もしかして顧客を馬鹿にしている?

こんばんは。さすけです。

本当は金利のことや、Q値のこと、また、今日(この記事を書いている22日)は前日にオープンした土浦展示場のi-smart見学も行ってきてそのことも書きたいなど、書きたいことだらけの状態なのですが、それをちょっと脇に置いて、他のことを書きます。

最初に断っておきます。本日の内容は一条工務店とは全く無関係です。むしろ、一条工務店ではこういうことはしないだろうと信じています。

また、もしかすると今日書かせていただく内容は私の妄想に過ぎなくて、私は表面的なことしか見えておらず、勝手にテンションが上がって変なことを書いている可能性は十分にあります。その場合は、ご批判等甘んじて受けます。

今日書かせていただきたいのは

家庭用蓄電池

についてのことです。

先日書かせていただいたスマートハウスに関する記事で、蓄電池がなければスマートハウスになれないのでは?というものがありました。また、新聞等でもスマートハウスと蓄電池はセットで記事にされることが多いです。

ちょっと調べただけで、
・ タマホームのTスマート(i-smartと名前そっくり・・・)
・ 大和ハウス xevoスマ・エコオリジナル
などが既に実売されています。

私自身も当然家庭用蓄電池には関心はあります。しかし、色々考えて導入する予定はありません。興味はあるので各社のWebを見ていて???となってしまったのです。

考えれば考えるほど、単に、

流行だから、顧客がほしがるから、とりあえず付けておきました。

と思えてならないのです。本当にこれらのハウスメーカーが、蓄電池が顧客のためになると思って付けているのだろうか?と疑問に感じたのです。

まず、断りとして私は蓄電技術の開発は将来の日本のエネルギー安定供給に不可欠な技術であると思いますし、これらの技術開発をされている方々はそのことを理解した上で開発、販売していると思っています。また、蓄電技術は必要な箇所に取り付けられた場合、経済被害を最小化し、人の命を救う上でも不可欠な技術だと思っています。

また、顧客が望むのだから付けて当然だろうという言い分があることは分かっています。しかし、望んだ物を言いなりになって付けてくれるのならば、それはプロでは無く、御用聞きです。素人よりもはるかに深い知識と知見を持ってアドバイスをするのがプロの仕事であり、素人であるわれわれはプロとしての知見にお金を払うのです。

そのことを置いておいたとしても、流行に乗って不安を煽り顧客をハメルような販売方法があったとしたら、それについては大いに疑問を持ちます。むしろ、そのようなことがあれば、将来不可欠である蓄電技術の開発そのものを阻害し、技術への不信につながってしまうのでは無いかとさえ思います。

何を言っているのか?蓄電池があれば停電したとき便利だし、太陽光発電で発電したエネルギーを蓄電して、夜間に使えて便利じゃ無いか?そう思われるかも知れません。

タマホームのWebサイトを見ると
・ 「晴れた昼間は、太陽光の自然エネルギーで家電機器を動かせます。『エネファーム』との併用で自給率アップ。停電時には蓄電池の電力が使用できて安心です。」
と、リチウムイオン電池の写真(おそらく因幡電機産業のG-Lifeセーブ)と一緒に掲載されています。

大和ハウスは
・ 「家庭用リチウムイオン蓄電池・D-HEMS・太陽光発電システムを組み合わせることにより、エネルギー使用量を削減し、非常時の安心を提供
と書かれています。

要は、「蓄電池を付けておけば環境にも良いし、停電しても不安が少なくて済むよ」と言っているのだと思います。

いや、その通り、停電しても電気が使えて安心じゃ無いか。太陽電池との組み合わせでエネルギー使用量を削減できてエコだし、安心じゃ無いか?と思われた方がいらっしゃったら、長文ですがお時間をください。

なぜ蓄電池がエコなのか?

蓄電がエコであるとは、現在の発電に使われているエネルギー源に起因します。
現在、私たちが日常使用する電力は原子力や火力発電などによってまかなわれています。

しかし、震災以降原子力発電所の稼働は非常に困難な状況に陥り、結果として火力発電のフル稼働を余儀なくされています。

火力発電は多くの二酸化炭素を排出し、地球温暖化に悪影響を与えます。
そこで、火力発電などよりも二酸化炭素排出量の少ない太陽光発電でエネルギーがまかなわれれば、環境に負荷をかけなくて済みます。しかし、太陽光発電は日中しか発電することができません。よって、太陽光発電によって夜間の電力をまかなうことはできません。

そこで、蓄電池の登場です。

日中太陽光で発電した電気を蓄電池にためて、夜間は蓄電池のエネルギーを使って過ごせば火力発電などを少なくすることができて環境に負荷をかけずに済みます。これが、蓄電池がエコである理由です。確かに、この文章の通りに実行できれば、『エコ』ではあります。

しかし、これを実行した場合お財布には非常に厳しいものになります。

なぜならば、日中の太陽光発電のうち自家消費分を差し引いた余剰電力は42円/kWhで売電することができます。太陽光発電で得られた電気を蓄電すると言うことは、本来売電することができる電力を自家消費しなくてはならないことを示しています。

契約にもよりますが現在の深夜電力料金は、9円/kWh程度です。よって、「太陽光→蓄電→夜間消費」とは、本来9円で買える電力を42円で買っていることになってしまいます。

夜間電力の是非は別の議論です。現状の電力システムはこのようになっているのは事実です。

よって、蓄電池が『エコ』に寄与するよう運用するためには、生活者に経済的負担を強いることと等価です。

顧客にこのことを十分に理解させた上で、環境問題を重視して経済的負担を甘んじて受けれるという合意を得て蓄電池を販売しているならば全く問題ありません。むしろ、それは社会にとって非常に良いことです。

しかし、Webを見ている限りではそのようなことは全く書かれていないのです。

私には、単に環境問題がクローズアップされている。HEMS(Home Energy Management System)という言葉もカッコイイ、スマートハウスという言葉も認知されてきており、流行つつある、そういった現状をうまく利用して顧客を獲得するための手段にしてしまっているように思えてならないのです。

以上のことから、蓄電池が環境に良いイメージで販売するのは非常な胡散臭さを感じてなりません。

商売とはそういう物だと言われたらそれまでです。しかし、そんな商売は長続きしません。顧客はそこまで馬鹿では無いので、必ず多くの人が気がつき、そして蓄電技術はうさんくさいものとして扱われてしまうことこそが恐ろしいです。(ICHIさんが以前書かれていたように太陽光発電も怪しい訪問販売が跋扈した時期があり、その二の舞になりそうで怖いのです)

なぜならば、蓄電技術は環境負荷を削減し、電力を安定供給するために不可欠な要素技術だからです。(←さっきと言っていることが違うじゃ無いか?それは後ほど説明します。)

蓄電池があれば停電時も安心?

もう一つ、停電に対してですが停電したときに蓄電池があれば、安心であるというのもあやしからんことと思います。

何が怪しいのか?
蓄電池があれば安心ではないか?

日本の電力供給は世界的見ても安定的な供給が保たれてきました。しかし、昨年起こった東日本大震災によってその安定供給への不安が高まった状態にあります。

下は各国の年間平均停電時間の推移を示したグラフです。震災が起こる前は、日本の年間平均停電時間は約20分で推移しており、先進国の中でも停電時間は短かったという事実があります。

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ソース

しかし、昨年起こった東日本大震災に伴う計画停電と夏期の省エネにより、電力の安定供給に対する不安が一気に高まりました。

おそらく、昨年度の特に東京電力・東北電力管内の停電時間はこの値よりも遙かに長い停電時間であったと思われます。

また、原子力発電所が安定稼働できない状況下にあっては、計画停電のリスクは依然として残っています。

やっぱり停電は起こるかも知れないし、
蓄電池があったら安心じゃ無いか!
本当にそうでしょうか?
私は停電など起こらないと言いたいのではありません。
蓄電池があれば停電しても「安心」である、という「安心」に疑問があるのです。

今後懸念される停電は主に計画停電です。東日本大震災、阪神淡路大震災と同規模の自信等があれば別ですが、そうではない限り電力システム自体は同じなのですから、停電の確率は震災前と同程度と予想されます。

余談ですが、震災時のライフライン寸断による不安について書かせていただきます。私も軽い被災地に住んでおり、震災直後すべてのライフラインが寸断されました。

こちらの資料によると、東日本大震災後1週間で電力は90%が回復しており、次いで水道の50%、都市ガス10%となっています。電力の復旧が遅れた10%は宮城県の津波被災地に起因します。このことからも電力はもっともすばやく復旧されるライフラインのひとつであるといえます。また、これは私の経験上ですが、震災直後のライフライン寸断の中でもっとも大変だったのは水、特にトイレ用の水の入手でした。

停電はその日のうちに復旧しましたが、断水は4日ほど続きました。断水はありましたが、すぐに給水車が近くの公民館に来てくれたおかげで、飲み水の心配はありませんでした。しかし、当然ではありますが給水車からの水の配給は飲料水が優先されトイレ用の水までは手に入れられませんでした。そのため、トイレに行くたびに風呂の水が少なくなっていくことに恐怖を覚えました。2日目以降は、給水車がトイレ用の水も配給してくれたので、問題はなくなったのですが、飲料水よりもはるかに量の多いトイレ用の水を運ぶということ自体が大変な作業でした。その点から、私は自分が新しく建てる家では日常は花壇の水やりに使える雨水マスを設置しました。飲料水はペットボトルの買い置きと給水車でどうにかなると思っており、震災直後にトイの水を飲み水で流すのはバカバカしいため雨水でまかなうことにしました。

ただ、停電したときに「安心」を得たいというニーズがあることは理解できます。では、この計画停電が起こったときに「安心」である状態とはどういう状態でしょうか?

今後懸念される計画停電は夏と冬の冷暖房需要の増大する時期に行われる計画停電です。
理由は簡単で、冷暖房需要の増大に伴う電力不足です。

計画停電に伴う一番の懸念は、暑い時期、寒い時期に冷暖房が使えなくなってしまうことへの不安であると思います。このとき、蓄電池があればエアコンを動かして暑さ・寒さを凌げるのでは無いか?そう考えるのは当然のことと思います。

しかし、まず暑さについては暑さのピークは晴れた日の日中です。太陽光発電があるならばそちらを使うことができます。よって、夏の暑い時期の計画停電は蓄電池の有無はあまり関係ありません。夕方以降の計画停電であれば、暑さは何とかなりますが明るさの問題は残っています。

寒さについては、冬になればほぼ一日中寒くなります。これを蓄電された電力でエアコンを稼働させて暖を取れれば良いかも知れません。ただ、寒さのピークは夜間に来ます、対して工場の電力需要ピークは日中ですから、ピークが異なるため計画停電を必要とするほど電力需要が逼迫する可能性は夏に比べると低くなります。さらに、暖房については電気以外にもガスや石油といったエネルギー源を使用することもできるため、電力需要は逼迫しづらくなっています。

しかし、蓄電池があり、エアコンを動かすことができれば安心につながる可能性はあります。

エアコンを蓄電池で動かせるか?

問題があります。現在上記2社で販売されている蓄電池は100Vの電圧供給が可能になっています。しかし、大型のエアコンは200Vの電圧が必要です。よって,この場合蓄電池を使用することはできません。

100V対応のエアコンならどうでしょうか?寒い時期にエアコンで暖房を付けた場合、500W程度の電力が必要となります。仮に500Wととして、上記2社の蓄電能力は2.3kWhと2.5kWhですから、4時間強動作させることができます。

これなら、仮に3時間の計画停電でも何とか凌ぐことができます。
ただし、これは机上の空論かもしれません。大和ハウスのサイトでも因幡電機のサイトでも、蓄電池で稼動する機器として冷蔵庫、扇風機、テレビ、簡易の電気ヒーターは記載されていますがエアコンは記載されていません。

おそらく、エアコンを稼動するようには設計されていないと思います。よって、部屋を暖めるというよりも、人間がいる範囲だけを暖めることを前提とした装置であると思ったほうが良いでしょう。

蓄電池の課題

蓄電池によって快適とは言わないまでも、安心は得られるかもしれません。
しかし、蓄電池には大きな課題があります。そう、価格です。上記2社のスペックに沿った蓄電池は100万円以上します。

そしてこれらの蓄電池で使用されている電池はリチウムイオン電池になります。一般にリチウムイオン電池は満タン状態で置いておくと、容量と寿命が短くなってしまいます。一般のリチウムイオン電池は、1000回程度の充放電で寿命を迎えるため1日1回の充放電で約3年使用できます。よって、3年に一回100万円の電池の買い換えが必要になります。3年まで行かないまでも10年以内に交換が必要となると思います。

ソニーのCP-S300という蓄電池は毎日の充放電を繰り返しても10年以上持つ蓄電池を開発していますが、容量は300Whなので、エアコンを1時間も動かすことができません。値段は15万円程度です。

確かに、蓄電池によって安心は得られるかも知れません。
しかし、起こるか起こらないか分からない計画停電に何百万円もかけたいと皆が思っているのだろうかという疑問があります。

何度も言いますが、消費者がこれらのことを理解した上で、または数年後には蓄電池は劇的に安くなると予想しており、次の交換時には10万円もしないで買い換えられると考えて、現時点で蓄電池を導入するというのならば全く問題ありません。

しかし、震災直後の計画停電の記憶が新しい中、そのことがあたかも将来も起こり得ると臭わせつつ、蓄電池があれば安心、というのはうさんくさく感じてしまいます。

でもやっぱり不安なんだけど・・・代替案はないのか?

やはり、昨年の地震を経験し頻繁に起こる計画停電はどうしても嫌だという心情は理解できます。しかし、もしも蓄電池を導入される場合は上記のことを十分に検討されるのが良いと思います。

100万円の蓄電池を買う以外にも「安心」を得る手段は多数あります。

例えばエアコンは入れられなくても良いから照明くらいは付けたいということであれば、パソコン用のUPSを使用するというのも手です。例えば、非常用の照明としてLED照明を2つ程度購入し、パソコン用の5000円程度のUPSを購入するだけで、10時間程度は明るさを手に入れることができます。もちろん携帯電話の充電などは問題ありません。これであれば毎年買い換えを下としても1年当たり5千円の費用で済みます。

テレビなどを見たいと言うことであれば、携帯電話のワンセグなどを活用すれば良いでしょう。
もう少し電力が使用したいと言うことであれば、きちんと長時間稼働が保証されたUPSもあります。APC RS XL 500であれば良いでしょう。毎年買い換えて2.5万円程度です。10年で25万円ですから費用的には安く済むと思います。必要に応じて拡張も可能ですから、テレビの視聴を可能にすることもできます。

でも暖房が動かなければ解決になっていないじゃないか!

確かに、鉛蓄電池は安いですが暖房を動かすには少しきついです。

しかし、なぜ暖房を電力で動かさなくてはならないのでしょうか?
オール電化住宅でも、石油ストーブを1台準備しておけばそれで事足ります。

独立して使える石油ストーブが1台あれば、暖かさを得ることが可能です。その際は、換気に注意する必要がありますが、3万円も出せば購入できます。さらに電気をどうしても使いたければ、小型の発電機を購入すればよいのではないでしょうか?

さらに、蓄電池に100万円かけることができるならもっと良い別の解決策があります。

家を高断熱高気密にしておくということが一つの解決策になり得ます。

 

こちらに震災直後の高断熱高気密住宅に関する記事があります。この報告では仙台市で10日間無暖房状態の住宅の中で、室内外温度差を約10度確保できたという報告です。こちらのお宅のQ値は1.47ですから、私が建てる予定の一条工務店のQ値と同程度です。

数時間の計画停電であれば、i-cube、i-smart、夢の家と言ったQ値1程度の高断熱住宅であれば室温の変化はほぼ問題にならないでしょう。だから震災に強いというつもりはありません。でも、蓄電池は起こるか分からない停電に備えるために、30年間でおそらく数百万円のお金を支払う必要がありますが、高断熱高気密住宅であれば、同程度の金額で毎年暖かい家を手に入れることができます。

私なら、後者を選びます。

顧客の不安を逆手にとって、代替案が多数あることも示さず、これがあればあたかも全て安心かのように販売するのは顧客を馬鹿にしているように思えてならないのです。

顧客はそんなことわからないから、欲しいという蓄電池を標準でつけておけば買ってくれるだろう、そんなことが見えてならないのです。これは私が穿った見方をしているからだけなのかもしれませんが。。。

ってことは蓄電池は怪しい商品で無用の長物??

蓄電技術は将来の日本における電力安定供給にとって、必要不可欠な技術です。
蓄電池の開発者はそういった事を理解した上で、社会をよりよくするために開発しているのだと思います。そういった人々の努力を、蓄電技術そのものへの不振につながるような商売の道具にすることで、無にするようなことはしてほしくないのです。

色々思うことがあるのは理解できますが、日本の総理大臣が国際的に温室効果ガスの25%削減を国際公約として掲げたのです。自分が投票したかどうかは関係ありません。独裁者が公約を掲げたわけではありません。民主的に選ばれた総理大臣の公約は日本として果たす義務があります。私は温暖化を事実として受け入れています。懐疑論が流行っていることは知っていますが、科学的事実は温暖化は起こっていると信じるに足る証拠がそろっています。

蓄電技術はこの問題を解決するために重要な役割を果たすと同時に、エネルギー源のない日本にとって電力安定供給に不可欠なものと思います。

ただ、現時点では社会システムが蓄電技術を前提としておらず、現時点での家庭用蓄電池の導入は消費者の負担が大きすぎると思うのです。

なぜ蓄電技術が必要であるのかは、先の蓄電がエコであるという下りで説明したように、太陽光発電等自然エネルギーで発電した電力を蓄電し、各家庭・企業で電力を融通し合う仕組みができて初めて意味を持ちます。いわゆるスマートグリッドが前提の技術なのです。

火力発電所が1箇所の大規模発電所で発電した電力を家庭や企業に送り出すのに対して、スマートグリッドを前提にした場合には、家庭や企業で分散的に発電し、それを融通し合うことから分散電源と呼ばれています。

分散電源だけですと、太陽光発電のように同時間帯に多く発電され、夜間など同じ時間に不足するといった電力安定供給の懸念が生まれます。
そこで、この分散電源で発電されたエネルギーをいったん蓄電池に蓄積し、必要に応じて供給することが重要になってきます。

このようなスマートグリッドを実現するためには、電力は発電所から家に流れて来るだけでは無く、電力の余っている家から不足している家に電力を販売するシステムが必要になります。そのためには、既存の電力メーターをスマートメーターという電力メーターに切り替える必要があります。

さらに、技術的には不要ですが、現実的には発電と送電を同一の企業が行っている限りスマートグリッドの実現は困難です。なぜなら、発電と送電が同一企業であるならば、分散電源を導入する事は売り物である電力供給を他者に譲り渡すことになり、シェアを奪われてしまうことを意味します。よってスマートグリッドの導入には発送電分離が求められます。

発送電を分離した上で、現在の原子力発電を前提とした深夜電力を見直し、深夜電力に依存した売電システムも考えて行かなくてはなりません。

私は、ニュース等で発送電分離に反対している政治家が居ればその人には絶対に投票しないようにしようと思っています。

これまで、発送電分離の議論は長年行われてきました。しかし、東京電力を代表とする電力各社は、発送電分離を行えば電力の安定供給を行うことができず、自分たちが電力会社が一元管理しているからこそ世界的にも安定した電力供給が行えるのだと主張してきました。

そうして、スマートグリッドが実現し、経済的な負担を軽減するような電力販売システムが確立され、蓄電技術が進むことで初めて各家庭が蓄電池を導入することが議論できるのだと思います。

そして、その蓄電池の導入を消費者に頼るならば、低下価格下が必須と思うのです。私自身も将来、低価格化が進み、蓄電技術が顧客に大きな負担を強いるものでなくなったならば是非とも導入したいと思っています。

だからこそ、顧客を騙すような蓄電池の販売方式ではなく、正攻法で蓄電池の普及を図って欲しいと思うのです。

 

現時点で最も可能性があるのは、ハイブリッドカーや電気自動車に搭載されたリチウムイオン電池の二次的活用だと思います。トヨタホームなどがその提案をしています。要するに、ハイブリッドカー等に搭載された蓄電池を家の電源としても使えるようにしようという物です。これであれば、使われるか分からない蓄電池では無く、日常的に使っている蓄電池を別の用途にも使えるようにするのですから十分に検討の余地がありますし、理解もできます。

私は個人的にタマホームなどはすごいと思っています。売り方は微妙に思うことも多々ありますが、ローコストハウスという新しい商品を提供することで、これまでは家を買うことが難しかった人々にも戸建て住宅を提供したという点で、すばらしい社会的貢献をしている会社だと思うのです。それなのに、経済負担を強いる可能性の高い技術をおまけのように扱っていることが不安に思えてならないのです。大和ハウスについても同じです。大手企業である自覚を持って、顧客のことを本当に考えているのか疑問に思うようなことはして欲しくありません。自分たちの行っていることが将来のエネルギー安定供給にも影響を及ぼしかねないことであることを認識して欲しいと思います。

長々書かせていただきましたが、 現在はまだ蓄電池の価格が高すぎてこれを諸手を挙げて導入できる状態では無いと思います。そんな中、スマートグリッドの中核技術である蓄電技術が、「怪しい商売」の道具にされ、結果的に消費者が蓄電池に嫌悪の目を向けることになったら、日本の電力需給システムに多大な被害を与えかねないと思えるのです。