前編:太陽光発電・一条工務店夢発電のリスクとその対応

こんばんは。さすけです\(^o^)/

本日は、太陽光発電パネルを10kW以上搭載した場合のリスクについて書こうと思います。

先日10kW以上の太陽光発電の話しを書いたところ、予想以上にそのリスクに関心が高いと思いました。

確かに、10kWで約300万円、20kWだとおそらく600万円程度になるのではないでしょうか?
もしどなたか見積が出ているようでしたら、コメントでもメッセージでも結構ですので、パネル1kWあたりの単価と搭載量を教えていただければ幸いです\(^o^)/

確かに、この金額は小さな額ではありません。また、無くても生活できる商品ですから、リスクを考えるのは当然と思います。

ということで、一条工務店の夢発電を使用した場合のリスク、大容量太陽光発電パネルを搭載した場合のリスクについて考えてみたいと思います。
書かれている以外に「こんなリスクもあるんじゃない?」ということがありましたら教えて下さい^^

本日から3日連続投稿で

前編:ローンとしてのリスク/施主の健康リスク/故障・劣化リスク

中編:天候リスク/火災・雹害・風災リスク←頑張ったからオススメ\(^o^)/

後編:売却時のリスク/政治的リスク/変圧器取り付け要請リスク/10年後以降の買い取り価格(余剰電力限定)/補助金が受け取れないリスク(全量買取限定)/まとめ

をお送りします\(^o^)/

リスクって何?

そもそも、リスクって何でしょうか?
リスクとは不足の事態が発生した場合に、

リスク=損害の大きさ×発生頻度

によって表すことができます。

リスクと表裏一体のものとしてリターン(収益・便益)があります。
リターンを得るには必ず大小のリスクを取ることになります。

問題はリターンに対してリスクの大きさが十分に小さいか、と言う点です。すなわち、
ローリスローリターン
ハイリスクハイリターン
のいずれかになっているか?と言うことが問題です。間違っても
ハイリスクローリターン
ということが無いことだけは確認が必要です。

人の経済活動はリスクとリターンの配分を考えて決定されます。

太陽光発電パネルを搭載することのリターンは、
将来の電気代の低減+売電利益
であらわせます。これについては次の機会に書きたいと思います。
このリターンを得るためには当然リスクが伴います。問題はリスクがどの程度なのか?そして、そのリスクに持ちこたえることができるか?ということが問題になります。

今回は太陽光発電パネルを搭載することによって新たに発生するリスクに主眼を置いて話しを進めさせていただきます^^

ローンとしてのリスク

夢発電って何?

と聞かれたら、私なら「夢発電は、10年間1%固定金利で太陽光発電設備分のお金を一条工務店から借りられるローンの一種です」と答えると思います。発電払いというと聞こえはいいけど、結局はローンです(; _ 😉

そのため、一般的ローンと同じリスクがあります。一方で太陽光発電という特性から一般のローンに比べれば低リスクになる部分もあります。

メリット

夢発電はローンだから悪いわけではありません。いくつかのメリットがあります。

第一は、「ローンに関係する手数料、金利が一般に比べると安い」という点が大きなメリットです。金利に関しては少し前までは10年固定1%だとかなり安い印象を受けましたが、最近だとフラット35Sエコ被災地版だと5年間の固定金利が0.88%、その後1.58%等という超低金利時代です。そのため、極端に低金利とまでは言えない状態になりました。

とは言え、夢発電はお金を借りるための手数料がかかりませんから依然としてコストメリットは高いと言えそうです。

第二のメリットは与信枠の保全効果があります。銀行では顧客の与信枠を設定しています。

「この人にはいくらまで貸しても大丈夫か?」という上限額が設定されています。これは年収や世帯構成、過去の支払い実績等々様々な条件が考慮され決定されます。通常銀行でローンを組めば与信枠の中でお金を借りることになりますが、一条工務店が会社の持つ現金を貸し出すわけですから、銀行ローンとは異なり与信枠を使うことなくお金を借りることができます。
家を買う際に与信枠ぎりぎりまでお金を借りる方はなかなかいないかと思いますが、与信枠は将来カーローン、学資ローンなどを使うことになった場合に、保証料等の低減効果が期待できるため大きなメリットの一つと考えます。

オーバーローンになってしまうリスク

お金は借りられる額が返せる額ではありません。銀行はお金を貸すことが商売ですから、できる限りお金を貸したいのです。ただ、返してくれなくなっては身もふたもなくなるので、生活を切り詰めてぎりぎりで返せる額を与信枠として設定します。

住宅購入に関する書籍などで、しばしば書かれることですが、借りられる額を借りてしまうと後々返すのに苦労することになります。これをオーバーローンと呼びます。

先に第二のメリットで挙げた与信枠の保全効果は、裏を返すとオーバーローンのリスクも含んでいることが分かるかと思います。

しかし、ここが一般のローンとは大きく異なる点で、通常私達個人がローンで購入した商品は「お金」を生み出すことはありません。しかし、夢発電で購入した太陽光発電パネルはお金を生み出してくれます。

そのため、通常は単にお金を余分に借りたのではそれはオーバーローンのリスクが上昇してしまいますが、ローン返済額を上回る収益を上げることができるならば、オーバーローンになってしまうことはありません。

よって、夢発電は事業者として太陽光発電設備に投資をするために投資資金を借りていると捉える方が合理的だと思います。

通常、個人投資家が借金をして投資を行うことは禁じ手ですが、太陽光発電の場合は下記で述べるとおり、リスクが相当に低いため、問題は少ないように思っています。

施主の健康リスク

ローンを借りた人が体を壊し、最悪死亡してしまった場合のことは長期ローンにおいては常に考えなくてはならないリスクです。

一般に住宅ローンの場合は団体信用生命保険に加入し、施主が死亡してしまった場合などこれまでに得られていた収入が途絶えた場合に降りる保険に入ることで、万が一のことがあってもローンが残らないような仕組みを持っています。

しかし、夢発電は住宅ローンとは分けて、個別に組んでいるローンですから、施主が死亡してしまったような場合にも、支払い義務が残ってしまいます。

太陽光は施主が死亡してしまってもその家に住み続ける限りは、発電を続けてくれますから、直ちに負担になるようなことはありません。よって、このことは直ちに大きなリスクとはなりません。

ただ、家主が死亡してしまったことによって、何らかの事情から家を売却をせざるを得ない状況等も考えられるため、ローンを借りた人に太陽光発電パネルの購入分、すなわち夢発電で借りた金額と同程度の生命保険をかけておくことが推奨されると思います。そうしておけば、万が一家主が死亡してしまった場合においても、負担を最小化して売却することが可能になります。

300万円の追加的生命保険料ですと、ライフネット生命の場合月額500円、年額6000円、返済期間に相当する10年間で6万円、さらに就労不能保険が月々の返済額に相当+αに相当する5万円を追加すると月額1000円となり、10年分で12万円となります。

以上、ローンの借り主の健康上のリスクは、家を転売しない場合は無視することができます。転売のリスクがあるならば10年間で18万円の追加的保険でカバーすることができます。

故障・劣化

多くの方が太陽光発電パネルを搭載する上で直感的に最も恐れるリスクはこのリスクと思います。故障と劣化について部材ごとに考えます。

パネルの故障・劣化

太陽光発電パネルはその構造から、物理的な破壊が無い限りは故障はほとんど無いと考えられます。
太陽光発電はパネルにに組み込まれた半導体が光エネルギーを電気エネルギーに変化することによって発電を行います。パネルは半導体を保護するため強化ガラスによって表面を保護されており、表面に付いた汚れやキズによって徐々に発電性能が劣化していきます(透過率の低下)。一条工務店が私達に渡すシミュレーションでは1年間の劣化率を1%としていますが、そもそもこれが事実であるかという点にも不安があるものと思います。
筑波大学と産総研の共同研究の結果によると、その性能劣化率は5年間の変化で、1年当たり0.46%から0.55%という結果となっています。
さらに長期の試験結果ではDunlopさんという方たちのグループの論文があり、20年から22年間の総合的性能劣化試験が行われています。
こちらの結果によると、20年間の性能劣化は6.0%であったという結果になっています。これを年率の劣化率に換算すると0.29%/年となります。
以上の2つの研究結果から、現実的な1年当たりの性能劣化率は0.5%程度であると推測されます。年率0.5%で性能が劣化すると言うことは、10年間で約5%、20年間では約10%の性能劣化になります。1年間に30万円分発電をしていたパネルなら10年後には28.5万円、20年後は27万円分の発電しかできなくなってしまうことを意味しています。よって、20年後のパネル自体の性能劣化による損失は最大10%程度を見込んでおけば良いと考えます。

配線の故障・劣化

配線の故障や劣化も考えられますが、これは屋内に配線されている部分が大部分であり、売電電力量に大きな影響を与えるほどの劣化はまず無いと考えられます。また、万が一起こった場合でも、10年以内は一条工務店の保証範囲と思うので、無視します。

パワーコンディショナーの故障(ちょっとややこしいです。不明点があればご指摘下さい。)

太陽光発電システムの劣化、故障で最も起こりやすいのはパワーコンディショナーの故障であろうと思います。
パワーコンディショナーは太陽光発電パネルが発電した直流電流を電力会社が送ってくる100Vの交流に変換するための装置で、概ね想定される寿命は10年から15年程度です。
パワコンの中で劣化しやすい部品は調整コイルに使用されている絶縁材料、電解コンデンサなどかと思われます。絶縁材料が劣化すると効率の低下、絶縁破壊による故障が考えられます。
パワコンの価格は現在の市場価格で1台20万円から30万円、一条工務店の夢発電のケースでは1台のパワコンは5.5kWの出力なので、10kWのパネルを搭載した場合2台のパワコンを使用することになり、交換に40万円から60万円の費用がかかることになります。
パワコンの性能劣化による売電価格への影響は不明ですが、概ね年率0.5%程度であろうと思います。根拠としては、多くのメーカーの出力保証が10年間で10%の劣化、20年間で20%の出力低下が起こった場合にはメーカー保証の範疇となります(一条工務店のシステムは出力補償はありません)。これを年率に換算すると年率1%の性能劣化が発生した場合と言い換えることができます。よって、パネルの劣化を年率0.5%とした場合、パワコンの劣化は残りの0.5%であるため、最大で0.5%程度の出力低下が起こると考えられます。パワコンを交換すると売電額が増える?
パワコンの交換はリスクばかりが言われることが多いように思います。しかし、実際にはメリットもあると思われます。
仮にパネル搭載量を10kWと仮定し、パワコンが年率0.5%で性能劣化するならば、20年間同じパワコンを使用し続けた場合と、10年間でパワコンを交換して性能劣化をリセットした場合、全量買い取り制度のケースでは最大29万円の差額が生じます。
10年後にパワコンを交換することで性能劣化をリセットすることができ、その後の10年間の売電収益を29万円多く得ることになります。
余剰電力買い取り制度の場合、11年目からの売電価格は未定ですが仮に24円で計算すると、パワコンの交換は約16万円の売電収益の増加につながります。
さらに、先に説明したとおりパワーコンディショナーというのは太陽光発電パネルが発電した電力を交流に変換する装置ですが、その変換効率は一条工務店のケースで94%(確か?)すが、10年後には性能は向上していることが期待できます。現時点で効率の高い装置は97%程度の変換効率を実現しており、将来はより高性能化が進むことが期待されます。仮に98%まで変換効率が上昇した場合、売電収益を4%押し上げます。
よって、10年後に高性能なパワコンに変更した場合、その後10年間の売電収益約400万円の収益の4%=16万円押し上げることが期待できます。
パワコンを交換することは支出につながりますが、パワコン交換に伴う、性能劣化リセット効果、性能向上分を加味すると10年後にパワコンを交換することで全量買い取り制度の下では45万円ほどの収益向上、余剰電力買い取り制度の下では25万円程度の収益向上につながります。
さらに、パワコン価格は丸ごと交換した場合に40万円から60万円の費用が発生すると言うことであり、現実的には丸ごと交換ではなく、劣化部品の交換によって対応されることになるでしょう。そのため、修理対応で済めば半額以下の金額になると思われます。
もしかすると、パワコンは故障したから交換するのではなく、交換した方が得するので交換することになる可能性もあると思います。これは古い家電を使い続けるよりも新しい家電に変えた方が安くなるのと原理的に同じことです。
また、パワコンには10年の保証期間が設定されています。すなわち10年以内の故障は無料で修理してもらえますから、リスクにはなりません。よって、有償修理になるのは早くても今から10年先になります。
固定価格買い取り制度が導入された主な理由として、太陽光発電を一気に普及させること、すなわち低価格化を図ることが挙げられます。よって、10年後にはパワコン価格も相当程度に安くなっていることが期待できます。
以上のことを考えると、確かにパワコンの交換、修理はお金のかかる問題ではありますが、収益悪化に対する影響はそれほど大きくないと言えるように思います。10年後にパワコンの交換をするつもりで、夢発電の返済が終わった後1年分の収益程度は現金として貯蓄しておけばリスクを回避できるように思います。10kW前後の搭載量であればこの費用も売電から賄えますからリスクはほぼ無いでしょう。
・ シミュレーションの劣化とのずれ
一条工務店が行うシミュレーションでは、年率1%の性能劣化が考慮されているため、先に示したパネルの性能劣化、パワコンの性能劣化が考慮されていると考えることができます。よって、性能劣化のせいでシミュレーションと大きくかけ離れた結果になることはないように思います。