防蟻剤実際に効果有るの?実験してみた!!予想外な結果が。。。

こんばんは。さすけです。

今週は夏休みです。でも妻は仕事で、子供は塾、そして私は週末に控えた電機工事士の試験対策。。。。
ということで、特にやることもなく、現場見学に顔を出してみたりしています^^
なんと屋根の上には太陽光パネルが載っていました\(^o^)/(←これでエアコンが。。。)

と、それは置いておいて、先日、一条工務店の防蟻処理の考え方や使用している薬剤について詳しく質問して、回答をもらいました。
考え方も合理的だし、薬剤の選択も納得です。

ただ、理屈は理解できても実際の効果は分かりません。

私は疑り深いのですよ ( ̄^ ̄)!
実験してみないと本当に効果が出るか分からないじゃないですか!!

ということで、先日書かせていただいた防蟻剤が本当に理屈通りの効果を発揮するのかについて実験をしてみました!!
注意:以下には倫理的にいかがなものなのよ。「一寸の虫にも五分の魂」があるんだ!という批判がある可能性もあります。でも、もうやっちゃったので許してください。

もう一つ注意!!以下には、クローズアップ写真は掲載を控えましたが、アリの写真があります。苦手な方は閲覧をお控えください。

実験概要
実験方法は至ってシンプルです。庭にお菓子を置いて大量のアリを発生させます。そのアリをジップロックの容器に閉じ込めます。防蟻処理が施された資材を容器の中に放り込みます。3日間放置します。アリが生きているかを確認します。アリが生きている容器は効果無し。アリが死滅していたら効果があったと判断します。こう書くと非常に簡単なんですが色々工夫もしてみました!!
結果は如何に!!

一応、シロアリはアリではないのですが、シロアリを入手するのは難しいことと、逃げられたらそれはそれでちょっと困ったことになるので、「昆虫」というカテゴリでの実験にしました。。。。

なんだか読んでいただいている方がどん引きしている気配を感じています^^;;
もうね、暇人にエサを与えるとろくなことをしない最たる例と思ってお許し下さい。

以下に今回の実験手順を示し、その後結果、考察を行いたいと思います!なんだか大学の頃の実験を思い出しますよね^^:

実験手順
1. 試験対象の部材を作る
今回、防蟻剤の効果を知るために
試験容器A 外壁等に使用されるACQ加圧注入済み木材片
試験容器B 内壁に使用されるアリピレス塗布済み木材片
試験容器C 土間部分等の断熱に使用されるACQ塗布済みEPS片
試験容器D 家屋内断熱に使用されるニッソーコート塗布済みEPS片
試験容器E 何も入れない(比較用)
の5種類の試験体を準備しました。

試験片A~Dはいずれもできる限り表面部分を含む形で切り取りました。
これらの試験片をアリを入れた容器に入れて状態を観察します。

薬剤の成分から想定される結果は、
ACQは、殺菌剤ですからアリには効果が無いと考えられます。
アリピレスはピレスロイド系の殺虫剤ですからアリは死ぬはずです。
ニッソーコートも昆虫等に対する選択毒性を有する殺虫剤ですからアリは死ぬはずです。

この予想を元に試験片ごとの予想は
試験容器A(ACQ木材):アリは死なない。
試験容器B(アリピレス木材):アリは死滅
試験容器C(ACQ塗布EPS):アリは死なない
試験容器D(ニッソーコート塗布EPS):アリは死滅
試験容器E(何も入れない):アリは死滅しない
という結果が予想されます。

2.アリを入れる容器の準備
容器はアリが逃げ出さない程度に密閉度が高く、内部に化学薬品が付着していないであろうジップロックの容器を使用しました。
アリは容器に対して十分小さいので1日1回の観察時に空気が入れ替わるため空気穴は特に開けていません。

*失敗ケース
最初に空の容器にアリだけを入れて1日観察してみました。アリは全滅しました。気温が上がったことによる影響と考えられました。また、容器の温度が上がって内部が乾燥したためと考えられます。
そこで、容器にアリと一緒に餌となる少ししめらせた砂糖を入れて1日放置してみました。やはりアリは全滅してしまいました。今度は水蒸気が発生して容器内部に結露を生じ、結露にアリが捉えられてしまい死んでいました。

*最終的な容器の形態
試行錯誤の結果、容器内部にティッシュペーパーを敷き、そこに土と一緒にアリを入れ、乾燥防止にポカリスエットを適量垂らし、砂糖を入れて閉じ込めることで日中外に放置しても問題なくアリが生きていられることを確認しました。

さらに、容器は外に置いてありますが直射日光が当たらない場所に置き、さらにEPSの断熱材を上に載せることで簡易の断熱^^?もしてみました。
こうすることで蟻たちは問題なく生きており、さらには容器の中に小さな蟻の巣を作るほどに元気な状態を保てることを確認しました。

3.アリの捕獲

当初は黒アリを1匹ずつ捕まえて容器に入れていましたが、たくさんいるようでなかなかアリが集まりませんでした。しかも、アリはその生態から巣の異なるアリを一緒の容器に入れると喧嘩して死滅してしまいます。

ということで、1つの巣の蟻を大量に捕まえる方法を考えました。
方法は単純で庭に砂糖を撒きました。。。。妻にばれないようにそっと。。。
翌日の昼間に確認すると予想通り、アリが大量発生していました\(^o^)/
ただ、残念なことに黒アリではなく、ヒメアリ(小さなアリ)が集まってしまいました。今回は薬剤の影響を観察することが目的ですから小さい方が影響が出やすいだろうと思いヒメアリで実験することにしました。

容器に入れるアリの数を制御することは出来なくなってしまいますが、大量発生したアリを土ごとすくって容器に入れました。
試験片を入れない状態で1日放置して、アリが生きていることを確認しました。日中も外に放置しましたが元気に小さな蟻の巣を作っていました。

ご近所の方から「草むしりも大変ですね~」と言われました。明らかな誤解です!!
私は単にアリを捕まえているだけです。。。草なんて1本もむしってません!!

でも、「草むしりじゃなくてアリを捕まえているんですよ~」なんて言ったら明らかに変人です。というか、相手もどうして良いやら分からなくなってしまうでしょう。。。ということで「夏はいっぱい生えてきますからね~」と大人の返しをしたのは秘密です。

4.実験開始!
3で作成したアリの容器にA~Dの試験片を入れて、5日間試験容器を観察しました。

最終形態は↓こんな感じになりました。

かなり小型のアリですから写真からはほとんど見て取ることができませんが、かなりの量が入っていることは確認しました。

5.実験結果!
0日目:試験片投入直後
試験容器A(ACQ木材):アリたちは元気
試験容器B(アリピレス木材):
アリたちは元気 
試験容器C(ACQ塗布EPS): アリたちは元気 
試験容器D(ニッソーコート塗布EPS): アリたちは元気 
試験容器E(何も入れない):アリは
 アリたちは元気  

いずれの容器のアリたちも元気な状態でした。10分程度観察していましたが、全ての容器のアリたちの動きに変化は見られませんでした。いずれの防蟻剤においても即効性は確認できませんでした。

1日目経過後
試験容器A(ACQ木材):アリたちは元気
試験容器B(アリピレス木材):アリは全滅
試験容器C(ACQ塗布EPS):
アリたちは元気 
試験容器D(ニッソーコート塗布EPS):
アリたちは元気 
試験容器E(何も入れない):アリは

アリたちは元気  

アリピレスを塗布した木材片を入れた容器の中のアリは全滅していました。。。アリピレスはピレスロイド系殺虫剤ですから予想通りの結果です。アリがアリピレス木材と接する空間で生き続けることは難しいようです。

一方で、ニッソーコートも昆虫に対する選択毒性を有する接触性の殺虫剤ですから効果が出るはずですが、元気なままでした。

2日目

依然として試験容器A、C、D、Eのいずれの容器のアリたちも元気でした。
ニッソーコートに疑念の目が。。。
ニッソーコートは接触性の殺虫剤なのでアリたちがEPSの上を歩かないために効果が無いのかも知れない?と考え、一部のEPSのかけらを土に埋め、さらに丈夫に残ったEPSに砂糖を振りかけてアリたちがEPSに接触するようにしてみました。

ニッソーコートは表面に塗布されているだけですので量が少なすぎる可能性も否定できません。そこで、ニッソーコート塗布済みEPSの量を大幅に増やしてみました。

当初は他の木材片と同様、2片のニッソーコート塗布済みのEPSを入れていました。↓の左側と左下に見える白いかけらがニッソーコート塗布済みのEPSになります。

これを大幅増量して↓のような感じにしました。

ほぼ表面を覆い尽くす感じでニッソーコート塗布済みEPSを載せてみました。さらに、その上に砂糖をまぶしてEPS表面をアリが歩くようにしました。効果や如何に!

3日目
変化無し。ニッソーコートに効果がなさそう??
ACQについてはアリに対して影響が出ないことは予想済みなので、ここでACQ塗布済みEPSの実験を終了して、いまだ元気なアリたちが済む巣にアリピレス塗布済みの木材を投入。
これでアリが死滅すれば、容器内の条件(湿度や病気等)によって死滅したわけではなくアリピレスの効果が出たことを確認できるはずです。

4日目
予想通り、アリピレス塗布済みの木材片を入れた容器内のアリたちは全滅していました。これによって、アリピレスにはアリを死滅させる効果があると結論することにしました。

ニッソーコート塗布済みEPSを入れた容器内のアリたちはいまだに元気です。どうも効果がなさそうです。あと1日観察することにしました。

5日目
すべての容器内のアリたちに変化は見られませんでした。実験はここで終了です。
実験に使用したアリたちの内生き延びたアリたちは庭に離しました。。。アリガトウ!

考察
*ACQの効果について
今回の実験ではシロアリに対してのみ効果を持つACQについては通常のアリに対して影響しないことを確認しました。このことによって、ACQの影響は短期的にはアリも死なない程度の有害性であることが確認できました。実際にシロアリに対して効果があるかについては別途実験が必要です。
シロアリは使いたくないので、何か別の方法で効果を確認できる実験方法を検討中です。

* アリピレスの効果について
実験結果からアリピレスが殺虫効果を有することは間違いなさそうです。では、どのような経路で殺虫効果を発揮しているのか?また、忌避性が高いとされているけれど本当か?という疑問が沸いてきました。これについては別の実験で確かめてみたいですが、もうすこし考えたいと思います。
特に関心があるのは、アリピレスの殺虫効果が揮発成分によるものなのか?それとも接触によるものなのか?です。

仮に揮発による効果であるならば、おそらく揮発量は時間経過と共にどんどんと減少していきます。そうなると10年も経てば効果もなくなってしまうことが考えられます。とりあえず、もらってきたアリピレス塗布済みの木材は外に放置して揮発を促していますが10年待つことも出来ません。
しかし、接触によって殺虫効果を発揮しているならば経年による殺虫効果の低下は十分に小さいと考えられます。そのため、殺虫効果がどのような経路で発揮されているのかを確かめる実験を検討中です。

* ニッソーコートの効果について
今回予想外(期待はずれ)の結果だったのはニッソーコートです。ニッソーコートに塗布された薬剤は理論上通常のアリに対しても効果があるはずです。しかし、小型のアリに対してでさえ殺虫効果が確認できませんでした。シロアリを1週間程度の短期間で駆逐することは困難であると思われます。

ただし、今回このような結果となった理由はいくつか考えられ、場合によっては実験条件が悪かった可能性も否定はできません。

考えられる可能性としては
1. ニッソーコートの効果は遅効性である可能性
2. EPSに塗布されたニッソーコートが雨等で取れてしまって効果が出なかった可能性
という2つの可能性は否定できません。

まず、ニッソーコートの成分が遅効性である可能性もあります。シロアリ被害が急速に進むとは言え1週間ではそれほどの被害にはなりません。
1ヶ月以内程度に死滅させる効果を発揮すれば十分な効果と言えます。今回は実験期間が5日間であったため効果が確認できなかった可能性があります。そこで、もう少し大きな容器に多数のアリを飼って1月程度観察してみれば結果が得られるかも知れません。しかし、長期の実験はアリに対する病害、その他気象条件灯の影響を受けるため、多数の容器を用意しなくてはならず、ちょっと難しいです。

次に2の塗布された薬剤が流れた可能性ですが、今回実験に使用したニッソーコートが塗布されたEPSはゴミ置き場に置かれていた防蟻処理済みマークのあるEPSを使用しました。その前数日にはかなり強い雨があったため塗布された薬剤が流れてしまっている可能性も考えられます。そこで、室内で切り出したあまりのEPSを探してもらってきて再実験を試みたいと考えています。ただ、仮に雨等による流れ落ちの結果効果が得られなかったのだとすると、室内の湿度変化等に対する影響からも逃れることができず、結果大きな効果を得ることは難しいかも知れません。

アリピレスへの期待?
今回アリピレスは最も大きな効果を発揮しました。そこで、シロアリ以外にも別の期待ができるのでは無いかと考えました。

今回は通常のアリに対する効果を実験しました。
ここで、アリピレスは昆虫全般に対する効果が期待できます。ということはですよ。。。
もしやゴッキー君にも効果があるんじゃないかと思えてきたのです。実際どうなんでしょうか??

今回、我妻はアリを飼うことには慣用だったのですが、さすがにゴッキー君を家で飼ったらゴッキー君と一緒に私も家から追い出されること間違い無しです。

ということで、この実験については一条工務店の方にお任せします!!!よろしく~
おそらく大人になってしまったゴッキー君はなかなかの猛者ですから効果が期待できないと思いますが、室内で産卵された場合子供のゴッキー君ならアリと同程度の大きさと思われるのでかなり高い効果が期待できるのでは無いかと思います。とすると、室外から入ってしまった大人ゴッキー君は仕方ないとしても、そこで産卵して増殖することは押さえることができるのではないかと思えるのです。

もしその効果があったら防蟻ではない効果が得られます!あっ!でも、工場見学で効果を見せたらダメですよ!!お客さん逃げちゃいますから^^;;;

以上が今回の実験結果です!!
いかがだったでしょうか?なんだか、読んでくださっている方がどん引きしている音が聞こえて来そうですが、そのときはゴメンナサイ!

既知の事実を興味本位に確認するために、このような実験をすることは、生命を軽視しているというご批判もあろうかと思います。

しかし、今回私がこんな実験をしたくなったのは、もちろん好奇心が大部分を占めますが、もう一つ、どこのハウスメーカーでも防蟻剤ってアピールポイントの一つになっているのにもかかわらず、防蟻剤の効果についての実験は、防蟻剤メーカーの実験結果か、研究者の実験結果しか見つからなかったからなのです。

防蟻剤メーカーの実験結果は、最も結果が出やすい条件で行われていることは容易に想像できます。一方研究者の実験結果は、「薬剤」の効果に関する実験であって、実際の施工条件下での実験にはなっていません。

なので、実際の施工条件下での効果というのは文献から見つけることができませんでした。そのため、自分で実験をするしかなかったのです。。。イイワケデス!