新年明けましておめでとうございます。さすけです\(^o^)/
大変ご無沙汰してしまいました!!!
海外出張が続いて、中国に行ったらブログへのアクセスがほとんど行えず、だらだらと更新を滞らせてしまいました^^;;
書きたいこともたまってしまっているのでブログを更新していきたいと思います^^
一条工務店と防蟻処理
一条工務店の防蟻処理は一条工務店の売りの一つだと思います。
で、そんな防蟻処理についてちょっと不安?なニュースがありました。
(一条工務店が行っている防蟻処理についてはこちらに詳しくまとめています。)
日本経済新聞1月2日電子版に「ミツバチに毒性懸念の農薬、人間の脳にも影響か」という記事がありました。
EUで食品の安全性を評価している欧州食品安全機関(EFSA)がミツバチの大量死に影響していることが懸念されるネオニコチノイドという農薬について「低濃度でも人間の脳や神経の発達に悪影響を及ぼす恐れがあるとの見解をまとめた」、というニュースがありました。(EFSA原文リンク)
何のこっちゃ?
と思われる方も多いと思います。。。
このネオニコチノイドという農薬・・・・一条工務店が2012年からEPSの防蟻処理に採用したニッソーコートという防蟻剤の主成分だったりします。
2012年6月以前はEPSの防蟻処理はACQという銅とアンモニアの化合物が使われていましたが、ちょうど私の家の建築が始まったころにEPSの防蟻剤がACQからニッソーコートに変更になったようでした。
ということで、一条工務店の家に住むと言うことは、この「低濃度でも人間の脳や神経の発達に悪影響を及ぼす可能性がある」という、ネオニコチノイド系農薬に囲まれてしまっている状態になるということに他ならなかったりします。。。。特に胎児、乳幼児の影響として、発達障害、ADHD(注意欠陥・多動性障害)の原因物質としての懸念も指摘されています。
やっぱりね。。。。ちょっと気になりますよね。。。
ということで、現在、私にわかる範囲でこのネオニコチノイド系農薬の有害性と懸念事項について書いてみようと思います。
何が気になるの?
今回、先のニュースを見て気になったのは「低濃度でも影響がある」という点です。
どんなものでも影響の強弱はあれ、高濃度で摂取すれば何らかの影響がある事は容易に想像がつきます。
そもそも、防蟻剤のような用途で高濃度の農薬に人間が接触することは考えづらく、一般的には食品中に故意に混入でもしない限り人間が防蟻剤に高濃度で接触することは考えられません。よって、このニュースが「高濃度で影響がある」ということであれば、特に驚きはありませんでした。
しかし、低濃度で人間、特に胎児や幼児の発達障害に繋がる可能性が指摘されたため、簡単に無視はできなくなります。どのような物質も、一定量の揮発はあります。防蟻剤の特性上揮発性は十分に低いと思われますが(揮発性が高いとすぐに有効成分がなくなってしまう)、低濃度で影響があると言うことであれば揮発性が低いから大丈夫とは言い切れなくなってしまいます。
例えば、一条工務店の防蟻処理は10年に1回の再施工を推奨しているそうです。ということは、10年程度で有効成分であるネオニコチノイド系農薬が薬効を発揮するには十分ではない程度に環境中に拡散する事を意味しています。
ここで言う環境中とは住宅内外です。すなわち、私達の生活空間中に人間、特に乳幼児の神経発達に害を及ぼすことが懸念される物質が拡散する事を意味しています。
それはちょっとやっぱり気になるわけです。。。。
ネオニコチノイド系農薬って何??
一条工務店が防蟻処理に使用しているニッソーコートAWの主成分はネオニコチノイド系農薬とされています。
ネオニコチノイドとは、名前の通り「新しいニコチン」という意味です。ここで言うニコチンはたばこの中に入っているニコチンの事です。
ニコチンは大昔から殺虫剤などに使われてきました。しかし、ニコチンは人間や牛や馬などの家畜にも毒性があり、農作物に大量に使うことは難しい農薬でした。
そこで、ニコチンと似た形の化学物質で、ほ乳類には影響が出ない形の化学物質として開発されたのが、「新しい(ネオ)ニコチノイド系農薬」です。
ネオニコチノイド系農薬は昆虫に対して選択的に効果を発揮し、昆虫の神経を興奮させ続けることで昆虫のみを殺傷する効果を得られる農薬として注目されました。
しかし、ここで問題が生じます。。。
ネオニコチノイド系農薬はほ乳類に対する影響は少ないのですが、昆虫に対して強い毒性を発揮します。大きな影響が懸念されるのがミツバチです。
ミツバチの大量死(失踪)に関するニュースをご覧になったことがある方も多いと思いますが、このミツバチの大量死の主原因とされているのが、このネオニコチノイド系農薬です。(参考:蜂群崩壊症候群)
ミツバチに大きな影響を与える事から、ネオニコチノイド系農薬に対する規制は高まりつつあり、また、国内でもネオニコチノイド系農薬の使用に反対するNPOなども設立されています。
ただ、これまではネオニコチノイド系農薬の悪影響の主は、昆虫、特にミツバチへの影響であって、人間を含むほ乳類への影響についてはあまり議論されてきませんでした。そもそもミツバチへの影響についても2012年3月に科学雑誌Scienceに掲載された2本の論文でネオニコチノイド系農薬がミツバチの成長や繁殖を阻害すると言う内容の論文が掲載されたことで、ネオニコチノイド系農薬が犯人である事が広く知られるようになりました。
EUでは、これを受けて2013年からネオニコチノイド系農薬の一部を2年間使用禁止にしました。
しかし、ここまではいずれも「ミツバチ」という益虫を保護することが目的でした。
しかし、今回流れたニュースでは「人間」への影響ですから、これまでの状況とは大きく異なっています。
お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、ネオニコチノイド系農薬というのは1種類の化学物質のことではなく似た化学物質の総称です。一条工務店が防蟻剤として使っているニッソーコートはおそらく「アセタミプリド」というネオニコチノイド系農薬であろうと思っています。(間違えているかも知れません。)
インターネット上で探した限りニッソーコートの成分に関する情報は見つかりませんでした。しかし、アセタミプリドを発見したのはニッソーコートの生産元である日本曹達(ソーダ)なのです。その他のネオニコチノイド系農薬は別の会社が権利を有しているため、たぶんニッソーコートの主成分はアセタミプリドであろうと思っています。
一条工務店が使うニッソーコート(アセタミプリド)の人間への影響
日経の報道によれば、EU食品安全機関が人間への影響が懸念されるとしたのは、アセタミプリドとイミダクロプリドの2種類となっています。アセタミプリドは一条工務店がEPSの防蟻剤として使用するニッソーコートの主成分と思われる物質です。
そして、EU食品安全機関はアセタミプリドについては、1日摂取許容量を従来の規制値の3分の1にするよう勧告を行いました。
よって、一条工務店がEPSの防蟻処理に使用しているニッソーコートは人間への影響が懸念されるという結論になります。
また、ニッソーコートの販売元である日本曹達もプレスリリースを発行しています。
ちょっと余談ですが、EUがネオニコチノイド系農薬に関する勧告を出すきっかけになった論文は東京都医科学総合研究所の黒田(木村)純子氏の論文を根拠としています。この研究は文部科学省の科学研究補助金によって行われた研究になります。
同じ日本人の研究者として、世界的な政策に影響を及ぼす研究が日本人研究者の手によって行われていることを嬉しく思うと同時に、国税による研究によるにも関わらず政策への応用が日本発ではなくEU発になってしまっている点を寂しくも感じます。
アセタミプリドの人への影響量
日経の記事、EU食品安全機関の発行文書、日本曹達のプレスリリースを眺めていると気になる点が出てきます。
日経の記事では「低濃度で人間への影響」とありますが、EU食品安全委員会の発行文書では「低濃度」というような単語は見当たりません。日本曹達のプレスリリースでは「ラットの脳培養神経細胞に対して直接かつ高濃度で処理した結果、ニコチンと同様な作用が認められ、脳の神経細胞の発達に影響を及ぼす可能性があると文献に発表しました。」と発表しています。
日本曹達のプレスリリースを読むと相当特殊な実験である様子が醸し出されています。
これだけ見ると、日経の報道と日本曹達のプレスリリースは低濃度 v.s. 高濃度になっていて、真逆の様に感じてしまいます。
どの情報を信じるかでは占いになってしまいますから、もう少し調べてみます。
結論を言っておくと、両方の情報が正しくて、両方の情報は少しずつ元の情報をねじ曲げている様に思います。
ということで、そういうときは元文献を確認するのが一番手っ取り早いので、元文献を見てみます。
で、元文献を見ると・・・
専門外なので言葉が全然わからない!!(゜ロ゜)
ということで、日本語の文献も見つけました。こういうとき助かります^^;
大まかに要約を要約すると
「発達期のラット小脳神経細胞培養を用いて、ネオニコチノイド2種(アセタミプリド、イミダクロプリド)の影響を調べたところ、ニコチン同様に1μM(マイクロモル)とごく低用量から興奮性反応を起こすことが明らかとなった。ニコチンは子どもの脳発達に悪影響を及ぼすことが確認されており、ネオニコチノイドによる子どもの脳発達への影響が懸念される。」
となっています。
日本曹達が言うように細胞実験である点は事実ですが、「高濃度」とは著者は行っておらず、「ごく低容量」と書いており、さらに「子どもの脳発達、胎児への影響が懸念される」という点を指摘しています。
ただし、アセタミプリドなどネオニコチノイド系農薬が人間にどのような形で影響を及ぼすのか、また、ネオニコチノイド系農薬の種類による人間への作用の違い、さらには、現在多く使用されている有機リン系農薬がネオニコチノイド系農薬と複合的影響を及ぼす可能性が想定されるとして、詳細な研究は今後の課題とされています。
もう少し突っ込んで・・・自閉症・発達障害への影響
先のEUが発した勧告の元となったら論文の著者である黒田純子氏が書いている
「自閉症・ADHDなど発達障害増加の原因としての環境化学物質 ―― 有機リン系,ネオニコチノイド系農薬の危険性環境化学物質 」
という文書を書いています。
この文書の中では、ニコチンは胎児や脳に対してその関門を容易にすり抜け、発育過程にある胎児や幼児の脳に対してニコチンと同様の影響を与える可能性が指摘されています。
妊娠中の喫煙は胎児の低体重、早産、乳児突然死、ADHDのリスクを高めることが知られており、ネオニコチノイド系農薬も同様の問題を引き起こしている可能性を指摘しています。
ただし、上記のネオニコチノイド系農薬の胎児・乳幼児への影響は学術的に確認されたものではなく、懸念に留まっていることに注意が必要です。しかし、それは一般の人が何となく怖いという懸念ではなく、学術論文を取りまとめる程度に専門的な研究者の知識と経験に基づく直感的懸念である以上、無視することはできない指摘であるとも感じます。
で、結局一条工務店の家の防蟻剤は安全なの??
わかりません!!!
ただし、懸念があることは明らか、です。
特に、妊娠中の胎児、乳幼児への影響は気になるところです。
今回、EUが勧告を発したのも、ネオニコチノイド系農薬が胎児などに影響を与えることがはっきりわかったから、ではなく、可能性が高そうだという科学的根拠が出されたことから勧告を発しています。勧告を発して、今後影響が少ないことがはっきりとわかれば基準値を引き上げれば良いし、逆に、人間の脳発達に悪影響があることがわかれば禁止または使用量の削減に取り組むことになります。
もっと言うならば、どの程度の量で人間の脳発達に影響を及ぼすのかさえはっきりはしていません。ただ一つの目安は、EU食品安全機関が新たに定めた体重1kg当たり0.025mg/日という基準値だと思います。日本の基準値は、体重1kgあたり0.071mg/日なので、それよりも3分の1程度に低減する必要があるということになります。
で、結局一条工務店の家の防蟻剤は安全なの??2回目
これは個人的直感ですが、現状ネオニコチノイド系農薬が問題となるのは、残留農薬による経口摂取が主たる原因と考えます。
ネオニコチノイド系農薬が使われる理由として、農作物への浸透性が高いことが挙げられます。浸透性が高いため、農作物の葉の中に入り込んでしまった害虫も駆除できるためです。しかし、浸透性が高いということは、その農作物をどんなに洗ったとしても農薬を除去することはできないことも意味します。
現在のアセタミプリド系農薬の残留基準値は、こちらのサイトからご覧になれますが、例えば茶葉の残留農薬基準値は30ppmとなっていますが、EUの基準値は0.1ppmとなっています。
仮に茶葉に30ppmのアセタミプリドが残留した茶葉で250mlのお茶を作って、体重25kgの子供がそのお茶を1日で飲んだ場合、1日のアセタミプリド摂取量は体重1kgあたり0.249mg/日のアセタミプリドを飲んだ事になります。それ以上のお茶を飲めば基準値を超えてしまいます。EUの基準であれば、0.001mg/日以下ですから1日の許容摂取量には遠く及びません。
そのため、日本においてはアセタミプリドの食品からの摂取の可能性が高いと考えます。
一方で、今回のEU食品安全機関の発表では主に経口摂取を示していますが、一般に呼吸器からの摂取は経口摂取に比べて脳や血液へより低濃度でも到達します。食品は胃や腸を通過して、その後血液に入り細胞に入りますが、呼吸によって摂取した場合は肺にある肺胞から血液に直接渡り、それが細胞や脳へ循環していきます。
防蟻剤が私達の体内に入り込む経路を考えると、直接なめたり触ることはほとんどないため、経口摂取は考えづらいと言えます。一方で、防蟻剤が何らかの経路で室内に揮発・飛散することで呼吸器からの摂取の可能性が高いように思います。
そのため、空気中から呼吸を通じて摂取した場合は遥かに低濃度であってもリスクを高める可能性は否定できません。
じゃあどうすれば良いの?
現時点では、私達顧客の側には対策の立てようがありません。
私自身の個人的考えとしては、自然界で生きる以上、そしてそれをコントロールしようとする以上常にリスクはあります。その点から考えても、
一条工務店は直ちに防蟻剤を変更すべきだ、などとは全く思っていません。
では、一条工務店は何もしなくて良いか?ということでもありません。
これまでは防蟻剤としてのネオニコチノイド系農薬には健康上の懸念は指摘されてこなかったわけですが、それが強く懸念される状態になった以上、一条工務店としては
1. ニッソーコートの主成分の開示
2. その濃度とEPS塗布に使用している使用量の開示
3. アセタミプリドの室内外への揮発蒸散量
4. 呼吸器からのアセタミプリド摂取の作用機序研究
といったデータを開示すべきと思います。
1と2については手元にデータがあるでしょうから、すぐにでもホームページ上で開示可能と思います。3については、おそらくデータがないでしょうから第三者機関に依頼して半年程度を目処に情報を開示するアナウンスをして、情報開示を行えば良いと思います。もしも3で室内への揮発蒸散量が想定する範囲よりも大きい場合は、呼吸器からアセタミプリドが体内に入ることによるリスク評価を実施する必要が出てくると思います。4については一条工務店が実施する事ではなく日本曹達が行うべき内容と思いますし、日本曹達は農薬として販売している以上、既にこのようなデータは保有しているのでは無いかと思います。ただし、日本曹達自身にはそれを開示するメリットがありませんから、一条工務店のように大きな取引先がデータの開示を求めるというのが妥当なラインなのだと思います。
最後に
ここまで読まれると、アセタミプリドを主成分とする可能性が高いニッソーコートを自分の家の防蟻剤として使うことはもの凄く怖いことの様に感じられる方が多いのではないかと思います。
特に、家を建てる方の多くは結婚したばかりでこれから妊娠出産を予定している方や、お子さんが小さいうちに家を建てて幼稚園や小学校に入ったら引っ越しをしなくて済むようにしようという考えで、家を建てられる方が多いのではないかと思います。
そのような中で、胎児への脳の発達障害や、将来の多動性障害の懸念があるなどと言われると恐ろしくなってしまう方もいらっしゃると思います。
しかし、どうかあまり怖がらないで下さい。
私がこの文章を書いた目的は、誰かを怖がらせたり、一条工務店を批判することが目的ではありません。私達は「リスクがある可能性」を知り、それを踏まえた上で判断することが重要なのだと思います。
私が一番怖いのは、リスクがあることを知らないまま、ある日、突然問題が顕在化する事こそが一番怖いと思います。
また、先にも書きましたが、これは一条工務店が公開していない以上、なんとも言えませんが、こうして書くことで一条工務店はすぐにでもアセタミプリドが使用されているのか、そして室内にどの程度拡散しているのかを調査して開示する機会を得ることになります。誰かを怖がらせないために、誰も何も言わなければ知らないうちに問題は深刻化していくだけだと思うのです。
一条工務店は自分たちが販売した家が「怖くない」根拠を科学的に示す義務があると思っています。
それさえきちんとしてくれるならば何も問題はないと思います^^
もちろん、そういった情報開示を一切しないというのも手だと思います。ただし、情報開示も対策もしなくて数年後に、Scienceにアセタミプリドの呼吸器からの摂取が多動性障害の原因物質であると示されたら。。。。ね、そっちの方が怖いと思います^^;
私達顧客にとっても、一条工務店にとっても「最も怖くない方法」は、情報開示とそれに基づいた対策なんだと思います!