こんばんは。さすけです\(^o^)/
一条工務店で家を建てようと思って、展示場に行き、営業さんがつくと必ずアピールされるのが「高断熱高気密住宅」である事だと思います。
そして、高断熱高気密である証拠としてC値とQ値という2つの値が示されます。
今回はC値が経年劣化によってどの程度悪くなるのか?について書きたいと思います。
一条工務店のC値って信頼できるの?
C値とは、住宅の隙間の空き具合を示す指標です。
一条工務店のi-smartなどのC値は0.61㎠/㎡などという値で示されます。
この値は、住宅の延べ床面積あたりの隙間の大きさを示しています。我が家のC値は建築途中の測定で0.6㎠/㎡でした\(^o^)/
ほぼ一条工務店の平均値ということになります。
で、しばしばある指摘として
一条工務店のC値は建築途中の測定値で信頼できないのではないか?
という疑問ですが、これについては我が家は独自に測定してみたところ、引き渡し後のC値は
C値=0.73㎠/㎡
となりました。
ちょっと値は悪くなりましたが、これについてはこちらの記事でなぜ建築途中に測定する必要があるのかについて書いており、個人的には疑問はありません。
しばしば指摘されるC値の疑問はもう一つあります。
C値は住宅の隙間の面積です。
そして、営業さんや監督さんたちは、ことある毎に「木は動きます」と話します。
木が動いたらC値は変化してしまうのではないか?
すなわち、一条工務店のC値は建築当初だけ良くて、その後は悪化していくのではないか?と言う疑問です。
引き渡し直後は「高気密」だったのに、5年経ったら営業さん達が言うところの「低気密」、低気密まで行かなくても「中気密」になっているのではないか?ということです。。。。
我が家で測定して結論を出せれば良いのですが、引き渡しから1年しか経過していないため「経年変化」を測定するのは、もうしばらく時間が必要と思います。
一条工務店の住宅のC値については色々な見解があると思います。
営業さんによっては、「C値はほとんど変化しない」なんて言っている方もいるようですが、同時に「木は動く」と言っている時点でかなり無理があります。
個人的予想では、C値はかならず経年劣化が見られるはずと思います。
しかし、その経年劣化がどの程度であるのかがわからないでいました。。。
5年経過した家のC値・・・かなり下がってます・・
そんな中、先日、5年前に一条工務店セゾンで家を建てられたArataさんからコメントを通じて、こちらの記事にコメントをいただきました。コメントの内容を抜粋させていただくと
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さすけ様、初めましてArataと申します。
昨日セゾン築5年後のC値を計測しました。
結果報告書提出待ちですが、立ち会って数値確認いたしておりますので経年変化の御報告まで
・施行中の検査(3回計測平均値0.66)
・5年後の計測値1.5です
(以下略)
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という情報をいただきました。Arataさんはブログも書かれていて2009年2月にC値の測定について書かれていました。2014年1月に再測定をしたところ、C値は1.5になっていたとのことでした。
建築途中のC値測定では、窓に目張りをして測定していたとのことですので、建築当初のC値は0.66よりも少し悪くて、0.7~0.8㎠/㎡であったと予想できます。それが5年経過して約2倍の1.5㎠/㎡になってしまったとのことでした。
我が家のC値も0.73㎠/㎡でしたから、5年経過後は1.5㎠/㎡程度になる可能性が高いという事になります。
一条工務店が「中気密」として指摘している大手ハウスメーカーのC値は概ね1.5~2㎠/㎡程度です。
もちろん、上記の大手ハウスメーカーのC値は引き渡し直後の値でしょうから、この値も経年劣化して、C値はより悪化すると予想されます。よって、5年経過後のC値はやっぱり高気密施工をした一条工務店の家の方が性能が高い、ということも言えそうな気がします。。。
が、本当にそうだろうか?
というのが私の感想です。
C値は経年劣化していくもの?
例えば、1㎡の壁に半径1mmの穴(面積約3㎟)の穴が33個空いていたとします。合計で1平方センチの穴です。これが、経年劣化によって5年経過したら穴の半径が0.1mm大きくなってしまったとします。
すると、穴の面積は約1.2倍になります。
しかし、当初の穴の半径が2mmで、経年変化により穴のサイズが同じ0.1mm変化した場合、穴の面積は当初に比べて1.1倍しか変化しません。
穴の半径の変化量が同じでも、穴の面積への影響は穴の大きさが大きいほど小さくなります。
比率で計算すべきではないかというのも若干感じはするのですが、多分、時間が経過したときの木材の変化量は比率では変化しないように思っています。
このことは、C値についても同じではないかと思います。
すなわち、C値の悪い(穴の大きさが大きい)家よりも、C値の良い(穴の大きさが小さい)家の方が経年によってC値が悪化しやすいのではないか?
と思うわけです。
そうなるとですよ。一条工務店のようにC値が良い家は経年変化によってC値が悪化しやすく、他のハウスメーカーのようにC値がそれほど良くない家ではC値は悪化しにくい、という可能性もあります。
で、5年くらいたったら、C値のことを気にしながら建てた家でも、C値のことを気にせずに建てた家でも性能は同程度になってしまうこともあり得るのではないか?
と思うのです。
FPの家がC値劣化に関する情報を公開してくれていた!
気になってしまった以上、止まりません!!
そこで、データを探してみました。。。。
が、一条工務店は、C値の経年変化の測定を絶対にしているはずですが、ネット上ではそのような情報は見つかりませんでした。。。。
しかし、非常に参考になりそうなデータを発見しました\(^o^)/
「FPの家」という高断熱高気密住宅の施工を得意とする工務店のグループが、非常に参考になるデータを開示していました。
上記は、FPの家が建てた住宅の新築時のC値と1年~14年経過した後に測定しなおしたC値の測定結果を示したグラフです。
FPの家は高断熱高気密住宅にかなり力を入れているので、新築時の平均C値は0.48㎠/㎡と一条工務店よりもさらに高気密です。
それが、1年から14年の時間が経過したらC値が0.78㎠/㎡に変化したということを示しています。
経年変化の期間として1年のデータも含んでいるため、必ずしも妥当ではありませんが、経年変化によってC値は約1.6倍になったということを述べています。
この資料はFPの家が作成した資料で、データの計算方法には少し違和感がありますが、非常に有用なデータです。というか、このようなデメリット情報をきちんと提供しているという姿勢は本当に素晴らしいと思います!
文言的に「経年による変化がほとんどなかったことを確認しています」は個人的にはちょっと言い過ぎとは思います。。。「経年変化はあるけれど、それでも一般の住宅よりも遥かに高気密」ぐらいの言い方の方が信用できるのにな~と思います。
FPの家の関係者が読んでいるとはあまり思えませんが、FPの家と一条工務店のお客さんはかなり競合している様に思います。
どうせなら、FPの家の宣伝として
「本当に高気密を求めるならばC値は0.4㎠/㎡以下にすることが必要です。なぜならば、C値はどうしても経年で悪化してしまいます。我々の測定の結果では1.5倍から2倍程度悪化してしまいます。高気密を1.0㎠/㎡とするならば(注:一条工務店の見学会でそう言っていた)、私達は引き渡し直後だけではなく、お住まいになられてから長期的にその性能を保って欲しいと考えており、C値が経年劣化を起こしても1.0㎠/㎡を保ちたいと考えています。仮にC値が0.6や0.7ならば5年後には間違いなくC値が1.0を上回ってしまいます。FPの家では引き渡し後もずっと高気密高断熱の住宅に住んでいただきたいと考えているため、引き渡し時点でのC値を0.4㎠/㎡以下にするよう施工をしています!」
とか説明したらどうですかね?これで一条工務店より高性能な住宅を提供していて、かつ、デメリット情報を自社の強みに変えるることだってできるのにな~なんて思いました^^
宣伝資料なのだから仕方ないのかも知れませんが、ここまでしっかりとデータを取得して分析しているのにもったいない気がしたので一応書かせていただきました。あと、せっかくここまでやるならデータに経年の時間を表現して欲しかったです!
とちょっと思いましたが、少なくとも、一条工務店は公式にはC値の経年変化に関する情報を全く開示していないのに、FPの家はしっかりと開示しているというだけで、非常に好印象です^^
開示しないと言うことは、住宅性能の経年劣化に自信が無いんじゃないかとか、色々勘ぐってしまうのです。少なくともFPの家という中小工務店の集団がこれだけのデータを出しているのに、同様の測定をしている大企業である一条工務店がデータを開示できない理由は。。。なんなんでしょう??(と嫌みを書いたら情報が出てこないかと期待しています\(^o^)/)
せっかくなのでもっと分析してみよう!
FPの家と一条工務店i-smart,i-cubeは共に2×4工法ですから、上記のデータは一条工務店の家でも似た結果になるのではないかと予想できます。
そこで、FPの家が公開してくれているデータをもう少し分析してみようと思いました。
まずは、FPの家が公開しているデータをExcelデータに起こしました\(^o^)/
FPの家のグラフからデータだけを取り出したのが上図です。データの取り出しはGraphecelというフリーソフトを使用しました。青い点が新築時点、オレンジの点が経年(1~14年)後の値になります。延べ床面積はおおよそ90㎡(約30坪)~250㎡(75坪)の範囲のデータになります。
このグラフはC値によるグラフではないため、上図を横軸延べ床面積、縦軸C値のグラフにしてみます。
おそらく、最も一般的と思われる100㎡(33坪)~165㎡(50坪)あたりのデータを見てみると、C値は0.2~0.4㎠/㎡あたりになっています。一条工務店のC値の半分程度と言った印象です!スゴイですね~^^
上図ではC値にかなりばらつきがあるように見えますが、これは予想ですが、おそらくFPの家は工務店のグループですから、一条工務店のように厳しい「ルール」を作らずに施工していると思われます。一般にC値は住宅の形状が複雑になると悪化するため、複雑な形状の住宅のC値が悪く見えるのではないかと思います。
新築時のC値と経年変化後のC値の値
で、上図で、経年後のC値はオレンジで示してあります。上図ではちょっとわかりにくいので、横軸に新築時のC値、縦軸に経年後のC値をプロットしてみました\(^o^)/
お~結構綺麗なグラフになりました!!
このグラフに近似線をひっぱると、ばらつきはあるものの
という結果になりました。データに含まれる経年が1~14年と広範囲であるため、すぐには結論できませんが、この式を我が家に当てはめると約5年経過後のC値はおおよそ1.0㎠/㎡になると予想されます。
そして、上記の数式からもう一つわかることがあります。。。
上記の数式の傾き1.13です。すなわち、経年後のC値は初期値の1.13倍に変化するという事になります。C値自体は初期値から13%しか増大しないことを意味します。しかし、その後の定数項がくせ者です。この値が0.22となっています。
すなわち、C値の初期値に寄らず時間経過と共に、有無を言わさずC値が0.22増加することを意味しています。
よって、C値が良い家(値が小さい)家ほど、この定数項の影響を大きく受けます。
例えば、C値0.2の家は経年後、0.45㎠/㎡になると計算されます。倍率で言うと2.25倍です。対して、C値1.0の住宅の経年後C値は1.35㎠/㎡となります。倍率では1.35倍にしかなりません。
対して、外部から入ってくる「すきま風」の量はC値に比例します。C値が2倍になればすきま風の量も2倍になります。。。。
最初の方で少し書いたように、C値が悪い(いわゆる中気密、低気密)の住宅は経年劣化による影響を受けにくく、C値の値が良い(高気密)住宅ほど経年劣化の影響を受けやすいと言えそうです。
C値の値と変化率
グラフをもう少し見やすくしてみます。横軸に新築時のC値、縦軸に経年後にC値が何倍になったかを示したグラフです。
新築時のC値が0.2以下だったお宅では経年後C値が最大で4倍弱になっているのに対して、新築時C値が高いお宅では2倍以下となっています。
FPの家はそもそも高気密なので、新築時C値が1以上のデータがないことや、経年の時間が1~14年と広いため、言える事は限定的ですが、傾向としては新築時のC値が悪いお宅の方が経年の影響を受けにくい傾向は見て取れます。
で、一条工務店の家はどうなの??
上記はあくまでFPの家のデータです。上記のデータがそのまま一条工務店に当てはまるとは思えません。
Arataさんからの情報では、建築当初のC値が0.66であったのが、5年経過後に1.5になっていたと言うことですからC値は約2倍になったと言うことになります。FPの家では平均変化率は1.7程度ですからFPの家よりも少し劣化率が高いようにも見えます?
これは、直感ですが、FPの家はおそらく高断熱高気密にかなり力を入れていると思われ、ここまで使用させてもらったデータのように、C値の悪化率についてもきちんとデータを公開しています。
すなわち、「自身がある」のではないかと思うのです。
対して、一条工務店は、色々な方のお話しを聞く限り、様々な場所でC値の経年変化に関するデータを集めていることは間違いないと思います。しかし、そのデータは一切開示されていません。
悪意のある見方をすれば、自身がないから開示しないのではないか?と言われても仕方ないと思います。。。。
そういったことも考えると、現時点では一条工務店のC値は5年程度経過すると、建築当初から2~2.5倍程度に悪化するとみるのが妥当かな?と思います。
>一条工務店さんへ
もし私の勘違いならスイマセン^^
違うようならデータ出して下さいね!そうしたら訂正しますよ~\(^o^)/
他社のことを中気密、1.0㎠/㎡以下を高気密とするように言っている以上、やっぱり時間がたっても高気密であって欲しいな~と思うのは私だけでしょうか??
一応最後に蛇足
上記で散々嫌みを書きましたが、現時点では私は家の性能には満足しています。どうせなら、将来もこの性能を味わい続けたいな~と思うのですよ。。。
でも、「経年劣化はほとんどないと思いますよ~」なんていうような定性的な話ではなくて、一体何パーセントC値が悪化するのか、そしてその悪化は進行し続けるものなのか?それとも5年程度で止まるものなのか?そういったことについての定量的な情報が知りたいのです。
勝手なイメージですが、一条工務店は自社の弱みを見せることを嫌がっているように思うのです。でも、弱みなんていくらでも自社の強みにできると思うのです。上記で書いたFPの家による一条工務店対策なんて、良い例と思ってもらえると嬉しいのですが^^;
性能が劣化するというのはひた隠しにするほど悪いことではありません。残念ではありますが、こればかりは仕方のないことでもあります。
むしろ、知っていて隠しているならば、それはお客さんに対する背信行為であり、それこそが悪いことと思うのです。
それに私達顧客は、劣化の情報を事前に知っているのと、知らされずに、さらには営業さんなどが個々に「きちんと施工するから安心して下さい」なんて言っていて、性能が劣化してしまった場合では結果は同じでも印象は全く違うと思います。
個人的には、既に一条工務店はC値の性能劣化についてきちんと考えていて、C値の劣化率は私の予想(5年で2倍)よりも遥かに低い、なんて答えが最も理想的です^^
が、なかなかそうもうまく行かないでしょうから、C値の劣化に関する情報をきちんと開示して、一条工務店の工場見学の際に大声で宣伝していた営業さんが「C値は1.0以下になってはじめて高気密と言えるのです!」という言葉と、営業さん達がよく言う「引き渡してからが本当のお付き合いです」という言葉を両立させて、引き渡し後もずっとC値1.0を下回るようにして欲しいと思っています。
もし対策が不十分で、多くの家で経年劣化によりC値が1.0を上回ってしまっているのなら、それはそれで事実ですから仕方がないじゃないか、と思うわけです。
で、事実ときちんと向き合う、すなわちお客さんと向き合うためにはそれが良い情報であっても、悪い情報であっても、定量的な情報が不可欠だと思うのです。これは先日書いたネオニコチノイドの際の話とも同じですが、情報はきちんと開示した方が良いと思うのです\(^o^)/