まれません。例えば、30年程度経過すれば一部配線等に経年劣化が生じることが想定されますが、これは保証の範囲害です。また、パワーコンディショナーはおおよそ10年~15年程度で部品が劣化しますので交換等が必要になりますが、これも30年保証の範囲外です。
発火以外については、従来通り10年保証となっていると思われます。
すなわち、万が一、発火が起こったとしたらそれを一条工務店が保証しますよ、という内容なのです。それでもないよりはマシでは?と思えるかもしれません。
しかし、そもそも発火があればそれは火災ですから、火災保険がカバーしてくれますので一条工務店の保証の出番はありません。
さらに、発火から延焼に至った場合、ソーラーパネルだけを保証する一条工務店の保証に意味はなく結局火災保険に頼ることになります。
このように30年保証は、ないよりはあった方が良いけれど、30年保証があったからと言って何か安心材料になるわけではない、というかなり微妙なものとなっています。
私個人としては有償であったとしても延焼はもちろん発火を防止する方法を提案して欲しいと思っています。
余談ですが、過去には樹脂サッシも30年保証でしたが。今はなくなりました。
私が家を建てたころ、一条工務店では防犯樹脂サッシは30年保証が付けられていました。おそらく今は付いていないと思います。
この保証では、万が一台風等でガラスが割れても一条工務店が保証しますよ、という内容になっていました。
今はこの保証がなくなってしまった理由は「意味が無いから」と理解しています^^;
台風で瓦が飛んできて窓ガラスが割れれば、火災保険の対象となりますし、なんだったらクレジットカード等に付いている保険、その他様々な保険がこのような事故をカバーしています。
そのため30年保証があってもなくても、顧客的には全く何も変わらないので、あまり意味のある保証ではありませんでした。
しかし、一条工務店がこの「意味のない保証」をしていた理由は、ある種の「意気込み」や「自信」を示す位置づけの保証となっていました。
私が家を契約した2011年頃は樹脂サッシはまだまだメジャーなものではなく、樹脂サッシを採用しているメーカーでも外側にはアルミサッシを使い、内側のみ樹脂サッシにするという半樹脂サッシにしているような状況で、全て樹脂サッシという一条工務店の窓サッシはかなり特殊なものでした。
そして、樹脂サッシというものに対する信頼がまだまだ低い時期で、他のハウスメーカーなどからは樹脂サッシは10年したら紫外線でボロボロになるなどという「嘘」による営業がまかり通っていました(-_-;)
一方で、一条工務店としても30年を経過した樹脂サッシで施工した住宅の実例があるわけではなく、「大丈夫なんだ!」と説明する根拠が乏しくもありました。
そこで考えられたのが「30年保証」であったのだろうと思います。
一条工務店としては、お客さんに対して「一条工務店は30年保証をできるぐらいに自信があるんだ!」という意気込みを見せる意味で、実質的には意味がないことを分かっていながら30年保証を打ち出していたのだろうと思っています。
しかし、近年になってZEH補助金の影響もあり、住宅の高断熱かが急速に進んできました。その結果、多くのハウスメーカーで樹脂サッシが採用されるようになってきており、下の住宅産業新聞一面記事にもあるように、最大手の一つであるLIXILでも樹脂サッシ事業の強化を投資家にアピールするようになるまでになりました。
(住宅産業新聞2019年4月25日)
樹脂サッシが広く認知され、他のハウスメーカーから樹脂サッシに対する「不当な攻撃」を受けることがなくなったこともあってか、一条工務店ではいつの間にか樹脂サッシの30年保証を終えていました。実質的には意味がない保証ではあったので、別に何も困ることはないわけですが。。。
一条工務店ではこのように、気合いを示す?ために30年保証を打ち出すことがありますが、今回のソーラーパネルの30年保証も、不燃材を施工することで自信があることを対外的にアピールする目的で30年保証を打ち出したのだろうと思っています。
Q:30年保証を受けるのに条件があるって本当?
A:本当のようです。ネットワークに接続されていることが必要とのことです(未確認情報)。
これは確定ではありませんが、一条工務店としてはソーラーパネルの30年保証の条件として「ネットワーク接続をしていること」という条件を課しているようです。
正直、30年保証は比較的どうでも良い話ですが、これは本当に重要なことと思います。
一条工務店の夢発電システムでは、発電電力量のデータを一条工務店のサーバに常時送信しています。そして、異常があると知らせてくれる体制を取っているとのことです。
最近、引き渡し済のお宅で営業さんから急に電話があって、ネットワーク接続が切れているから再接続をして欲しいと連絡があったという話を聞きます。
以前ですが,我が家でも営業さんから太陽光のデータが確認できなくなっているという連絡があったことがありました。
どの程度の監視をしてくれているのかは不明ですが,少なくとも発電が行われているのか、行われていないのかは確認してくれているようですので、ネットワークに接続をしておくことは非常に重要と思います。
そして、今回、30年保証と抱き合わせにして来た背景としては「発火防止に備える遠隔監視」を視野に入れてのことと思います。
消費者庁の報告書では火災事故防止の観点から「遠隔監視システムの開発」をメーカー側に要請しています。
遠隔監視するにしても、発電データが送られてきていなければ監視のしようがないため、保証の条件としてネットワーク接続されていることを含めているのだろうと思います。
そう聞くと、知らないうちにネットワークが切断されていたら心配なんだけど、と思う方もいらっしゃると思います。
一条工務店はネットワークが繋がらなくなると、1回だけは連絡をしてくれますので、そこで対応をすれば問題はありません。ただ、ネットワークが接続されていない旨の連絡があったのに、なんら対応をしなければそれは顧客側の責任となり、保証をはじめとした様々なサービスが受けられなくなるのでネットワークの接続状態は気にしておくのが良いかと思います^^
Q:引き渡し済の家はどうなるの?このまま放置?
A:未確認ですが、30年保証を引き渡し済の家に拡大するという話もされているようです(未確認)。
現在契約中の方からいただいた情報ですが、営業さんに太陽光発電システムの詳細について確認をしたところ、「引き渡し済のお宅についても30年保証を拡大する方向」という話があったという情報をいただきました。
30年保証されても燃えたら嫌ですし、万が一燃えても火災保険があるのであまり意味がないようにも思いますが、「30年保証+ネットワーク接続」のセットが気になっています。
一条工務店の今後の対応として、5月20日に着手承諾をされた方以降のみについてケイカル板を敷設するのは、これは仕方ないことと思っています。
一方で、遠隔監視については5月20日に着手したお宅だけ遠隔監視をして、それ以前に建築した我が家を含めた住宅は遠隔監視の対象外、という対策をすることは考えにくいように思います^^
今回、ケイカル板の施工という具体的な対策をしたことから、一条工務店としても発火や延焼の問題に対して真剣な取り組みを見せていることがわかりました。
ネットワーク接続確認を進めているという情報をいただくことが多いことから、遠隔監視もはじめているのだろうと思われますから今後の動きに期待したいところです^^
Q:一条工務店の営業さんが「安全が確認されたから大丈夫」と言っていたけど??
A:その説明は「嘘」です。嘘というと強すぎますが営業さんの「誤解」です。
ブログで鋼板敷設の記事をアップした後、多くの方から「一条工務店の営業さんが『実験で安全を確認したから安心して下さい』という説明をしてくれた。」という話を伺いました。
私も、一条工務店が実験で安全が確認されたのならばそれに超したことがないと思い、一条工務店のお客様相談室に問い合わせを行いました。
結果としては「飛び火試験」というJISに規定された試験を実施したことが確認できました。ただし、この試験では「安全」を確認することはできませんし、おそらくは一条工務店としても「安全」を確認するために実施したわけではないと思っています。
一条工務店が、飛び火試験を行った理由は、消費者庁の報告書にも同様の試験の結果が記載されていたために再実験を実施したのだろうと思います。
消費者庁の事故調査委員会が飛び火試験を実施したのは、別に安全性を確認することが目的ではなく、ソーラーパネルから住宅屋根への延焼プロセスの検証過程で参考実験として行われたものに過ぎません。
もの凄く基礎的な実験ですので、これ自体で住宅の耐火性が国の基準を満たしているということは言えても、ソーラーパネルの発火、延焼に対して安全であるとは到底言えるものではありません。
ただ、一条工務店では、社員の方々が閲覧できる社内システムでこの実験を実施し、延焼がなかったということを通知したという話を他のお客さんからの伝聞として伺っています。おそらく社内システムにこの実験の情報を流した目的は「何もしていないわけではない」ということを狙っての通知とは思いますが、営業さん達は飛び火試験の意味をきちんと理解しないまま「安全が確認された」と説明してしまったと推察されます。
冒頭に会えて「嘘」と書いたのは、社内システムにどのような文言が書かれていたとしても住宅を販売するプロである以上は飛び火試験が何を目的とした試験であるかぐらいは理解していて当然(少なくともネットでちらっと調べればすぐに分かる)と思っており、これが理解できなかったのであれば、それは不勉強が過ぎますし理解した上で「安全」と説明したならそれは嘘なので、どっちにしても「安全」と説明するのは不適切なものだったと思っています。
正しい説明を行うとすれば、「安全を確認することに努めており、消費者庁と同様の実験をしたけれども、消費者庁の延焼実験のような延焼は確認できなかったから直ちに安全性を疑われるようなことはないと考えている。今後もさらに詳細に検証を行っていくので安心して欲しい」というぐらいが最大限の説明だったと思います。このような説明をされた営業さんもいらっしゃったようです。
Q:一条工務店の対応、遅くない?
A:いいえ。かなり早かったように思います。
消費者庁の指摘が公表されたのが2019年1月28日でした。その後4月まで派には鋼板敷設がオプション化され、今回、ケイカル板による不燃材施工が標準化されたのが5月20日でした。
消費者庁の指摘があってから、問題の解決に至るまで4ヶ月という時間がかかったことになります。これを長いとみるか、短いとみるかは人によって違うかも知れませんが、私はかなり早かったように思います。
現時点で、消費者庁の報告書は、経産大臣等への要請の段階でなんらの法的拘束力もありませんし、また、業界団体も今後の対策について議論を行っている段階です。おそらく具体的な対策が出てくるのは今年の後半以降になってからのことと思います。
そのような状況で、一条工務店としては業界の方向性や国の指針が決まる前に自分たちで考えて対策を行ったという意味では非常に早い対応であったように思います。
おそらく、今年の年末から来年に掛けて国の指針等も出されると思うので、それに併せて施工方法等がまた変わる可能性もありますが、ひとまずは考えられる具体的な対策をとったという点では迅速なたいおうだったように思います^^
Q:太陽光発電システムの発火・延焼問題はこれで解決?
A:いいえ。今後が重要と思います。
今回の一条工務店の対応によって、消費者庁から指摘があった太陽光発電システムからの発火とそれに伴う延焼という火災事故防止措置は講じられたことになります。
そのため、今後建築される家では、既に数百万世帯で設置されている太陽光発電システムと同様、万が一発火があっても火災に至る可能性は極めて低くなった、と思って良いかと思います。
しかし、今後着手承諾をされるお宅では延焼は防止できますが、発火そのものを防止できるわけではありません。発火を防止するためには、高度な遠隔監視や定期的な点検が必要になってきます。
そして、そうした点検や監視の義務は「住宅の所有者(私たち)」にあるのです。
そうは言っても、太陽光発電システムが正常に稼働しているかどうかを自分たちで監視することはできませんから、一条工務店が何らかの対応策を示してくれることが非常に重要になってきます。
具体的な遠隔監視の方法や、必要な場合は実地での定期点検等のサービスを有償であってもきちんとした形で提供してくれることを強く望んでいます。
個人的には、今回のように安全に関わる問題が後になってから発覚した場合、そのサービスは有償であるべきと思っています。
もちろん、高額では困りますが、月額数千円であれば、太陽光の売電メリットで十分にペイできます。自分たちが恩恵を受ける面がある以上、それに対しては、きちんと責任を持って取り組んでもらうと言う意味も含めて有償であるべきと考えています。
Q:一条工務店のソーラーパネルだけが発火の危険があるの?
A:いいえ。全てのソーラーパネルには発火のリスクがあります。
今回の記事を通じて、少し誤解を受けてしまっている部分があるようですので補足します。
消費者庁が指摘した、発火から延焼に至る可能性がある11万世帯のうち6万世帯以上が一条工務店が建設した住宅であることは事実です。
しかし、延焼の可能性は低いもののそれ以外の数百万世帯に設置されているソーラーパネルでは程度の差はあると思われますが、発火の危険はあります。
消費者庁の報告書でもその点は示されており、それ故に定期的な点検や遠隔監視が必要であることが示されています。
一条工務店のソーラーパネル自体は、現時点の事故情報を確認する限り、他のソーラーパネルメーカーと比較して事故発生率が高い等ということはありません。
少なくとも現時点では、一条工務店製のソーラーパネルだから危険ということはありません。
今回の問題は、全てのソーラーパネルは発火する可能性があるとしたとき、万が一発火したとしてもそれが住宅そのものに延焼することがないようにするための対策を取ったに過ぎないのです。
個人的には、近年急速にソーラーパネルが設置されている中で、こうしたソーラーパネルからの発火事故等の問題が社会問題化することは十分に予想範囲内と思います。
そうした中で、一条工務店ではその施工方法から緊急的に対応を採らざるを得なくなり、それによって遠隔監視などへの取り組みもはじめているように思われます。
おそらく、多くのハウスメーカーでは今回の消費者庁による指摘の対象外であったためそこまでの危機感を持った対応は行われていなかったように思います。
もしかすると十数年先の将来、今回一条工務店が他のハウスメーカーに先駆けて遠隔監視などに取り組んだ結果、他のメーカーの住宅よりも安全性が高くなっているということもあるかも知れません^^