こんばんは。さすけです。
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本題です。最近、夢発電を利用して太陽光を10kW以上載せる予定の方の間で余剰買取にした方が良いか全量買取にした方が良いか悩まれている方が多いように思います。そこで、本日は全量買取にした場合と余剰買取にした場合の収益差を計算し、どちらの買取を選択する方が収益にとって有利なのかをしっかりと考えてみたいと思います\(^o^)/
長い文章なので、結論から言うと、
- 北海道電力、東北電力管内に住宅を建築する予定の方は既に余剰買取の方が収益が高くなる可能性が高いため余剰がお勧め(余剰を選択する方が収益が大きくなる可能性が高い)
- 東京電力、中部電力、関西電力、九州電力管内の方は、僅かな収益悪化はあるものの将来のことを考えると余剰がお勧め(余剰を選択すると僅かに収益は減少するけれど、余剰のメリットを考えると全量よりも余剰を選択する方が良いのでは?)
- 北陸電力、四国電力、中国電力管内の方は、現時点では全量の方が収益率が高いため全量を前提として、将来リスクを踏まえて余剰も検討対象にすることがお勧め(現時点では全量を選択した方が収益が高くなる可能性が高い)
といった結論になります!
私自身は今回の記事を書くにあたって様々検討した結果、全量一辺倒ら余剰という選択もありだと思うようになりなりました。
本日は上記の結論に至った過程をを含めて詳細に書かせていただきたいと思います\(^o^)/
長い上に話がややこしいですが、これまでの「全量ありき」の夢発電の転換期に来ていると思っており、自画自賛ですが夢発電を検討されている方が余剰に目を向けるきっかけになるのではないかと思っています\(^o^)/
2012年以降一条工務店で夢発電を使われた方はその多くが全量買取を採用されていると思っており、また、現在も全量を前提にした打ち合わせが進められていると思います。しかし、今回、この記事をお読みいただき、是非余剰も検討に入れていただくのが良いと思っています。
今回の記事はいつもにも増して読みにくい部分があるかとは思いますが、一条工務店の営業さんはまず教えてくれることがありませんし、夢発電の将来収益を考える上では非常に重要な情報となっていると思います。ご面倒とは思いますが是非ご一読いただければと思っています\(^o^)/
はじめに
今回の記事では、10kW以上のソーラーパネルを搭載することを前提として、全量買取と余剰買取のいずれを選択することが将来の収支を向上させる可能性があるかを検討します。この記事で言う所の「余剰買取」とは10kW未満の余剰買取ではない点に注意してください。
計算については、あくまで現時点で私が理解している範囲のデータに基づいて計算したものであるため、その正しさを保証するものではありませんし、計算ミスの可能性や、さらには将来の制度的な変化等は十分に考慮できていない可能性など様々な不確実要素があることはご理解いただければと思います(´Д`)
10kW以上でも余剰買取を選択できるの?
既にしろのすけさんやスナフキンさんがブログに書かれていましたので、ご存じの方も多いかも知れませんが、10kW以上のソーラーパネルを搭載していても「余剰買取」を選択することができます。
私自身これまでブログ上では、10kW以上のソーラーパネル搭載住宅を「全量」、10kW未満の搭載量を「余剰」と書いてきており、混乱されるかもしれませんが、しろのすけさんがわかりやすくまとめて下さっていますので、しろのすけさんのブログを読んでいただくのが良いかと思います。
それでも、本当に10kW以上のソーラーパネルを搭載していても余剰を選択できるのか?ということに半信半疑の方もいらっしゃると思います。改めて書かせていただくと、2012年7月以降の再生可能エネルギー固定価格買取制度では、ソーラーパネルの搭載量が
- 10kW未満
- 10kW以上
の2つのカテゴリがあり、10kW未満の搭載量を「住宅用ソーラー」、10kW以上を「非住宅用ソーラー」と表現しています。
頭が混乱してしまうのですが、10kW以上のソーラーパネルを「非住宅用」と表現していますが、2012年7月以降は名前とは裏腹に、一般の住宅であっても10kW以上のソーラーパネルを搭載して固定価格買取制度を使用することができるようになっています。
ここで重要なことは10kW未満と10kW以上では固定価格買取制度の条件が変わることにあります。
10kW未満のパネルを搭載した住宅では、「余剰電力買取制度」のみが使用でき、「全量買取制度」は使用することができません。
それに対して、10kW以上のパネルを搭載した家では、「余剰電力買取制度」と「全量買取制度」を自由に選択することができます。
ですから、夢発電を使用される大半の住宅のように10kW以上のソーラーパネルを搭載している場合は、必ずしも全量買取を選択することは義務とはなっていないのです。
このことは経済産業省 資源エネルギー庁のホームページ上の「なっとく!再生可能エネルギー 固定価格買取制度 よくある質問」Q1 2-2に詳しく書かれています。
http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/faq.html#price
内容を引用すると
Q1 2-2 「全量買取制度」と呼ぶ場合がありますが、発電量全量が買取対象なのですか?余剰で売電してはいけないのでしょうか?A. (前略)10kW未満の太陽光発電設備は余剰配線のみですが、この区分以外では、余剰か全量かを選択することができます。なお、いずれの場合にも、パワーコンディショナーなどの発電設備で使用する電気が差し引かれますので、実際の売電量は、発電量全てではありません。[H26.7.28更新] |
と掲載されています。少しわかりにくいので解説すると、「この区分以外」の「この」は10kW未満を示しています。よって、「この区分以外」とは10kW以上のソーラーパネルを搭載した住宅(実際は住宅以外も含みますがここでは住宅と書きます)を示しているのです。
そして、10kW以上の住宅では「余剰か全量かを選択することができます」と書かれていることから、10kW以上のパネルを搭載している場合は、全量買取だけではなく余剰買取を選択することができることになるのです。
余剰を選択しても買取期間、買い取り価格は全量と同じ
ここで重要なことは、しろのすけさんが書かれている通り、10kW以上のソーラーパネルを搭載されているお宅であれば、仮に余剰電力買取制度を選択されたとしても買取期間20年、買取価格32円+消費税という価格に変更がない、ということです。
ようするに、余剰か全量かの違いだけであって、売電単価や売電期間については全量でも余剰でも同じなのです。私自身のこれまでのブログも含め「余剰買取では10年固定買取」と書いてあるのは、正しくは「10kW未満余剰買取では10年固定買取」とすべきところであり、「10kW以上余剰買取では20年固定買取」となります。ただ、これまでは10kW以上で余剰を選択するというのはかなり特殊なケースでしたから、現時点でも一般には10kW未満は余剰、10kW以上は全量と書かれているかと思います。
そもそも余剰電力買取制度って何?
多くの方は既にご存じかと思いますが、全量買取と余剰買取の違いについて簡単に説明しておきます。
一条工務店の夢発電でこれまで採用されてきた「全量買取」というのは、太陽光発電された電力は全て電力会社に売る仕組みになります。現時点でも一条工務店に対して要望を出さない限りは説明が行われることなく全量買取が選択されるとお思います。
太陽光で発電された電力は固定価格買取制度によって、私達が日常購入する電力よりも割高かな値段で電力会社が購入してくれます。
一方の余剰電力買取制度というのは、太陽光で発電された電力のうち、自分の家でその時間に使用していた電力は太陽光発電電力でまかない、使い切れなかった電力(余剰電力)のみを電力会社に売るという仕組みになります。余剰電力買取をすると本来は電力会社から購入しなければいけなかった電力を自分の家で発電した太陽光でまかなうことができるため、普通に考えるとお得なのですが、太陽光発電した電力は自分で使うよりも売った方が得になることが続いてきたため、余剰買取は選択されることはほとんどありませんでした。
変な話なのですが、自分の家の太陽光で発電した電力は全て電力会社に売ってしまって、同じ時に自宅で使用する電力は電力会社から買ってきた方が得になっていたのです。
10kW以上の余剰の選択肢があるなんて聞いていない!
突然このような話を聞くと、10kW以上でも余剰が選択できるなんて知らなかった!なんで営業さんは説明してくれないんだ!と思われる方がいらっしゃるかもしれません。
これまでは基本的に全量と余剰が選択できるのに、わざわざ余剰を選択することのメリットが存在しなかったため、私自身もそうですし、一条工務店、そしてその他の多くの太陽光に関する説明資料でも10kW未満のことを余剰、そして10kW以上であれば全量として表現してきたと考えています。
私自身も、今回の計算をするまでは全量の方が有利と考えており、わざわざ「10kW以上で余剰を選択する」といった選択肢を示すことは、単に混乱を招くだけで意味がないことと思ってしてきませんでした。
しかし、今回、ブログを書くにあたってきちんとした形で考えて計算をしてみた結果として、余剰を選択することの方がメリットが出るケースもではじめていると考えるようになりましたので、10kW以上のパネルを搭載しながら余剰を選択するという選択肢を真面目に考えてみることにした次第です!
全量と余剰を選択することによる収益差
これ以降、「全量」、「余剰」という表現を使いますが、ここでの「余剰」は10kW以上のソーラーパネルが搭載されており、「全量と余剰を選択できる条件において余剰を選択した場合」というケースに限定して説明します。よって、10kW未満の余剰電力買取制度は一切考慮していませんので誤解のないようお願いします。
全量と余剰のいずれを選択する方がメリットが大きいかを知るためにはその収益差を知ることが必要になります。そこで、両者の収益差を計算することにします。
全量・余剰収支計算にあたって
今回のケースでは厳密に計算することはあまり意味がない(というか難しい)と思うのでざっくりとした計算を示します。
パワコンの交換費用等は余剰でも全量でも変わらないので、無視することにします。
税金については余剰の場合自己消費された電力から得た利益は課税対象になるかどうかと言う話もあるので検討が必要です。
全量買取の収益と余剰電力買取の収益計算
全量買取を選択した場合の1年間の収益は
太陽光発電電力量(kWh)×売電単価(34.56円/kWh) :式1
によって求めることができます。発電した電力は全て電力会社に売るという単純な計算です。
一方で余剰電力買取の場合の1年間の収益は
[太陽光発電電力量(kWh)-自家消費電力量(kWh)]×売電単価(円/kWh)
+ 自家消費電力量(kWh)×買電単価(円/kWh) :式2
となります。
この計算では、太陽光で発電した電力のうち、自家消費を差し引いた余剰電力を売電し、第2項では本来電力会社から購入してこなくては賄えなかった電力の価格を加えて収益として計算しています。
全量買取の収益と余剰電力買取の収益差
それでは、全量買取と余剰買取を選択した場合の収益の違いを計算します。
全量、余剰の収益差は式2から式1を差し引く、すなわち
余剰電力買取収益 - 全量買取収益
によって計算できますから、その収益差は
自家消費電力量(kWh)×[買電単価(円/kWh)-売電単価(円/kWh)] :式3
で求まることになります。計算結果がプラスならば余剰買取を選択した方がお得で、マイナスになるならば全量買取を選択した方がお得と言うことを意味しています。
で、この式をご覧になっていただくと、制度の違いによる収益差は「太陽光の発電電力量」には依存していないことにお気づきかと思います。(そもそも太陽光が発電していなければ自家消費も発生しないので、厳密には自家消費は太陽光発電電力量に依存していますが、10kW以上であればまず関係ありませんので、その議論は後で確認するに留めます)
余剰と全量の選択を検討する上では、ソーラーパネルの搭載量や天候云々に関係なく、自家消費電力量と売買電単価の差額のみに依存して収益差が決定することを意味します。
よって、全量買取と余剰買取を選択した場合の制度違いによる20年間の収益差は単純に20年を掛けて、
20(年)×自家消費電力量(kWh)×[買電単価(円/kWh)-売電単価(円/kWh)] :式4
と表すことができます。
上記に数値を当てはめて、計算することで余剰と全量のいずれを選択することが有利か?そしてそれが金額的にいくらくらいになるのか?といったことを計算することができます。以降では自家消費量、買電単価、売電単価のそれぞれの項目を一つ一つ検討していくことにします。
自家消費電力量について
全量と余剰を選択する上で影響を及ぼす因子として「自家消費電力量」があります。
自分の家で1年間に太陽光発電が行われている時間帯にどの程度の電力を消費するのかを示しているのが「自家消費電力量」になりますが、そんなことを言われてもその量は分からないと思います^^;
先に示した全量と余剰の収益差の計算式では、自家消費量が大きければ大きいほど、その収益差はプラスマイナス関係なく、収益差を広げる働きをすることが分かります。逆に自家消費量が少なくなれば収益差への影響は小さくなっていきます。逆に言うと、自家消費量の大小は余剰と全量の収益を逆転させることはないとも言えます。
ただ、自家消費量は一般的にどの程度であるのか、そして、最大でどの程度の自家消費を想定すれば良いのか?ということを確認しておくことは収益差の大きさを把握する上では重要となってきます。
そこでこの平均的自家消費量と、想定し得る最大に近い自家消費量の2つを考えることにしました。
平均的自家消費量:一条工務店によるシミュレーション値
まずは平均的な自家消費量としては一条工務店が夢発電のシミュレーションで使っている自家消費量が参考になります。我が家が受け取ったシミュレーションでは自家消費量は、2146kWh/年となっていました。
この試算根拠は
JRA規格(日本冷凍空調工業会)、及び日本建築学会環境工学会より提案された4人家族の標準的な生活スケジュールに基づき、全館床暖房・24時間連続運転を採用した住宅にて消費量を計算しています。 |
とあるように全館床暖房を24時間稼働しているという条件を含んだ算定になっており、一条工務店の家としては妥当な試算になっていると思われます。夫婦、及びその子どもの4人世帯であれば上記の自家消費量を平均的自家消費量と見なすことは合理的と思います。
最大の自家消費量:我が家の実績値
続いて、最大の自家消費量に近い自家消費量として非常に良い例があります。。。。
そう、それは我が家の自家消費量です(´Д`)
我が家は日中もサーバーが稼働していたりして、おそらく相当に自家消費電力量が多い家になっていると思います。おそらくは2世帯住宅であっても我が家と同程度の自家消費をしている家は多くないように思います。。。そういう意味で、我が家の自家消費量を一般的自家消費量の最大値として考えることにしました。
そんな我が家の2年間の自家消費電力量の1年あたり平均値は「3526kWh」と確認できました。
今回の全量、余剰選択の試算では一条工務店が示す自家消費量2146kWhを平均的自家消費量、そして我が家の1年間の自家消費量3526kWhを考え得る最大の自家消費量と考えて試算を行うことにします。
電力会社別買電単価について
続いて私達が電力会社から電力を買う際に支払う金額である「買電単価」について検討します。2014年12月現在の売電単価は全国一律で34.56円/kWhですが、買電単価が売電単価よりも高い、すなわち
買電単価 > 売電単価(34.56円/kWh)
ならば、式3はプラスになり、余剰を選択した方が収益性が高いということになります。
買電単価なんて簡単に調べられそうなものですが、これがなかなか大変でした(´Д`)
まず、買電単価は電力会社によって大きな開きがあります。そして、同じ電力会社でも電気料金プランによって電気料金はばらばらです。
そこで、この試算では「オール電化住宅」に使われる電気料金プランを用いて計算を行うことにしました。
しかし、各電力会社のオール電化住宅向け電気料金プランでも、夏料金、冬料金、さらには時間帯別電気料金と時間や季節によって買電単価は異なっています。まず、時間帯電気料金については「10時~16時まで」の電気料金を用いました。10時から16時までは太陽光が活発に発電をする時間になるため、自家消費の大半はこの時間に行われるためです。
季節別料金については月数を考慮に入れて買電単価を決定しました。すなわち、7月~9月のみ40円/kWh、それ以外の季節は30円/kWhという電気料金ならば、
(40円×3ヶ月(7~9月)+30円×9ヶ月)÷12=32.5円/kWh
と計算し、32.5円/kWhを採用しました。本来は月ごとの発電電力量に応じた加重平均を行う方が精度は高くなりますが、複雑さを回避するため上記方式を採用しました。また、一部電力会社で10時~16時の時間帯でも電気料金が変化する場合は時間数によって重みをつけて電気料金単価を試算しました。
その結果各電力会社の電気料金は下表の通りとなりました\(^o^)/
計算に用いた各電力会社の料金プランを一番右に示しています。電気料金プランが異なる場合は、結果が変わってきますのでご注意ください!
余剰と全量を選択するのに用いる電気料金は右から2列目の「季節加重平均」という電気料金になります。
概ね、30円台になっていることが分かるかと思います
それにしても北海道電力と東北電力の電気料金がめちゃくちゃ高いですね。。。。
売電単価
買電単価はお住まいの地域を管轄する電力会社によって異なりますが、太陽光発電した電力の売電単価は日本全国一律になっています。これは『電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(再エネ特措法)』という法律で、太陽光の届け出をした年度毎に売電単価が決定されているためになります。
その売電単価は、2014年度時点で32円+消費税となっています。
2015年4月以降の売電単価については現時点では未定ですが、2012年は40円+税、2013年が36円+税、2014年が32円+税となってきました。
しばしば、2014年度の売電単価が34.56円の様に言われることがありますが、正しくは32円+税です。税とは消費税のことです。32円に消費税8%=2.56円が上乗せされて、34.56円となっています!
2015年度の売電単価はまだ未定ですが、これまで過去3年間毎年税抜き4円ずつ売電単価が下落してきたので、2015年度は28円になるのでは?と思ってしまいそうですが、再エネ特措法が法律施行から3年間は特に高い売電単価をとるとしていたことを考えると、2015年度は28円未満になることは間違いないと思っています。直感的には24~26円あたりかな~と思っています。さらに昨今の情勢を考えるとその他の様々な制約が付くこととはまず間違いないように思っています。このあたりはいずれ詳しく書きたいと思います^^
過去の契約分も消費税分は本当に価格に上乗せされているの?
ところで、先ほどから32円+税という書き方をしていますが、例えば2014年度に売電契約を行い、2017年度に消費税が10%になったとき、2014年度契約の人も増税分が売電単価に上乗せされるのか?ということに不安を感じる方もいらっしゃるかと思います。
先の衆議院選挙の結果から、2017年4月に消費税が10%となることが決定しましたから、増税分が上乗せされるならば2014年度に売電を開始した場合、2017年度には売電単価が1kWhあたり35.2円と約0.64円上乗せされることになります。
0.64円なんてそんな小さな数字気にしても仕方が無いのでは?と思うかも知れませんが、仮に15kWのパネルを搭載された方でしたら、20年間の収支にざっくり計算で19万円ほど上乗せがあることを意味します。19万円は売電総額に比べれば小さな金額ですが、それでもやはり気になると思います。
結論から言うと、2014年度の契約者はもちろん、それ以前例えば2012年度に契約した40円買取の方も、2017年度に消費税増税に伴い、その消費税分が売電単価に上乗せされます。
すなわち、2014年に契約した方は2017年4月に消費税が増税された場合、35.2円/kWhで売電が行われるようになります。
え~本当に?と思われるくらいに甘い話の様に思われるかも知れません。
これは他の方から借りた売電単価の明細書なのですが消費税増税前の2014年3月時点の支払明細、H26年4月分の明細では「買取単価 42円00銭」となっていることが確認できます。
これが、2014年6月時点の売電明細、H26年7月分の明細になると
「買取単価 43円20銭」となっていることが確認できます!
この方は40円+税という売電単価時に全量契約をされているので、当初40円+5%(2円)=42円だった売電単価が、増税に伴い40円+8%(3.20円)=43.2円/kWhに変更されていることが確認できます。
このように消費税増税分は売電単価に上乗せされることを意味しています!
そこで、本試算では2017年4月に売電単価が現在の32円+10%(3.2円)=35.2円になることを考慮に入れて、2015年4月から2017年3月末までの2年間は売電単価34.56円、その後18年間は35.2円/kWhによって試算を行う事にしました。
平均売電単価は
(2年×34.56円+18年×35.2円)÷20年=35.136円/kWh
にで試算を行っています!
全量・余剰電力買取制度による20年間の収益差
以上で全量買取と余剰買取の収益差を計算するための前提条件の設定が終了しました。
両者の収益差は先に示した式3
自家消費電力量(kWh)×[買電単価(円/kWh)-売電単価(円/kWh)] :式3
と
20年×自家消費電力量(kWh)×[買電単価(円/kWh)-売電単価(円/kWh)] :式4
で計算できますから、平均的自家消費量(2146kWh/年)、最大自家消費量(3526kWh/年)のそれぞれの条件で電力会社毎の買電単価と、売電単価35.146円/kWhを用いて全量余剰の収益差を計算した結果が
以上の情報を元に電力会社別に20年間の全量・余剰電力買取制度の違いによる収益差をまとめたのが下の表になります。
表の見方が分かりづらいと思うので、東京電力を例に説明します。
東京電力を例とした解説
東京電力の日中買電単価は季節別電気料金を考慮に入れると、33.4円/kWhとなります。
売電単価が35.146円/kWhですから、買電単価の方が安くなっているため、余剰よりも全量を選択した方が20年の収支はプラスになることを意味します。
では、その収支はいったいいくらくらいの差になるのか?という計算結果が「全量・余剰差額」という列に示されています。まずは平均的な自家消費量のケースでは1年に4千円の差額が生じ、20年間では8万円だけ、全量買取の方がお得であると言う結果になっています。
仮に我が家を例にした自家消費量の多い生活をした場合でも、20年間の収益差は全量の方が12万円程度高い収益を得られると言う結果になりました。
20年間の収益差8万円、12万円というのがわかりにくいため、ここでは一条工務店の住宅で平均的に設置されているソーラーパネルの容量として12kWの場合、20年間の総収益に占める8万円、12万円の割合を示したものが、右側の列「年間収益への影響率」になります。
20年間の総売電額に対して、8万円、12万円というのが何パーセント位を閉めているのかを示しています。
結果は、自家消費量が平均的な住宅の場合で1.0%程度、自家消費量が大きい家の場合でも1.6%程度の収益率の違いに留まるという結果になります。
要するに、東京電力管内の場合、全量と余剰の収益差は自家消費量が大きくても小さくても、2%未満に留まるという結果を意味しています。
東京電力管内については、現時点では、全量と余剰のどちらがお得か?と聞かれれば全量だということになります。しかし、、、その収益額の差は微々たるもので天候の変動等によって収益額は10%以上変化する可能性がある中で、たかだか1%程度の収益差しかないという結果になりました。
私はこの程度の収益率の差であれば、余剰を選択すべきと考えます。その理由は後ほど書きます。
北海道電力、東北電力の場合
現時点の結果から、北海道電力と東北電力は売電単価よりも買電単価の方が高くなっており、余剰を選択する方が将来の収支を高くすることができます。
今後電気料金が安くなる可能性がリスクとしては残りますが、大幅な電気料金の値下がりが期待できない状況では余剰を選択することが推奨されます。
というか、現時点では全量を選択する余地がほとんどないと思って良いように思います。
中部電力、関西電力、九州電力の場合
中部電力、関西電力、九州電力管内では、売電単価と買電単価が東京電力ほどではないですが拮抗しているため、20年間の収益に与える影響は平均的な自家消費量の住宅の場合で2%未満となっています。具体的な金額に換算すると年額7千円程度、20年間の合計で14万円程度の収益差となります。
私はこの金額差であれば、余剰を選択する方が総合的に有利と考えます。その理由は後ほど。
北陸、中国、四国電力の場合
北陸、中国、四国電力の場合、平均的な自家消費量のお宅でも、全量ではなく余剰を選択してしまうことで年間収益に5%以上の影響を与える可能性が出てきます。
自家消費量が平均的な住宅よりも高くなる場合は、収益悪化率は10%に達することも懸念されます。
これは北陸、中国、四国の各電力会社の日中電気料金の安さに寄るところであるため、喜ぶべきポイントと思います^^;
ただし、収益の絶対値ベースで見ると、最も余剰と全量の差が小さい中国電力で34万円となっており、自家消費量の大小にはよりますが20年間の収益悪化としては50万円程度が想定されることになります。
そのため、北陸電力、中国電力、四国電力の管内では現時点では直ちに余剰買取を推奨することはできないという結果になります。
余剰を選択することのメリット
先に示した通り、北海道電力と東北電力以外は余剰を選択した場合、全量に比べて現状では収支はマイナスになることが分かりました。
しかし、個人的な考えとしては収支の差額が20万円以内であるならば、余剰を選択する方が良いと考えています。
そのように考える理由はいくつかあります。
全量では20年後に配線をしなおさなければ自家消費を行えない
全量買取で契約をした場合、太陽光が発電した電力を住宅内に引き込むための配線が存在しません。
そのため、20年後に売電単価が大きく値下がりしてしまった場合、発電した電力を自分の家で使いたいと思っても配線工事をし直さなければ自分の家で発電した電力を使うことができないのです。
ここで、一条工務店の家が問題となります。壁が分厚く気密施工されている家に穴を開けて配線を引き込む必要が出てきてしまうのです。。。当然一条工務店に工事を依頼すればそのような施工を行ってくれると思います。でも、お金がかかります。
さらに配線工事も新たに必要になると思います。パワコンから住宅内へのかなり太い配線をし直す必要になるため、費用的には割だかなものになってしまうと予想されます。
金額についてはなんとも言えませんが、直感的なところで10万円前後ではないかと思います。この他に、各電力会社への申請手続き(全量契約から余剰契約への切り替え)も必要になり、これには当然申請手数料や代行手数料がかかってくるでしょう。金額は全く分かりませんが、数万円はすると思います。
一方、余剰電力買取で契約している限りは、20年経過後も売電する電力をどうするかは検討が必要ですが、発電した電力を自宅で使用するために、配線をし直したり、契約を変更し治したりする必要はありません。
全量は現時点では高値で売電できるので、収益を増大させますが、その収益増加額が10万円未満であるならばまず間違いなく余剰を選択した方が最終的なメリットが大きくなると思います。個人的には収益増加額が20万円未満ならば余剰を選択した方が良いのかな~と思います。
蓄電池が普及した社会への対応
現時点では蓄電池は普及していません。しかし、いずれは蓄電池が普及していくことになるのではないかと思います。全量買取の場合、蓄電池を取り付ける余地が限られますが、将来大きく電気料金が値上がりした場合、余剰買取にしておくことで例えば太陽光で発電した電力を蓄電池に貯めて朝晩に使用すると行った対応を行う事ができるようになります。
全量の場合は蓄電池に貯めた電力を売電できるかが鍵になりますが、現時点では様々な制度的問題から短期的には難しく、蓄電池が普及してもそのメリットを生かせなくなる可能性があります。
燃料調整費高騰への対応
先ほどまでの収益差の計算では各電力会社の「燃料調整費」は考慮に入れていませんでした。燃料調整費とは消費電力量に応じて、燃料価格高騰による電力会社の負担を軽減するための価格調整制度です。
燃料調整は通常の電気料金に対して、消費電力量に応じて電気料金を上乗せして計算されます(燃料価格が大幅下落すればマイナスになることもあります)。
実際に、各電力会社のH27年1月時点の燃料調整価格を考慮に入て収益差を計算すると
となります。東京電力では余剰買取の方が有利になることが分かります。その他の電力会社でもいずれも収益が余剰有利に変化しています。
ただし、燃料調整費は毎月変化する価格ですから、これが20年間継続すると改訂することは適切ではないと考えて今回の試算では除外しています。
しかし、実際に私達が支払う金額はこの燃料調整費を含んだ単価で電力を購入することになるため、将来も現在と同水準の燃料調整費が続いたり、または、今後燃料調整費がさらに値上がりを続けた場合には他の電力会社でも余剰と全量の収支が逆転し、余剰が有利に変化していくことになります。
今後、燃料調整費が値上がりをすると予想する場合には、余剰を選択しておくことでその影響を最小化することができます。
電気料金の値上がり
燃料調整費も含めた話題になりますが、これまでの収支計算では2014年12月現在の最新の電気料金単価表(一部は2015年四月以降分も含む)を用いて計算しています。
ご存じの通り、震災以降電気料金は上昇傾向にあります。電力中央研究所の資料によると日本の家庭用電気料金は短期間で約4円上昇していることがわかります。
仮に、電気料金単価が今後さらに4円上昇した場合の余剰、全量収益差の計算結果は下の表の通りとなります。
北陸、四国、中国電力以外は全て差額がプラス、すなわち余剰を選択する方が有利という結果になりました。電気料金が今後も値上がり傾向にあるならば、全量よりも余剰を選択した方が良い結果を得られる可能性が高いと言えます。
ただし、私個人としては今後電気料金が大きく値上げされる可能性は低いと予想します。
省エネ努力につながりやすい:実は余剰の最大のメリット?
余剰を選択することの大きなメリットの一つとして、自宅の省エネ行動につながる可能性が高いことが挙げられます。
余剰電力買取制度はその制度上、自家消費を減らせればそれだけ売電量が増えて収益を向上させます。結果として、家族がそろって省エネに勤めるようになる可能性があります。そうなった場合は、売電量が増加し、結果として収益を増加させることになります。
全量の場合は自家消費の量に関係なく売電されるため、省エネ行動につながることはありません。
どの程度の省エネ行動を取るかはご家族によって大きくばらつくと思いますが意外とこのメリットは大きいように思っています。
税金対策になるかも?
これについては、私はあくまで直感で書いており、調べていませんのでご自身でしっかりと確認をして欲しいのですが、余剰買取は見かけ上の売電単価を低く抑える効果があるため、雑所得を低く抑えることができる可能性があるように思います。
そして、これは確定申告が必要となるケースでは追加で支払う税金対策として有効なのではないかと思っています。
余剰を選択した場合の収益悪化要因
ここまでの結果から、余剰買取のメリットを中心に書いてきましたが、余剰買取の収益を悪化させる要因も当然あります。
電気料金の値下がり
さきほど、電気料金が値上がりする可能性を指摘しましたが、値上がりする可能性がある以上値下がりする可能性も当然あります。
そう言うと、最近の値上がり幅を見ている方にとっては、いやいや、値下がりなんて考えられないよ、と思われるかも知れませんが先ほどの電中研のグラフをもう一度見てください。
グラフ最初の1995年の電気料金単価は約25円/kWhでしたが、それが時間を掛けて20円/kWh近くまで値下がりを続けていたことがわかります。現在の家庭用電気料金価格は概ね25円/kWhですから20年前の価格水準と同程度とみることもできるわけです。震災発生以降は電気料金は急激に上昇していますが、しかしそれは原発停止による影響、世界的な燃料費の高騰が原因となっていました。
原発については先の選挙の結果から、その是非は別として再稼働の可能性が高まっています。
原油価格についても、ここ最近、大きく下落しています。その要因は原油産出国の内中東諸国がその地位確保のためにこれまで高値で調整していた原油価格を大きく下落させたことが原因となっており、その余波としてロシアのルーブルは暴落しています。今後、これらの情勢によっては原油価格が大きく下落し、発電に要する燃料価格が下落し、長期的に電気料金を押し下げる可能性も否定はできません。
これは個人的な見解として、電気料金については今後大きな値上がり、値下がりはあまり考えなくて良いように思っています。電力小売りの完全自由化を控えた今、どちらかと言えば値下がり圧力の方が強いのではないかと思っています。
売電単価の上昇:消費税増税
2017年に消費税が増税されることは今回の試算では織り込み済みです。しかし、20年という長期間の収益を考える場合、更なる消費税増税の可能性を否定することはできません。
そして、これはあくまで直感的ですが、更なる増税を考えた場合、食料品等の増税率は最小化され、一方でそれ以外のものはヨーロッパ各国と同程度の15%、20%といった消費税率になる可能性は十分にあると思っています。
消費税納税義務のない個人の場合は消費税が増税された分の売電単価上昇は単純に収益の向上に寄与します。実際はそれ以外の出費が増えて大変ですから増税は望みませんが^^;;
まとめ
ここまでいくつかの観点から、全量と余剰の収益差を検証してきました。
これは私自身自分が直感で考えていたよりも、その差は小さいと感じました。
- 北海道電力、東北電力管内に住宅を建築する予定の方は既に余剰買取の方が収益が高くなる可能性が高いため余剰がお勧め
- 東京電力、中部電力、関西電力、九州電力管内の方は、僅かな収益悪化はあるものの将来のことを考えると余剰がお勧め
- 北陸電力、四国電力、中国電力管内の方は、現時点では全量の方が収益率が高いため全量を前提として、将来リスクを踏まえて余剰も検討対象にすることがお勧め
北陸、四国、中国電力の3者を除いては、余剰と全量のいずれを選択しても20年間の収益に大きな差はでないと予想されます。
全量買取の場合は、20年後に自分の家で太陽光で発電した電力を使いたいと思った場合、ある程度の工事が必要になってしまい、10万円単位の費用が発生する可能性が高いと思います。
また、一条工務店で家を建てられる方はソーラーパネルの搭載量が非常に大きい方が多く、全量と余剰を選択することによる全体収益への影響率は小さく抑えられていると思います。
以上の観点から、積極的に全量を選択するメリットが少ない中では、とりあえず余剰を選択するというのが良い選択のように思います\(^o^)/
個人的には、これまでの全量一辺倒の夢発電の転換点()が来たのかな?と思っています^^
一条工務店で余剰を選択したい場合どうすれば良いの?
電力会社に個々で問合せを行っても構いませんが、手続きが煩雑ですし、最終的には一条工務店が申請をしなくてはならないのですから、営業さんに「10kW以上のパネル搭載で余剰電力買取を選択したい」ということを伝えれば良いと思います。
そうすれば申請等の手続きを余剰で行ってくれるかと思います^^
ただ、営業さんの多くは「10kW以上の余剰」についてこれまで対応した経験がほとんどないと思うので、「そのようなことはできない」などという返事が返ってくる可能性は否定できません。そのような場合は、とりあえず電力会社にできるかどうかを確認してもらうようにすると良いかと思います^^ただし、電力会社も窓口の担当者になると詳しくない場合は「できない」と言われてしまうケースがあるので、先に示した経産省のページを示して確認をすることをお勧めします。
また、収益差の大小については自家消費量の影響が大きく、自家消費量は地域によって大きく異なると思います。ご自身で計算しても良いですが、営業さんに余剰を選択した場合の収益を計算してもらう方が良いかも知れません。計算自体は電卓で計算できる簡単なものですから大丈夫と思います。多分。。。
今後は全量だけではなく、余剰も視野に入れて選択するのが良いと思います\(^o^)/